[太字][大文字]魔物出現[/大文字][/太字]
『とにかく!クエストを始めるわよ!』
アリサが気を取り直して、スタスタ森の中を歩き始める。
俺はその後ろをついていく。
『ところで、あんた戦えるの?』
「いや、全く」
『じゃあ、後ろで見てなさい。私が一瞬で片付けてあげるから!』
ドヤ顔。またドヤ顔だ。
しばらく歩くと、カイシが不意に警告を表示した。
【警告】
前方100mに魔物を感知。個体数:3。種族:ゴブリン。
危険度:D(単体なら比較的弱い)
「アリサさん、前方にゴブリンが3匹います」
『は?なんでわかるのよ』
「カイシが…いや、このメガネが教えてくれました」
『へえ…便利なのね』
アリサが剣の柄に手をかける。
『じゃあ信じるからね!?行くわよ!』
彼女は駆け出した。めちゃくちゃ速い。
「待って!あの…」
止める間もなく、アリサはゴブリンたちの前に飛び出した。
『私の剣の味、思い知りなさい!』
アリサの聖遺物である「白銀の誓約剣」が閃く。
一匹目、瞬殺。二匹目、瞬殺。
三匹目――
『はあっ!』
アリサの剣が空を切る。三匹目は素早く、彼女の攻撃をかわしていた。
『ちっ、小賢しい!』
アリサが追いかける。でも、ゴブリンは木の上に逃げた。
『降りてきなさーい!』
叫んでも、ゴブリンは降りてこない。代わりに、ニヤつきながら木の実を投げてくる。
『きゃっ!』
アリサの額に木の実が当たる。痛くはないだろうけど、プライドは傷ついたらしい。
『許さないわよおおお!』
【…マスター。彼女の弱点が露呈しています】
「見れば分かるだろ…」
俺は叫んだ。
「アリサさん!落ち着いて!敵は木の上、あなたの剣は届かない!」
『じゃあどうしろって言うのよ!!剣を投げろとでも!?』
「一旦距離を取って!敵が降りるのを待つ!」
『そんな悠長な…!』
俺が何度も叫んだお陰か、アリサは渋々後退した。
ゴブリンがチラチラとこっちを見ている。
【マスター、あのゴブリン、右目が見えていないようです。古傷があります】
カイシの情報が視界に浮かぶ。
「アリサさん!あのゴブリン、右目が見えてない!回り込んで!」
『左から…?わかった!』
アリサが素早く左に回り込む。すると、ゴブリンが明らかに反応が遅れた。
『本当だ!見えてない!』
「今、右側から行けます!」
アリサが素早く右に移動し、剣を振るう。
ゴブリンが木から落ちた。
『はあ…はあ…』
アリサが剣を収める。
『…悔しいけど、これはあんたのおかげね』
振り返った彼女の顔は、さっきまでの顔じゃなかった。ちょっと照れくさそうな、俺のことを多少認めてくれたような、そんな表情。
「い、いや、別にこれはカイシが教えてくれただけで…」
『カイシ?』
「このメガネのことです。俺、カイシって呼んでるんです」
『ふーん…』
アリサが近づいてくる。
『あんた、眼精疲労って言ってたけど、その聖遺物はやっぱりすごいわね。私の目でもわからないことが見えるんだ』
「はい。でも、戦闘は全くダメで…」
『それでもいいじゃない。指示が的確だったもの。私、助かったわ』
そう言って、アリサはニッと笑った。
さっきまでのツンツンした感じが、ちょっとだけ和らいだ気がする。
[水平線]
[太字][大文字]帰り道[/大文字][/太字]
クエストを終えて、ギルドに戻る道すがら。
『ねえあんた』
「はい?」
『あんた、これからもクエスト、一緒にやらない?』
予想外の提案に、俺は固まった。
「え?一緒にって…」
『私、こう見えて結構無茶しちゃうとこあるのよ。でも、あんたみたいに冷静に指示してくれる人がいれば、もっと効率的にクエストをこなせると思うの』
「で、でも俺、戦えないですよ?」
『それでいいの。戦うのは私。あんたは後ろで指示してくれれば。それにあんたのそのメガネ、めっちゃ便利だし。ありがたく利用させてもらうわよ!』
『パーティーってやつ!私が前衛、あんたが後衛!いいコンビになると思わない?』
【マスター。彼女の申し出は悪くないと思います。彼女は強いですから、マスターが一人で行動するよりは確実に安全です】
カイシも賛成らしい。
「…わかりました。よろしくお願いします」
『決まりね!』
アリサが満足そうにうなずく。
『でも、一つだけ条件があるわ』
「条件?」
『あんた、私のことはアリサでいいから。さん付けとか堅苦しいの嫌いなのよ』
「じゃあ、アリサ…で」
『ええ!よろしく、ユウト!』
そう言って、彼女はまたニッと笑った。
日本一の剣姫と、日本一の眼精疲労。
