[太字][大文字]プロローグ[/大文字][/太字]
俺は今、死にかけている。いや、正確に言うと、死ぬかもしれない瞬間をリアルタイムで実感していた。
目の前のモニターには、72時間ぶっ通しで挑み続けたラスボスのHPゲージ。残りわずか[太字]1%[/太字]。
「は……はは……やっと……やっと終わる……!」
視界が霞む。目が痛い。涙が出る。でもそれは感動の涙じゃなくて、単なる生理現象。
でも構わない。
この瞬間のために、俺は学校を3日間サボった。おばあちゃんの家にパソコンやらゲーム機やらを丸ごと持ってこっそり逃げて、親には「合宿」と嘘をついた。本当は友達の家が良かったけど、友達なんて俺にはいなかった。いるのはネット上の攻略仲間だけ。
「桐谷ユウト、16歳。人生初の本気。ラスボス討伐、目前――!」
ラスボスのHPが0.5%……0.3%……0.1%……と減っていく。
「いけえええええ!」
ゲーム内のキャラクターが大きな剣を振りかぶり、最後の一撃を叩き込む。ラスボスが轟音と共に倒れ、攻略完了の文字が画面に浮かぶ。
「や……やった……」
俺はゆっくりと立ち上がった。目眩がする。頭が痛い。でも勝った。ネット上に存在する大規模な攻略掲示板の情報によれば、まだこのゲームを完全クリアした人はいない。つまり、日本で最初のラスボス攻略者だ。
でも、喜ぶ時間なんて無かった。クリアしたその瞬間――
視界が、真っ白になった。
「あ、これ、もしかして……やばい?」
俺は自分の体が後ろに倒れるのを感じた。最後に見えたのは、天井の蛍光灯と、攻略完了の文字が輝くモニター。
そして、そのまま意識は闇に溶けた。
[水平線]
[太字][大文字]転生[/大文字][/太字]
目が覚めると、真っ白な空間に立っていた。
「……え?」
床も壁も天井もない。ただどこまでも続く白。
「あれ?俺、死んだ?」
自分の手を見る。ちゃんとある。体もある。でもなんか……浮いてる?
『死んだね。完全に。若いのに可哀想だねえ、ドンマイ』
突然、背後から声がした。
振り返ると、そこには――
『はい、どーもー!神様でーす!』
白い服を着た、若い男が立っていた。20代前半くらいで、ゆるふわパーマの茶髪に、何考えてるのかわからない笑顔。手にはタブレット端末っぽいものを持っている。第一印象が乙女ゲーに出てくる奴すぎる。なんだこいつは。
「……は?」
『あ、固まっちゃった。まあそうなるよね。でも時間ないからサクサク行くよー』
神様を名乗る男は、タブレットをスワイプしながら早口でまくし立てる。
『えーっとね、桐谷ユウト君、16歳。ゲーマー。ガジェットオタク。死因は過労による心不全……あ、違うな、これ見ると「眼精疲労の極限による全身機能停止」って書いてある。なにそれ初めて見た』
俺だってこんな理由でこんなすぐに死にたくは無かったぞ。クリア途中の別のゲームもやりたかったのに。
『いやーびっくり!眼精疲労で死ぬ人、君が初めてだわ!マジで!』
自称神様男はケラケラ笑っている。
「で、でも!ラスボス倒したんです!日本で最初に!」
『あ、そうなんだ。おめでとう!でも死んだけどね!』
ニコニコ。
こいつ……性格悪くないか?
