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日本一の眼精疲労ですが何か?~最強メガネと異世界攻略~

#3

第三話「銀髪の剣姫」

[太字][大文字]ギルド[/大文字][/太字]

ギルドのカウンターで、リリカさんが手際よく書類を処理している。

『はい、これで登録完了です!ランクはGからスタートとなります!』

「Gって…一番下ですか……?」

『来たばかりなんですから当ったり前ですよ!クエストをこなしていけばランクは上げられるので!頑張ってくださいね!』

リリカさんはニコニコしながら、依頼書の束を差し出す。分厚い…

「ちなみにどんなクエストがあるんですか?」

『そうですねー。初心者向けだと、草むしりとか、街の清掃とか、魔物の素材集めとか…』

「く、草むしり…」

俺はゲーマーだ。日本で初めてラスボスを倒した男だというのに。草むしりから始まるのか…。当然っちゃ当然だけど。

【マスター。現実を受け入れましょう。あなたの戦闘力は一般市民以下です】

カイシの容赦ないテキストが視界に浮かぶ。

「うるさいわ…」

『え?何か言いました?』

「いえ、なんでもないです!」

仕方ない。草むしりからコツコツと…。

そう思った、その時だった。

[太字]バンッ![/太字]

ギルドの扉が勢いよく開かれた。

『依頼を受けるわ!』

入ってきたのは、一人の少女だった。

銀色の長髪をポニーテールにした、俺と多分同い年くらいの女の子。白い騎士風の装束に身を包み、腰には美しい剣を携えている。

そして何より――目が、すごくキラキラしていた。

『お、アリサちゃん!今日も元気だねぇ!』

リリカさんが手を振りながら挨拶している。

少女はカウンターへ一直線に歩いてくる。周りの冒険者たちが、道を開ける。なんだろう、このオーラ…。

俺は無意識に、カイシを起動していた。

【対象:アリサ=クロフォード】
称号:日本一の剣姫
聖遺物:英雄級『白銀の誓約剣』
ステータス:剣技S/魔力C/耐久B
備考:最年少で剣聖の称号を得た天才。
現在の状態:やる気に満ちている

「日本一の…剣姫…?」

思わず呟く。

その声が聞こえたのか、少女がこっちを向いた。

『ん?あんた、誰?』

「あ、えっと…さっき来たばかりの…」

『ふーん。新入りか』

少女は興味なさそうに、またリリカさんに向き直る。

『リリカ!今日こそはBランクのクエストを頂くわ!』

『えーっとね、アリサちゃん。まだCランクのクエストを3つこなしてないよね?ランクアップの条件は…』

『そんなの関係ない!私は天才だって誰もが認めてるのよ!?Bランクくらい楽勝に決まってる!』

『でもねー…規則だから…』

リリカさんが困った顔で一瞬俺を見る。助けを求められても困るんだけど。

「あの…」

気がついたら、口が動いていた。

『何よ』

「その…Cランクのクエストをこなせば、自然とBランクになれるんじゃないですか?ゲームと同じで、経験値が足りてないと次のレベルには行けないというか…」

少女がジロリと俺を睨む。

『ゲーム?あんた、この世界をゲームと一緒にしないでくれる?この世界はゲームなんかじゃない。真面目に話して』

「あ、えと、はい、すみません…」

即座に謝った。怖い。この人、めっちゃ怖い。

【マスター。彼女の才能は本物です。刺激しない方が良いでしょう】

「わかってるよ…」

小声で呟く。

『アリサちゃん、ユウトくんの言う通りだよ。まずはCランクを3つクリアしよう?そうしたらBランクのクエスト、一緒に選んであげるから!』

リリカさんのナイスフォロー。

少女は一瞬ムッとしたが、やがて『…わかったわ』と渋々うなずいた。

『じゃあさっさとCランクのクエスト決めましょうよ』

『はいはい…これなんてどう?「東の森の魔物討伐」。ゴブリンが数匹出る程度だし、アリサちゃんには物足りないかもしれないけど』

『ゴブリン?そんなの一瞬よ!ナメないでくれる!?』

少女は依頼書をひったくるように受け取ると、クルリと反転した。

そして、出口に向かいながら、振り返らずに言った。

『あんた、新入りでしょ。勉強したいなら、見学に来てもいいわよ。私の華麗な剣技、目に焼き付けなさい!』

「え?あ、はい…」

気がついたら返事してた。

少女は満足そうにうなずくと、颯爽とギルドを出て行った。

「…なんだったんだ、今の」

【どうやら、マスターは彼女のお守り役を任されたようです】

「お守り役って…あんな強い人の?」

【戦闘力は高いですが、他は…その…】

「言おうとするなよ」

[水平線]
[太字][大文字]東の森[/大文字][/太字]

