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この小説には微グロ要素が含まれます 苦手な方はお気をつけください
「リール!落ち着け!!まだお前が殺したかなんて決まってな…い…、…!!」
見開いたノル姉様の目に映るのは、きっと、血の持ち主だろう。前に一度聞いたことがある。ノル姉様は、誰のものかをひと目見ただけでわかると。例えば、落ちている剣の持ち主、だとか、僕の頬にこびりついた血の持ち主…だとか。
……ッッ___!?なぜこんなにも普通に受け止めている!?違う、俺は殺していない!!!
「ど…うして、そんなこと…」
「待てノル!元はと言えば俺がレアンではないと言って…」
「あ、いい感じに仲間割れしてる〜?」
「ッ!?」
急な新たな声に振り向くと、見覚えのある顔__先程雇われ兵だと自称していた男だった。
そしてその男は何かをひこずりながら歩いている。それは、血塗られた白い隊服を着た人…特徴的な黄色いラインは、団長、陽のものだった。
男が引きずる死体…陽の死体は、右肩から下が無く、ところどころ刳られたような箇所があった。
「………ぁ、ぁぁ、陽、が……嘘…嘘…」
「あれ、なんかごめんね?殺しちゃった」
淡々と真実を告げる男は、まるで人の心を持っていないようだった。
いや、きっと本当に持っていないのだろう。だったらこんなこと、できるはずがない。
「…のせいだ」
「………なんだと?」
「私の…せいだ…」
「私が…容易に再調査などと言ってしまったから…攻められると知っていたのにも関わらず……だから、レアンも、陽も…ッ」
「___…話してるとこ悪いけど、俺急いでるから。手短に終わらせよう」
と言い、話を強制的に終わらせると、男は戦闘態勢に入った。
そして、 狙いは…
「…ッ!、ノル姉様!!!避けッ___」
「ぅぐッ、がぁぁあああッ!!!」
「……!?!!ケイ、ス、兄様…!?」
ケイス・カル・アイラスは、アイラス王国の第一王子だった。
二歳下の妹、ノル・カル・アイラスは、国一の天才だった。
才色兼備という言葉が一番にあう彼女は、第一王子というケイスの地位を押し退け、王位継承権を手に入れた。
そんな才能満ち溢れた妹と比べられ続け、裏では王族の恥、とまで言われていたケイスには、魔学の才能があった。
溢れんばかりの魔力と、その強大な魔力を扱う魔法使いの適正。アイラス王国の王族には、一度も産まれたことのない子。
そして、その頃のアイラス王国では魔法は浸透していなかったからか、悪魔の子と言われ蔑まれていた。
そこから彼を救ったのが、ノルだった。ノルに恩返しがしたい。いずれ王になるであろう彼女に尽くしたい。
そんな思いから、魔学の研究をし続け、千年に一度の魔法使いと言われるようになった。
全てはノルのために。そして、ノルが愛する王国と、家族のために。
「……俺は…お前の、支え…に、…なれ、て…いたか?……ノ、…[小文字]ル[/小文字]……____」
「…ケイス…。あぁ、なれていたよ。勿論だとも。今だってほら、お前は、私の、ちから、に…!!!」
段々と声が震えていき、ノル・カル・アイラスという仮面が剥がれていく。
そこに居たのは、兄の死を嘆く一人の少女だった。
「おにいちゃんっ…なんでっ…!」
嘗ての呼び名で、今まで己の中で封印していたであろう呼び名で、何故だと泣き叫ぶ。
その隣の僕は…。僕は…。
「……………どうして、いつもこうなんだ」
「なんで、僕の周りの人は、みんな…なんで!!!」
「俺のこと忘れないでよね」
「ッ!」
再び狙われた無防備な王…ノルを押し、無理やり攻撃を避けさせる。
「…どうして、どうして!あのままだったら、おにいちゃんの、所に…!!どうして!!!!」
「ッ!!!」
その時、パンッ!と頬を強く叩く音が聞こえた。いや、鳴らしたのだ。
「な、なにす__」
「なんのためにケイス兄様が命がけで守ったと思ってるんだ!!!!!ふざけんな!!!!!!」
「リール…でも、でも…!…私は…」
「ケイス兄様の命を無駄にしたいのか!?そんなお前に、僕がレアンを殺しただなんて言われる筋合いはない!!!!!」
「………」
暫く沈黙が続く。その間にも、多分敵は待ってくれない。早く、戦う体制を整えなければ__
「………お前の言う通りだ。すまなかった、リール」
仮面は元に戻り、そこにはアイラス王国の王がいた。
と、思っていた矢先、肩を強く押され、坂を転げ落ちる。
「はっ…なっ、なにしてっ…!」
「お前だけでも逃げてくれ」と言った風に見えた彼女は、どんどん遠く離れてゆく。
どんどん、離れて、小さくなって。戦いの音すら聞こえないようになって、僕は一人になった。
山の頂上にあるカルフォンネ城は、もう遠のいて小さく見えてしまっている。
「…また…逃された……なんで、僕はいっつもいっつも…!助けてもらったのに恩を仇で返すような…なんで僕は助けられないんだよ…!!!!」
「なんでなんだよッ…意味わかんねぇ…っ」
ごめん、母さん。俺のせいで、せっかく会えたのに。
ごめん、レアン。俺はお前の未来を奪った。
ごめん、陽。俺はあの場で、何も出来なかった。
ごめん、ケイス。自分のことしか見えなくなって。
ごめん、ノル。さっき、本当はお前が僕に見えたんだ。
__ごめんなぁ…蒼汰…
…みんな、本当に、ごめんなさい…っ
多くを奪われた少年は、ただ一人、誰もいない森の中で、ただただ泣きじゃくった。
見開いたノル姉様の目に映るのは、きっと、血の持ち主だろう。前に一度聞いたことがある。ノル姉様は、誰のものかをひと目見ただけでわかると。例えば、落ちている剣の持ち主、だとか、僕の頬にこびりついた血の持ち主…だとか。
……ッッ___!?なぜこんなにも普通に受け止めている!?違う、俺は殺していない!!!
