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※コメディ色強めなので、ジャンルはコメディですが推理もします。
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ラズ・ノワールの探偵手帳

#2

二冊目_With hard work

「お姉さん、誰?」
「えっ、」
ルームクリーニングをしていると、背後から声がした。おかしい、ドアにクリーニングOKのカードがかかっていたし、クリーニング中だともかけておいたのに。まさか間違えた?それとも確認忘れ?あぁ、どうしよう。使用人はあまりお客様と会わないようにしないとなのに…!
内心とても焦りながら恐る恐る振り向く
「…なんでそんな焦ってるの?」
後ろにいたのは、VIPルームに居るとは思えないような子供だった。
「…え?」
「…?何?」
小さな背丈に高い声がとても可愛らしい子供だ。服もよく似合っている、が。
「…み、耳…それ、えっと、可愛いカチューシャですね…?」
赤い髪の上で大きな動物の耳がぴこぴこと動いている。子供は相変わらず不思議そうに首を傾げていた。
「…耳?耳…あぁ。うん。可愛いでしょ。ふわふわなんだよー!」
先程まで神妙な顔つきだったのがふわっとした笑顔に変わる。よかった、怒らせたわけではなかったみたいだ…
「お姉さんここの人?あ、掃除とかしに来たんでしょ!」
「…あ、あぁ、うん。そうだよ〜」
一生懸命笑顔をつくる。上司に見つかったら何と言われるか分からないが、まぁ大丈夫だろう。
「ねぇ、お姉さんメイドさんでしょ!可愛い服だからわかったよ!」
「そう?ありがとう…!」
私が来ているのは何の変哲もない黒のワンピースにボレロだったが、褒めてもらえてなんだか嬉しかった。目の前の子供はなぜか嬉しそうにぴょんぴょんしている。耳のついたカチューシャが揺れてとても可愛らしい。子供はソファーにぽふんと座った。
「みんななんか忙しそうなの。誰も遊んでくれないんだよ…。ねぇ、お姉さん今忙しい…?」
「…いや…??」
きゅるんとした顔で聞かれると、忙しいとは言えなかった。実際、この後は何の仕事ももうなかったし、忙しいわけではなかった。
「ほんと?じゃあ、髪といてほしいなぁ。…いい?」
「いいよ」
やった。と言うと子供は髪をほどいた。外された茶色のリボンには金のラインが入っていて、とても高級感がある。
「今日疲れたんだー色々やったんだよー。ここ結構不正多いねー。お姉さんも気をつけなよ?」
「え…あぁ、うん」
何の話かわからないけど、色々と話してくれる。『あそこはディーラーの不正が多いけどここはサイコロと客がダメだね』とか、『バレたら逃げるとかダサいよね』とか『口止め料のお菓子美味しかったなぁ。連行されてたけど』とか……
何の遊びかわからないけど、結構ハードなことするんだなぁと思いながら髪をとかす。サラサラで赤い髪には少し白い束が混じっていて、いいアクセントになっている。
「…この白い束は元々?」
「そうだよ!可愛いでしよ〜みんな褒めてくれるんだよ」
自慢げに話しているが、本当に綺麗な髪をしている。量が多いのに柔らかくて、光沢がある。本当に羨ましい髪質だ。
「綺麗な髪だね〜」
「でしょ〜。毎日といてくれるんだ」
大切にされてるんだなぁと思いながら話していると、女の子のお腹が鳴った。
「……お腹空いてるの?」
「まぁ、うん。でも、多分そろそろみんな戻ってきて、お菓子くれると思う」
「そうなの?…アレルギーとかない?」
「ないよ?」
「お部屋のお菓子で良ければ出すよ。紅茶もいりますか?」
「え、いいの!?じゃあ紅茶もつけてほしいなぁ〜!お砂糖いれてね!」
目を輝かせながら足をぱたぱたしている。喜んでもらえるのが嬉しくて少し急いで準備する。
お皿を出してお湯を沸かす。ここのお菓子は何だったかなぁ…
少ししてお菓子を出すと、女の子は目を輝かせた。
「わぁ!すごい…!これお姉さんが用意したの!?すごいね!毎日出してほしいなぁ〜」
「いや、そのままお皿に出しただけだよ」
子供とはいえ、褒められると少し照れてしまう。
「そういえばお姉さん、名前なんて言うの?ボクはねーラズだよ。聞いた事ある?」
「りのはだよ」
ラズちゃんかぁ…聞いた事あるかなぁと話しながら髪をとかしていると、ガチャっと何か音がした。
「ただいまー。いい子にしてた〜?」
「!おかえり〜!遅いよ〜」
「いやー色々あって…って、あれ、誰かいれた?」
あっ、まずいと思った。いや何もしてないんだけど、勝手に色々世話を焼いてしまった。うわーちょっとめんどくさいかも…どうしようかな…
「あ、えっと…」
「えっとね〜、使用人の方だよー。りのはさんって言うんだって!お菓子とかくれたんだよ!」
ソファーから飛び降りて帰ってきた人に駆け寄る。
「え〜、そうなの?」
壁からぬっと手が伸びてくる。そうすると、すらっとした美形の人が現れた。優しそうな、長い黒髪が美しい人だ。
「あ、ほんとだ。すみませんうちの子が」
「いえいえ、クリーニングのついでだったのでそんな…」
「あぁ、すみません邪魔しちゃって。迷惑かけませんでした?この子」
そう言ってラズちゃんの頭をポンと触る。そうすると何かに気がついたのか怪訝な顔をした。
「ん?ラズ、幻術はどうしたの?」
「え、幻術?ここの人みんな知ってるんじゃないの?」
「…え?」
何かおかしいことがあったみたいで話し合っている。頭の耳とかスカートから覗くしっぽのことじゃないだろうなぁと思うが、めんどくさそうなのでここらでちょっといなくなろうかな…
「すみません私は次がありますので…」
「ちょいちょい、待とうか」
そう言われガシッと肩を掴まれる。あっ、やばいと思った時には遅かった。
「耳と尻尾、気づいてるよね。ちょっとこのまま帰すわけにはいかないかなぁ…ごめんね?」
「ひえ…」
先程までと同じ人だとは思えないほどの威圧感に、思わずキュッとなってしまった。
…めんどくさいことになったかも…

作者メッセージ

長いですがありがとうございました!
これからも更新していきますので、是非ともよろしくお願いします!

2026/06/15 22:01

狛猫。
ID:≫ 9pZu6LRhlKmoI
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