「で、これからどうなるんですか?天国とか地獄とかあるんですか?」
『あー、それがね。君、死因が特殊すぎて、行き先が決まってないのよ』
「はっ?」
自称神様男がタブレットをこっちに向ける。そこには俺のデータが表示されていた。
【氏名】桐谷ユウト
【年齢】16歳
【死因】眼精疲労の極限による全身機能停止
【備考】日本一の眼精疲労達成者。
「日本一の……眼精疲労?」
『そう!僕は今まで色んな人間の色んな死に方を見てきたんだけど、「眼精疲労で死亡」は初めて!で、君は日本一の眼精疲労っていう称号を得たわけよ。しかもこの称号、実は異世界でもめっちゃレアなんだよねー』
「異世界?」
『そう!今から君を、「日本一」が集まる異世界に転生させまーす!』
パンッ!とクラッカーを鳴らすような仕草をする自称神様男。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
『待たない!だって時間ないし!はい、じゃあ行ってらっしゃーい!』
自称神様男が指をパチンと鳴らした。
その瞬間、俺の体が光に包まれる。
『あ、そうそう。異世界でのルールは向こうで説明されるから!多分!じゃあねー!』
「うわああああああ!」
俺は今、死にかけている。いや、正確に言うと、死ぬかもしれない瞬間をリアルタイムで実感していた。
目の前のモニターには、72時間ぶっ通しで挑み続けたラスボスのHPゲージ。残りわずか[太字]1%[/太字]。
「は……はは……やっと……やっと終わる……!」
視界が霞む。目が痛い。涙が出る。でもそれは感動の涙じゃなくて、単なる生理現象。
でも構わない。
この瞬間のために、俺は学校を3日間サボった。おばあちゃんの家にパソコンやらゲーム機やらを丸ごと持ってこっそり逃げて、親には「合宿」と嘘をついた。本当は友達の家が良かったけど、友達なんて俺にはいなかった。いるのはネット上の攻略仲間だけ。
「桐谷ユウト、16歳。人生初の本気。ラスボス討伐、目前――!」
ラスボスのHPが0.5%……0.3%……0.1%……と減っていく。
「いけえええええ!」
ゲーム内のキャラクターが大きな剣を振りかぶり、最後の一撃を叩き込む。ラスボスが轟音と共に倒れ、攻略完了の文字が画面に浮かぶ。
「や……やった……」
俺はゆっくりと立ち上がった。目眩がする。頭が痛い。でも勝った。ネット上に存在する大規模な攻略掲示板の情報によれば、まだこのゲームを完全クリアした人はいない。つまり、日本で最初のラスボス攻略者だ。
でも、喜ぶ時間なんて無かった。クリアしたその瞬間――
視界が、真っ白になった。
「あ、これ、もしかして……やばい?」
俺は自分の体が後ろに倒れるのを感じた。最後に見えたのは、天井の蛍光灯と、攻略完了の文字が輝くモニター。
そして、そのまま意識は闇に溶けた。
[水平線]
[太字][大文字]転生[/大文字][/太字]
目が覚めると、真っ白な空間に立っていた。
「……え?」
床も壁も天井もない。ただどこまでも続く白。
「あれ?俺、死んだ?」
自分の手を見る。ちゃんとある。体もある。でもなんか……浮いてる?
『死んだね。完全に。若いのに可哀想だねえ、ドンマイ』
突然、背後から声がした。
振り返ると、そこには――
『はい、どーもー!神様でーす!』
白い服を着た、若い男が立っていた。20代前半くらいで、ゆるふわパーマの茶髪に、何考えてるのかわからない笑顔。手にはタブレット端末っぽいものを持っている。第一印象が乙女ゲーに出てくる奴すぎる。なんだこいつは。
「……は?」
『あ、固まっちゃった。まあそうなるよね。でも時間ないからサクサク行くよー』
神様を名乗る男は、タブレットをスワイプしながら早口でまくし立てる。
『えーっとね、桐谷ユウト君、16歳。ゲーマー。ガジェットオタク。死因は過労による心不全……あ、違うな、これ見ると「眼精疲労の極限による全身機能停止」って書いてある。なにそれ初めて見た』
俺だってこんな理由でこんなすぐに死にたくは無かったぞ。クリア途中の別のゲームもやりたかったのに。
『いやーびっくり!眼精疲労で死ぬ人、君が初めてだわ!マジで!』
自称神様男はケラケラ笑っている。
「で、でも!ラスボス倒したんです!日本で最初に!」
『あ、そうなんだ。おめでとう!でも死んだけどね!』
ニコニコ。
こいつ……性格悪くないか?
「で、これからどうなるんですか?天国とか地獄とかあるんですか?」
『あー、それがね。君、死因が特殊すぎて、行き先が決まってないのよ』
「はっ?」
自称神様男がタブレットをこっちに向ける。そこには俺のデータが表示されていた。
【氏名】桐谷ユウト
【年齢】16歳
【死因】眼精疲労の極限による全身機能停止
【備考】日本一の眼精疲労達成者。
「日本一の……眼精疲労?」
『そう!僕は今まで色んな人間の色んな死に方を見てきたんだけど、「眼精疲労で死亡」は初めて!で、君は日本一の眼精疲労っていう称号を得たわけよ。しかもこの称号、実は異世界でもめっちゃレアなんだよねー』
「異世界?」
『そう!今から君を、「日本一」が集まる異世界に転生させまーす!』
パンッ!とクラッカーを鳴らすような仕草をする自称神様男。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
『待たない!だって時間ないし!はい、じゃあ行ってらっしゃーい!』
自称神様男が指をパチンと鳴らした。
その瞬間、俺の体が光に包まれる。
『あ、そうそう。異世界でのルールは向こうで説明されるから!多分!じゃあねー!』
「うわああああああ!」