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日本一の眼精疲労ですが何か?~最強メガネと異世界攻略~

#4

第四話「東の森のクエスト」

[太字][大文字]魔物出現[/大文字][/太字]

『とにかく!クエストを始めるわよ!』

アリサが気を取り直して、スタスタ森の中を歩き始める。

俺はその後ろをついていく。

『ところで、あんた戦えるの?』

「いや、全く」

『じゃあ、後ろで見てなさい。私が一瞬で片付けてあげるから!』

ドヤ顔。またドヤ顔だ。

しばらく歩くと、カイシが不意に警告を表示した。

【警告】
前方100mに魔物を感知。個体数:3。種族:ゴブリン。
危険度:D(単体なら比較的弱い)

「アリサさん、前方にゴブリンが3匹います」

『は?なんでわかるのよ』

「カイシが…いや、このメガネが教えてくれました」

『へえ…便利なのね』

アリサが剣の柄に手をかける。

『じゃあ信じるからね!?行くわよ!』

彼女は駆け出した。めちゃくちゃ速い。

「待って!あの…」

止める間もなく、アリサはゴブリンたちの前に飛び出した。

『私の剣の味、思い知りなさい!』

アリサの聖遺物である「白銀の誓約剣」が閃く。

一匹目、瞬殺。二匹目、瞬殺。

三匹目――

『はあっ!』

アリサの剣が空を切る。三匹目は素早く、彼女の攻撃をかわしていた。

『ちっ、小賢しい!』

アリサが追いかける。でも、ゴブリンは木の上に逃げた。

『降りてきなさーい!』

叫んでも、ゴブリンは降りてこない。代わりに、ニヤつきながら木の実を投げてくる。

『きゃっ!』

アリサの額に木の実が当たる。痛くはないだろうけど、プライドは傷ついたらしい。

『許さないわよおおお!』

【…マスター。彼女の弱点が露呈しています】

「見れば分かるだろ…」

俺は叫んだ。

「アリサさん!落ち着いて!敵は木の上、あなたの剣は届かない!」

『じゃあどうしろって言うのよ!!剣を投げろとでも!?』

「一旦距離を取って!敵が降りるのを待つ!」

『そんな悠長な…!』

俺が何度も叫んだお陰か、アリサは渋々後退した。

ゴブリンがチラチラとこっちを見ている。

【マスター、あのゴブリン、右目が見えていないようです。古傷があります】

カイシの情報が視界に浮かぶ。

「アリサさん!あのゴブリン、右目が見えてない!回り込んで!」

『左から…?わかった!』

アリサが素早く左に回り込む。すると、ゴブリンが明らかに反応が遅れた。

『本当だ!見えてない!』

「今、右側から行けます!」

アリサが素早く右に移動し、剣を振るう。

ゴブリンが木から落ちた。

『はあ…はあ…』

アリサが剣を収める。

『…悔しいけど、これはあんたのおかげね』

振り返った彼女の顔は、さっきまでの顔じゃなかった。ちょっと照れくさそうな、俺のことを多少認めてくれたような、そんな表情。

「い、いや、別にこれはカイシが教えてくれただけで…」

『カイシ?』

「このメガネのことです。俺、カイシって呼んでるんです」

『ふーん…』

アリサが近づいてくる。

『あんた、眼精疲労って言ってたけど、その聖遺物はやっぱりすごいわね。私の目でもわからないことが見えるんだ』

「はい。でも、戦闘は全くダメで…」

『それでもいいじゃない。指示が的確だったもの。私、助かったわ』

そう言って、アリサはニッと笑った。

さっきまでのツンツンした感じが、ちょっとだけ和らいだ気がする。

[水平線]
[太字][大文字]帰り道[/大文字][/太字]

クエストを終えて、ギルドに戻る道すがら。

『ねえあんた』

「はい?」

『あんた、これからもクエスト、一緒にやらない?』

予想外の提案に、俺は固まった。

「え?一緒にって…」

『私、こう見えて結構無茶しちゃうとこあるのよ。でも、あんたみたいに冷静に指示してくれる人がいれば、もっと効率的にクエストをこなせると思うの』

「で、でも俺、戦えないですよ?」

『それでいいの。戦うのは私。あんたは後ろで指示してくれれば。それにあんたのそのメガネ、めっちゃ便利だし。ありがたく利用させてもらうわよ!』

『パーティーってやつ!私が前衛、あんたが後衛!いいコンビになると思わない?』

【マスター。彼女の申し出は悪くないと思います。彼女は強いですから、マスターが一人で行動するよりは確実に安全です】

カイシも賛成らしい。

「…わかりました。よろしくお願いします」

『決まりね!』

アリサが満足そうにうなずく。

『でも、一つだけ条件があるわ』

「条件?」

『あんた、私のことはアリサでいいから。さん付けとか堅苦しいの嫌いなのよ』

「じゃあ、アリサ…で」

『ええ!よろしく、ユウト!』

そう言って、彼女はまたニッと笑った。

日本一の剣姫と、日本一の眼精疲労。

異世界で、奇妙なコンビが誕生した瞬間だった。

作者メッセージ

金墨グズロ(きんぼくぐずろ)です。
ついに主人公にも人間の仲間ができましたね!
本当は三話と四話を合わせて一話分の予定だったのですが、長くなりすぎてしまいそうなので分けました。

2026/03/14 12:05

金墨グズロ
ID:≫ 49GmuPVjSxrnc
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