異世界で、奇妙なコンビが誕生した瞬間だった。
『とにかく!クエストを始めるわよ!』
アリサが気を取り直して、スタスタ森の中を歩き始める。
俺はその後ろをついていく。
『ところで、あんた戦えるの?』
「いや、全く」
『じゃあ、後ろで見てなさい。私が一瞬で片付けてあげるから!』
ドヤ顔。またドヤ顔だ。
しばらく歩くと、カイシが不意に警告を表示した。
【警告】
前方100mに魔物を感知。個体数:3。種族:ゴブリン。
危険度:D(単体なら比較的弱い)
「アリサさん、前方にゴブリンが3匹います」
『は?なんでわかるのよ』
「カイシが…いや、このメガネが教えてくれました」
『へえ…便利なのね』
アリサが剣の柄に手をかける。
『じゃあ信じるからね!?行くわよ!』
彼女は駆け出した。めちゃくちゃ速い。
「待って!あの…」
止める間もなく、アリサはゴブリンたちの前に飛び出した。
『私の剣の味、思い知りなさい!』
アリサの聖遺物である「白銀の誓約剣」が閃く。
一匹目、瞬殺。二匹目、瞬殺。
三匹目――
『はあっ!』
アリサの剣が空を切る。三匹目は素早く、彼女の攻撃をかわしていた。
『ちっ、小賢しい!』
アリサが追いかける。でも、ゴブリンは木の上に逃げた。
『降りてきなさーい!』
叫んでも、ゴブリンは降りてこない。代わりに、ニヤつきながら木の実を投げてくる。
『きゃっ!』
アリサの額に木の実が当たる。痛くはないだろうけど、プライドは傷ついたらしい。
『許さないわよおおお!』
【…マスター。彼女の弱点が露呈しています】
「見れば分かるだろ…」
俺は叫んだ。
「アリサさん!落ち着いて!敵は木の上、あなたの剣は届かない!」
『じゃあどうしろって言うのよ!!剣を投げろとでも!?』
「一旦距離を取って!敵が降りるのを待つ!」
『そんな悠長な…!』
俺が何度も叫んだお陰か、アリサは渋々後退した。
ゴブリンがチラチラとこっちを見ている。
【マスター、あのゴブリン、右目が見えていないようです。古傷があります】
カイシの情報が視界に浮かぶ。
「アリサさん!あのゴブリン、右目が見えてない!回り込んで!」
『左から…?わかった!』
アリサが素早く左に回り込む。すると、ゴブリンが明らかに反応が遅れた。
『本当だ!見えてない!』
「今、右側から行けます!」
アリサが素早く右に移動し、剣を振るう。
ゴブリンが木から落ちた。
『はあ…はあ…』
アリサが剣を収める。
『…悔しいけど、これはあんたのおかげね』
振り返った彼女の顔は、さっきまでの顔じゃなかった。ちょっと照れくさそうな、俺のことを多少認めてくれたような、そんな表情。
「い、いや、別にこれはカイシが教えてくれただけで…」
『カイシ?』
「このメガネのことです。俺、カイシって呼んでるんです」
『ふーん…』
アリサが近づいてくる。
『あんた、眼精疲労って言ってたけど、その聖遺物はやっぱりすごいわね。私の目でもわからないことが見えるんだ』
「はい。でも、戦闘は全くダメで…」
『それでもいいじゃない。指示が的確だったもの。私、助かったわ』
そう言って、アリサはニッと笑った。
さっきまでのツンツンした感じが、ちょっとだけ和らいだ気がする。
[水平線]
[太字][大文字]帰り道[/大文字][/太字]
クエストを終えて、ギルドに戻る道すがら。
『ねえあんた』
「はい?」
『あんた、これからもクエスト、一緒にやらない?』
予想外の提案に、俺は固まった。
「え?一緒にって…」
『私、こう見えて結構無茶しちゃうとこあるのよ。でも、あんたみたいに冷静に指示してくれる人がいれば、もっと効率的にクエストをこなせると思うの』
「で、でも俺、戦えないですよ?」
『それでいいの。戦うのは私。あんたは後ろで指示してくれれば。それにあんたのそのメガネ、めっちゃ便利だし。ありがたく利用させてもらうわよ!』
『パーティーってやつ!私が前衛、あんたが後衛!いいコンビになると思わない?』
【マスター。彼女の申し出は悪くないと思います。彼女は強いですから、マスターが一人で行動するよりは確実に安全です】
カイシも賛成らしい。
「…わかりました。よろしくお願いします」
『決まりね!』
アリサが満足そうにうなずく。
『でも、一つだけ条件があるわ』
「条件?」
『あんた、私のことはアリサでいいから。さん付けとか堅苦しいの嫌いなのよ』
「じゃあ、アリサ…で」
『ええ!よろしく、ユウト!』
そう言って、彼女はまたニッと笑った。
日本一の剣姫と、日本一の眼精疲労。
異世界で、奇妙なコンビが誕生した瞬間だった。