結局、俺はアリサ(という名前らしい)についていき、気づけば東の森まで来ていた。

『遅い!』

森の入り口で、彼女が腕を組んで立っている。

「す、すみません…」

『まったく。で、あんた名前は?』

「ユウトです。桐谷ユウト」

『ユウトね。私はアリサ=クロフォード。称号は日本一の剣姫よ』

さっきカイシで見たから知ってるけど。そうとは知らないアリサはドヤ顔だ。完全にドヤ顔だ。

「あの、さっきギルドでも聞こえたんですけど…日本一の剣姫って、どういう…」

『文字通りよ。日本で一番若くして剣聖の称号を得たの。15歳の時ね』

「15歳!?」

『今は16よ。で、こっちに来て3年目。つまり、この世界ではめっちゃベテランってわけ!』

なるほど。だからあの自信満々な態度か。

【マスター。彼女の称号は本物です。ただし…】

「ただし?」

【プライドが高そうです。扱いに注意してください】

カイシの忠告がなければ、今頃もっと嫌な思いをしてたかもしれない。

『で、あんたの称号は何なの?まさか、無称号で来たわけないでしょ?』

「えっと…」

言いにくい。

『何よ、はっきり言いなさいよ』

「…眼精疲労です」

『………は?』

「日本一の、眼精疲労、です…」

アリサが固まった。

数秒の沈黙の後――

『はっ!あははははは!』

盛大に笑われた。誰かに称号を言うと毎回爆笑されるものだから結構心に来る。

「やっぱり笑われた…」

『眼精疲労!?それで日本一!?ダサくない!?』

「…言い返せない」

『あははは!面白い!初めて会ったわ、そんな称号の人!』

笑いすぎて涙まで出てる。確かに笑い話だけど、本人の前でそこまで笑わなくても…。

『で、聖遺物は?眼精疲労に相応しいものが出たわけ?ひんやりタイプの目薬?』

「それが…」

俺はカイシを取り出した。

『なによこれ、メガネ?』

「はい。神話級らしいんですけど」

アリサの動きがピタリと止まった。

『…は?神話級?』

「みたいです。よくわかんないですけど」

『ちょっと貸しなさい!』

アリサがメガネをひったくる。力が強すぎてカイシがへし折れそうだ。耐えてくれカイシ。

『…確かに、それなりのオーラは感じるわね。本物だったりして』

「本物なんですか?」

『はっきりとは私にも分からないけどね。でも、なんで眼精疲労が称号の奴なんかに…』

「んなこと俺が知りたいです」

アリサがメガネを返す。その目つきが、さっきまでのバカにするようなものから、少し変わっているような気がする。

『…ちょっとかけてみなさいよ。何が見えるのか気になるの。さっさと教えて』

俺はカイシをかけた。

視界に、アリサの情報が浮かぶ。

さっきと同じだ。でも、もっと詳しく見たりも出来るかもしれない。

【詳細表示モードに切り替えますか?】

カイシの問いかけに、心の中で〖はい〗と答える。

【対象:アリサ=クロフォード】(詳細モード)
称号:日本一の剣姫
聖遺物:英雄級『白銀の誓約剣』(通称:シルヴィ)
ステータス:剣技S/魔力C/耐久B/敏捷A/精神D(プライドが高いため、精神攻撃に弱い)
スキル:剣術(極)、気配察知(中)、料理(壊滅的)
現在の状態:やる気に満ちている。ユウトを「面白い奴」と認識。
弱点:甘いものに目がない。方向音痴。冷静さを欠くと大きな隙ができる。
攻略のヒント:クッキーを与えることで、およそ30%の確率で機嫌が直る。

「…すごい」

『何が見えるのよ』

「えっと…称号、聖遺物、ステータス…それに、スキルとか弱点とか…」

『弱点!?』

アリサの声が裏返る。

『ちょ、ちょっと、何が見えるの!?変なこと書いてあったりしないでしょうね!!早く教えなさい!メガネぶっ壊すわよ!!』

「え、えっとー…」

言えるわけがない。甘いものに目がないとか、方向音痴とか、冷静さを欠くと隙ができるとか。言ったら八つ裂きにされそうだ。

「べ、別に大したことじゃないですよ。ただ、精神攻撃に弱いとか…」

『そんなの当たり前でしょ!誰だって精神攻撃は嫌よ!』

あ、誤魔化せた…?

【マスター。彼女は単純です。その特性を覚えておくと良いでしょう】

カイシ、お前も大概だな…。

作者メッセージ

金墨グズロ(きんぼくぐずろ)です。
新しいキャラクター、「アリサ=クロフォード」を登場させてみました。気の強い女の子キャラです。よろしくお願いします!
(そういえば活動報告作ってないですね、そのうち作ります...)

2026/03/12 21:55

金墨グズロ
ID:≫ 49GmuPVjSxrnc
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