―神。
それはこの世の創造源であり、この世の理を[漢字]識[/漢字][ふりがな]し[/ふりがな]るものである。
〜〜〜〜〜
「下手すぎるな。一旦。」
そう愚痴を溢したのは“チキュウ”出身の18歳ほどの青年。名を[漢字]田中正輝[/漢字][ふりがな]たなかまさき[/ふりがな]と言う。
この漠然とした宇宙には2つの世界がある。
キドたちが住むその世界と、もう一つ。そのもう一つの世界の名前、それが“チキュウ”である。
正樹は“チキュウ”において起こった醜い争いである“タイヘイヨウセンソウ”で身内を亡くした青年だ。
「んーんっんー、んーんっんっんーんっんっんーんっんっふん♩」
正樹の辛辣な言葉には耳を貸さずに鼻歌を歌い続ける20代の男。
薄浅葱色の短い髪。白いTシャツにダボっとした黒のズボンというラフな格好。チャラいニートみたいな風体の彼の意外にも整った顔立ちはどこか見る人を魅了する力を持つ。
そんな男はなんとも気分がよさそうに鼻歌に没頭。
「まずそれってなんの歌?最近流行ってるヤツ?」
正樹の問いに、その男は鼻歌をやめる。
「しらねぇのか?“チキュウ”でもうちょっと後の時代に流行る“アニメ”の曲だぞ?」
「知るかぁ!んなこと。未来のこと知るわけねえだろうが。なんだと思ってんだよてめーふざけんじゃねえぞ」
「そんなに興奮しないでください」
「てんめえ…!その落ち着いた態度で流されんのが一番イラっとすんだよ…!!」
「ブハハハハハハハハ!!」
そう正樹のことを大人気なく煽り倒す男。
その正体は、そう、この世界の神であった―。
〜〜〜〜〜
15年前―。
「我々、日本軍はポツダム宣言を受け入…」
ラジオで淡々と言葉が流れていく。周囲には黒い煙が立ち込めており、包帯に巻かれた人々が溢れている。世界の終わりかのような曇天、そんな地獄絵図の環境の中、人々は何も話さずラジオの言葉に耳を傾けている。
喜び、哀しみ、寂しさ―。色々な感情が混ざり合い、感情のままに暴れ散らかしたいが、その気力もない。そんな感じだ。
田中正樹、当時5歳である。
「母さん…?父さん…?兄ちゃん…?」
正樹の口から咄嗟にこぼれ出る言葉。それをきっかけとし、涙の防波堤が崩壊する。
正樹は、声を上げずに泣いていた。なぜ泣いているのかが自分でもよくわかっていないのに。
「母さんたちは、どこいったの?」
―涙が止まった時には、正樹の意識はどこか客観的であった。
泣き疲れた。もう何もかもが嫌になった。こんなこと全て忘れてしまいたい。
「母さん。父さん。兄ちゃん。 まさき、どうすればいいの…?」
正樹が独りごちた問いに応じるように、曇天の中に雲の隙間が一つ生じ、場違いな爽やかな太陽の日が差し込んだ。
正樹は、疲れた体を動かし光差し込む雲の狭間へ顔を向ける。涙の跡に光が当たり、暗い気持ちとは裏腹にキラキラとした輝きを受けた正樹は、神からの励ましを受けたようである。
体から力が抜ける。正樹の意識は、暗転する――。
〜〜〜〜〜
「んーまた“チキュウ”はいつも無益な争いを繰り広げて…。ま、あっちの世界もなかなかだけどな」
天界から下界を見下ろす20代の男。
そう、神である。名をガイア・ワタシハカミという。
ガイアは、特に何も考えず無惨な状態になった“ニッポン”という地へ目を向ける。
首都であり、大空襲を受け多大な被害を被った“トウキョウ”の様子を観察していた。
「おーおー酷い有様だなあ」
そこは生き人屍人と区別のつかないほどに混沌の地と化していた。人々の精神は磨耗し切っている。
そんな中に、ガイアは1人の子供を見つけた。
「…」
真っ黒の髪に真っ黒の目。“ニッポン”というこの地域には多いありきたりな人間。至って普通の人間。
だが、その子供はまっすぐとガイアのことを見つめ―。ふっと力が抜けたのか横に倒れ込んだ。
「こいつ…俺のことを…?」
ガイアはこの子供に興味を持ち―。
〜〜〜〜〜
「おいガイア、能力授与の儀だってよ。マルクスさんが呼んでるぞ。」
「んー今いいところなんだけどなぁ」
「渋々いってんじゃねー。もう戦ってやんねえぞ?」
「うっし行きまーーす!」
ガイアは未来の“ニッポン”から取り寄せた“す[漢字]1[/漢字][ふりがな]イッチ[/ふりがな]”というものでゲームをしていた。正樹はゲームから離れたがらないガイアのケツを叩く。
ガイアは“ぽてとちっぷす-コンソメアジ-”なるものを抱えながらマルクス神父の精神へ入っていった。
―あの後、孤児となった正樹は一切の記憶を失っていた。そんな正樹をガイアは何を思ったのか、天界に引き取ったのである。
それから正樹はガイアの友であり、神と聖職者を繋ぐ存在として過ごすこととなったのだ。
そして今に至る。
「はっ。散々信仰されてやがる神はこんな体たらくなんて知れ渡ったらどうなるんだろうな…」
自分の知らない過去。だが満足している今の現状。正樹は1人になった天界で微笑を浮かべながら文字通り独りごちたのだった―。
