文字サイズ変更

湊の境界放浪記

#5

2日目__ルールのつかいかた

ぱち、と目が開く。いつもの天井じゃないことに驚いたが、すぐに思い出す。
そうだ、ボクなんか変なところに来たんだ
昨日は疲れてたからスルーしてたけど、ここはどこなんだろう…文字も違うみたいだし、あれ、どうやって話してたんだっけ
アインツさんって日本語話してたよね?あれじゃあ日本人?そんなことある?
ちゃんと聞かないだよね。せめて言語だけでも聞かないと猫ちゃんの名前が聞けなくなる…
アインツさんは…まだ寝てるみたい
ロフトを降りて周りを見渡す。本棚がしっかりあって、びっしりと詰まっている上に入りきらなかった量の本が机や床に積まれている。
言語学の本はないのかな…?
棚の本には様々なものがあるみたいだが何かはわからない。適当に本を広げて見ていく。
開いても何が書いてあるかさっぱり分からない。部屋を見回すとテレビらしきものがあったため、頑張ってつけた。
やっている番組はありふれたニュースのようだが、聞き慣れない言語で流れてくるため不思議な感覚になる。真似して発音してみるが意味はわからない。後でアインツさんに教えてもらおう。
2時間ほどぼんやりテレビや本を見ていると、ロフトから音が聞こえた。
階段から降りながら小さく伸びをして話しかけてきた
ア「んー…アンタ、もう起きてたの?」
湊「うん」
ア「思ったより早いな…」
ふと周りを見渡して床に広げられた本を見て言った。
ア「本読んでたの?わかんないだろ」
湊「勉強しようと思って」
ア「テレビも…そういうことか」
少し笑いながら揶揄うような表情で話す
ア「どう?少しはわかった?」
湊「わかんないよ。あ、発音だけはちょっと」
湊「えーと、ᴴⁱᵉʳ ˢⁱⁿᵈ …ᵈⁱᵉ ʰᵉᵘ、ᵗⁱᵍᵉⁿ ᴺᵃᶜʰʳⁱᶜʰᵗᵉⁿ」
ア「うわー…たどたどしいな。えーと、Hier sind die heutigen Nachrichten.だよ」
湊「なんて意味?」
ア「本日のニュースです」
湊「日常じゃ使えないな…」
ア「後でちゃんと勉強しよう。色々用意するから待ってて」
そう言ってキッチンに向かう。朝食をすませると奥で着替えてきたアインツさんが話す
黒いシャツにリボンタイ、短めのベストにグレージュのケープを羽織っており、すらっとしたシルエットは彼の体格によく似合っている。
ア「そういえばさ、アンタがここに滞在することだけど、さっきもスルーしたけどやっぱダメだよ」
湊「何で?」
ア「これ報告しないとただの不法滞在だよ」
湊「えっ」
昨日は行けたと思ったんだけどな
ア「…だから、報告しに行く」
湊「え?バラすよ?」
ア「やめろ。で許可を貰って合法で滞在する」
湊「あー…なるほど。え、それ大丈夫なの?」
ア「………多分無理」
は?という顔をするとまぁ自信ありげな顔で答える
ア「…だけど、オレなら話は別なわけ」
ほんとに自信家でプライドが高いなこの人…
ア「てことでまず、物理的に帰れるかどうかだか、昨日調べた感じまぁ帰れなさそうなんだよね」
湊「は?」
訳がわからないといった顔をすると、宥めるようなジェスチャーをする
ア「今他の世界と繋がるゲートを封鎖してるからさ、開けられないんだよ。まぁ封鎖してるせいでアンタみたいな誤作動で来ちゃったやつがいるんだけどさ…」
湊「じゃあ来た人はどうするの?」
ア「保護施設に入れて一気に戻すか天界に送りつける。まぁ基本的にはここでの生活は許されない。神素の影響があるからね」
湊「それじゃあダメじゃない…?猫に会えないってことじゃん」
ア「気が早いよ。異邦人の権限は基本的に保護施設が持ってるんだけど、当人が混乱してたり、あまりに他の人に懐かないと第一発見者と半永久的に同居することが許されるんだよ。まぁつまり、永住権が取れる」
湊「…でも遠くまで出かけられないよね?変わらなくない?」
ア「まぁその制度だけじゃ…ね?ここの法律をできる限り穴をついてグレーゾーンを責める。で、ここで重要なのが神職者とのパートナー制度。」
湊「…パートナー制度?何それ」
ア「今死神も人手不足で除霊が回らないから現地の神職と協力して除霊ができるんだけど、そのパートナーは境界にいることが一時的に許される訳。で、アンタは神職者じゃん?しかもパートナー制度だと権限は当人に委ねられる。更に優先順位は指定がない」
ア「それらを重ねて利用して権限に注目すると、」
段々とわかってきた気がする。パートナーとしての権利と保護された身の権限のいいところだけを使うのか

2人「[太字]…つまり、パートナーとして自由に行動しつつ、異邦人として永住権を取得できる[/太字]」

ア「分かってるな」
得意げになって話す
湊「これくらいは」
ア「まぁただ、他人にこれを説明するのはめんどくさいし、人間が行動してると怪しまれるから、民衆には隠さないとだけどね」
湊「なるほどね」
ものすごくグレーだけどいいのかなこれは。まぁここまで自信満々で話してるし大丈夫なのだろう
ア「ということで、パートナーになるよ」
湊「え、うん」
ア「紙貰ってきたからこれにサインして。名前とサインでいいから」
湊「わかった」
ちゃちゃっとサインを書く。ざらざらした和紙のような紙には何かわからない文字が書いてあっていかにも異国といった感じだ
ア「書いたな。よし、じゃあこれからはパートナーだ。攻撃された時は互いを守り、助け合い、時に互いを正しく導く。誓うな?」
こんなに適当な感じでいいのかなこの儀式は…
湊「誓う」
そう言った瞬間、ふわっと金色の光の円が舞い、2人を囲む。シュルルルルと周りを回ってアインツとボクの首筋へ吸い込まれる。
アインツさんは気を抜いたように息を吐き、近づいてくる。
ア「首筋、見せて。ちゃんとできたか見たい」
湊「え、恥ずかしいんだけど」
ア「オレもだよ。いいから、見せて」
しぶしぶ後ろを向いてフードを降ろさせる。すぐ見つかったのか、トンっと肩を叩いて話す
ア「あったよ。ちゃんと結ばれてるから大丈夫だ。これで行動の権利はとったも同然だ。次は言語の習得をするぞ」
湊「え、なんで???」
テレビや本を見て、どれだけ言語の習得が大変かよく分かった。普通にもうやりたくない。
ア「普通に生活しても大丈夫だってことを証明しないとだから、保護施設は学校も兼ねてるから、パートナー権限剥奪も考えられる」
湊「そんな…」
ア「てことでやるよ。はい、椅子に座って」
湊「わかった…」

2026/01/01 15:42

狛猫。
ID:≫ 9pZu6LRhlKmoI
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は狛猫。さんに帰属します

TOP