「ど…うして、そんなこと…」
「待てノル!元はと言えば俺がレアンではないと言って…」
「あ、いい感じに仲間割れしてる〜?」
「ッ!?」
急な新たな声に振り向くと、見覚えのある顔__先程雇われ兵だと自称していた男だった。
そしてその男は何かをひこずりながら歩いている。それは、血塗られた白い隊服を着た人…特徴的な黄色いラインは、団長、陽のものだった。
男が引きずる死体…陽の死体は、右肩から下が無く、ところどころ刳られたような箇所があった。
「………ぁ、ぁぁ、陽、が……嘘…嘘…」
「あれ、なんかごめんね?殺しちゃった」
淡々と真実を告げる男は、まるで人の心を持っていないようだった。
いや、きっと本当に持っていないのだろう。だったらこんなこと、できるはずがない。
「…のせいだ」
「………なんだと?」
「私の…せいだ…」
「私が…容易に再調査などと言ってしまったから…攻められると知っていたのにも関わらず……だから、レアンも、陽も…ッ」
「___…話してるとこ悪いけど、俺急いでるから。手短に終わらせよう」
と言い、話を強制的に終わらせると、男は戦闘態勢に入った。
そして、 狙いは…
「…ッ!、ノル姉様!!!避けッ___」
「ぅぐッ、がぁぁあああッ!!!」
「……!?!!ケイ、ス、兄様…!?」
ケイス・カル・アイラスは、アイラス王国の第一王子だった。
二歳下の妹、ノル・カル・アイラスは、国一の天才だった。
才色兼備という言葉が一番にあう彼女は、第一王子というケイスの地位を押し退け、王位継承権を手に入れた。
そんな才能満ち溢れた妹と比べられ続け、裏では王族の恥、とまで言われていたケイスには、魔学の才能があった。
溢れんばかりの魔力と、その強大な魔力を扱う魔法使いの適正。アイラス王国の王族には、一度も産まれたことのない子。
そして、その頃のアイラス王国では魔法は浸透していなかったからか、悪魔の子と言われ蔑まれていた。
そこから彼を救ったのが、ノルだった。ノルに恩返しがしたい。いずれ王になるであろう彼女に尽くしたい。
そんな思いから、魔学の研究をし続け、千年に一度の魔法使いと言われるようになった。
全てはノルのために。そして、ノルが愛する王国と、家族のために。
「……俺は…お前の、支え…に、…なれ、て…いたか?……ノ、…[小文字]ル[/小文字]……____」
「…ケイス…。あぁ、なれていたよ。勿論だとも。今だってほら、お前は、私の、ちから、に…!!!」
段々と声が震えていき、ノル・カル・アイラスという仮面が剥がれていく。
そこに居たのは、兄の死を嘆く一人の少女だった。
「おにいちゃんっ…なんでっ…!」
嘗ての呼び名で、今まで己の中で封印していたであろう呼び名で、何故だと泣き叫ぶ。
その隣の僕は…。僕は…。
「……………どうして、いつもこうなんだ」
「なんで、僕の周りの人は、みんな…なんで!!!」
「俺のこと忘れないでよね」
「ッ!」
再び狙われた無防備な王…ノルを押し、無理やり攻撃を避けさせる。
「…どうして、どうして!あのままだったら、おにいちゃんの、所に…!!どうして!!!!」
「ッ!!!」
その時、パンッ!と頬を強く叩く音が聞こえた。いや、鳴らしたのだ。
「な、なにす__」
「なんのためにケイス兄様が命がけで守ったと思ってるんだ!!!!!ふざけんな!!!!!!」
「リール…でも、でも…!…私は…」
「ケイス兄様の命を無駄にしたいのか!?そんなお前に、僕がレアンを殺しただなんて言われる筋合いはない!!!!!」
「………」
暫く沈黙が続く。その間にも、多分敵は待ってくれない。早く、戦う体制を整えなければ__
「………お前の言う通りだ。すまなかった、リール」
仮面は元に戻り、そこにはアイラス王国の王がいた。
と、思っていた矢先、肩を強く押され、坂を転げ落ちる。
「はっ…なっ、なにしてっ…!」
「お前だけでも逃げてくれ」と言った風に見えた彼女は、どんどん遠く離れてゆく。
どんどん、離れて、小さくなって。戦いの音すら聞こえないようになって、僕は一人になった。
山の頂上にあるカルフォンネ城は、もう遠のいて小さく見えてしまっている。
「…また…逃された……なんで、僕はいっつもいっつも…!助けてもらったのに恩を仇で返すような…なんで僕は助けられないんだよ…!!!!」
「なんでなんだよッ…意味わかんねぇ…っ」
ごめん、母さん。俺のせいで、せっかく会えたのに。
ごめん、レアン。俺はお前の未来を奪った。
ごめん、陽。俺はあの場で、何も出来なかった。
ごめん、ケイス。自分のことしか見えなくなって。
ごめん、ノル。さっき、本当はお前が僕に見えたんだ。
__ごめんなぁ…蒼汰…
…みんな、本当に、ごめんなさい…っ
多くを奪われた少年は、ただ一人、誰もいない森の中で、ただただ泣きじゃくった。