それはこの世の創造源であり、この世の理を[漢字]識[/漢字][ふりがな]し[/ふりがな]るものである。
〜〜〜〜〜
「下手すぎるな。一旦。」
そう愚痴を溢したのは“チキュウ”出身の18歳ほどの青年。名を[漢字]田中正輝[/漢字][ふりがな]たなかまさき[/ふりがな]と言う。
この漠然とした宇宙には2つの世界がある。
キドたちが住むその世界と、もう一つ。そのもう一つの世界の名前、それが“チキュウ”である。
正樹は“チキュウ”において起こった醜い争いである“タイヘイヨウセンソウ”で身内を亡くした青年だ。
「んーんっんー、んーんっんっんーんっんっんーんっんっふん♩」
正樹の辛辣な言葉には耳を貸さずに鼻歌を歌い続ける20代の男。
薄浅葱色の短い髪。白いTシャツにダボっとした黒のズボンというラフな格好。チャラいニートみたいな風体の彼の意外にも整った顔立ちはどこか見る人を魅了する力を持つ。
そんな男はなんとも気分がよさそうに鼻歌に没頭。
「まずそれってなんの歌?最近流行ってるヤツ?」
正樹の問いに、その男は鼻歌をやめる。
「しらねぇのか?“チキュウ”でもうちょっと後の時代に流行る“アニメ”の曲だぞ?」
「知るかぁ!んなこと。未来のこと知るわけねえだろうが。なんだと思ってんだよてめーふざけんじゃねえぞ」
「そんなに興奮しないでください」
「てんめえ…!その落ち着いた態度で流されんのが一番イラっとすんだよ…!!」
「ブハハハハハハハハ!!」
そう正樹のことを大人気なく煽り倒す男。
その正体は、そう、この世界の神であった―。
〜〜〜〜〜
15年前―。
「我々、日本軍はポツダム宣言を受け入…」
ラジオで淡々と言葉が流れていく。周囲には黒い煙が立ち込めており、包帯に巻かれた人々が溢れている。世界の終わりかのような曇天、そんな地獄絵図の環境の中、人々は何も話さずラジオの言葉に耳を傾けている。
喜び、哀しみ、寂しさ―。色々な感情が混ざり合い、感情のままに暴れ散らかしたいが、その気力もない。そんな感じだ。
田中正樹、当時5歳である。
「母さん…?父さん…?兄ちゃん…?」
正樹の口から咄嗟にこぼれ出る言葉。それをきっかけとし、涙の防波堤が崩壊する。
正樹は、声を上げずに泣いていた。なぜ泣いているのかが自分でもよくわかっていないのに。
「母さんたちは、どこいったの?」
―涙が止まった時には、正樹の意識はどこか客観的であった。
泣き疲れた。もう何もかもが嫌になった。こんなこと全て忘れてしまいたい。
「母さん。父さん。兄ちゃん。 まさき、どうすればいいの…?」
正樹が独りごちた問いに応じるように、曇天の中に雲の隙間が一つ生じ、場違いな爽やかな太陽の日が差し込んだ。
正樹は、疲れた体を動かし光差し込む雲の狭間へ顔を向ける。涙の跡に光が当たり、暗い気持ちとは裏腹にキラキラとした輝きを受けた正樹は、神からの励ましを受けたようである。
体から力が抜ける。正樹の意識は、暗転する――。
〜〜〜〜〜
「んーまた“チキュウ”はいつも無益な争いを繰り広げて…。ま、あっちの世界もなかなかだけどな」
天界から下界を見下ろす20代の男。
そう、神である。名をガイア・ワタシハカミという。
ガイアは、特に何も考えず無惨な状態になった“ニッポン”という地へ目を向ける。
首都であり、大空襲を受け多大な被害を被った“トウキョウ”の様子を観察していた。
「おーおー酷い有様だなあ」
そこは生き人屍人と区別のつかないほどに混沌の地と化していた。人々の精神は磨耗し切っている。
そんな中に、ガイアは1人の子供を見つけた。
「…」
真っ黒の髪に真っ黒の目。“ニッポン”というこの地域には多いありきたりな人間。至って普通の人間。
だが、その子供はまっすぐとガイアのことを見つめ―。ふっと力が抜けたのか横に倒れ込んだ。
「こいつ…俺のことを…?」
ガイアはこの子供に興味を持ち―。
〜〜〜〜〜
「おいガイア、能力授与の儀だってよ。マルクスさんが呼んでるぞ。」
「んー今いいところなんだけどなぁ」
「渋々いってんじゃねー。もう戦ってやんねえぞ?」
「うっし行きまーーす!」
ガイアは未来の“ニッポン”から取り寄せた“す[漢字]1[/漢字][ふりがな]イッチ[/ふりがな]”というものでゲームをしていた。正樹はゲームから離れたがらないガイアのケツを叩く。
ガイアは“ぽてとちっぷす-コンソメアジ-”なるものを抱えながらマルクス神父の精神へ入っていった。
―あの後、孤児となった正樹は一切の記憶を失っていた。そんな正樹をガイアは何を思ったのか、天界に引き取ったのである。
それから正樹はガイアの友であり、神と聖職者を繋ぐ存在として過ごすこととなったのだ。
そして今に至る。
「はっ。散々信仰されてやがる神はこんな体たらくなんて知れ渡ったらどうなるんだろうな…」
自分の知らない過去。だが満足している今の現状。正樹は1人になった天界で微笑を浮かべながら文字通り独りごちたのだった―。