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転生少年R

#15

15.“ごめんなさい”

「リール!落ち着け!!まだお前が殺したかなんて決まってな…い…、…!!」

見開いたノル姉様の目に映るのは、きっと、血の持ち主だろう。前に一度聞いたことがある。ノル姉様は、誰のものかをひと目見ただけでわかると。例えば、落ちている剣の持ち主、だとか、僕の頬にこびりついた血の持ち主…だとか。
……ッッ___!?なぜこんなにも普通に受け止めている!?違う、俺は殺していない!!!

「ど…うして、そんなこと…」

「待てノル!元はと言えば俺がレアンではないと言って…」

「あ、いい感じに仲間割れしてる〜?」

「ッ!?」

急な新たな声に振り向くと、見覚えのある顔__先程雇われ兵だと自称していた男だった。
そしてその男は何かをひこずりながら歩いている。それは、血塗られた白い隊服を着た人…特徴的な黄色いラインは、団長、陽のものだった。

男が引きずる死体…陽の死体は、右肩から下が無く、ところどころ刳られたような箇所があった。

「………ぁ、ぁぁ、陽、が……嘘…嘘…」

「あれ、なんかごめんね?殺しちゃった」

淡々と真実を告げる男は、まるで人の心を持っていないようだった。
いや、きっと本当に持っていないのだろう。だったらこんなこと、できるはずがない。

「…のせいだ」

「………なんだと?」

「私の…せいだ…」

「私が…容易に再調査などと言ってしまったから…攻められると知っていたのにも関わらず……だから、レアンも、陽も…ッ」

「___…話してるとこ悪いけど、俺急いでるから。手短に終わらせよう」

と言い、話を強制的に終わらせると、男は戦闘態勢に入った。
そして、 狙いは…

「…ッ!、ノル姉様!!!避けッ___」

「ぅぐッ、がぁぁあああッ!!!」

「……!?!!ケイ、ス、兄様…!?」





ケイス・カル・アイラスは、アイラス王国の第一王子だった。
二歳下の妹、ノル・カル・アイラスは、国一の天才だった。
才色兼備という言葉が一番にあう彼女は、第一王子というケイスの地位を押し退け、王位継承権を手に入れた。
そんな才能満ち溢れた妹と比べられ続け、裏では王族の恥、とまで言われていたケイスには、魔学の才能があった。
溢れんばかりの魔力と、その強大な魔力を扱う魔法使いの適正。アイラス王国の王族には、一度も産まれたことのない子。
そして、その頃のアイラス王国では魔法は浸透していなかったからか、悪魔の子と言われ蔑まれていた。
そこから彼を救ったのが、ノルだった。ノルに恩返しがしたい。いずれ王になるであろう彼女に尽くしたい。
そんな思いから、魔学の研究をし続け、千年に一度の魔法使いと言われるようになった。
全てはノルのために。そして、ノルが愛する王国と、家族のために。





「……俺は…お前の、支え…に、…なれ、て…いたか?……ノ、…[小文字]ル[/小文字]……____」

「…ケイス…。あぁ、なれていたよ。勿論だとも。今だってほら、お前は、私の、ちから、に…!!!」

段々と声が震えていき、ノル・カル・アイラスという仮面が剥がれていく。
そこに居たのは、兄の死を嘆く一人の少女だった。

「おにいちゃんっ…なんでっ…!」

嘗ての呼び名で、今まで己の中で封印していたであろう呼び名で、何故だと泣き叫ぶ。
その隣の僕は…。僕は…。

「……………どうして、いつもこうなんだ」

「なんで、僕の周りの人は、みんな…なんで!!!」

「俺のこと忘れないでよね」

「ッ!」

再び狙われた無防備な王…ノルを押し、無理やり攻撃を避けさせる。

「…どうして、どうして!あのままだったら、おにいちゃんの、所に…!!どうして!!!!」

「ッ!!!」

その時、パンッ!と頬を強く叩く音が聞こえた。いや、鳴らしたのだ。

「な、なにす__」

「なんのためにケイス兄様が命がけで守ったと思ってるんだ!!!!!ふざけんな!!!!!!」

「リール…でも、でも…!…私は…」

「ケイス兄様の命を無駄にしたいのか!?そんなお前に、僕がレアンを殺しただなんて言われる筋合いはない!!!!!」

「………」

暫く沈黙が続く。その間にも、多分敵は待ってくれない。早く、戦う体制を整えなければ__

「………お前の言う通りだ。すまなかった、リール」

仮面は元に戻り、そこにはアイラス王国の王がいた。
と、思っていた矢先、肩を強く押され、坂を転げ落ちる。

「はっ…なっ、なにしてっ…!」

「お前だけでも逃げてくれ」と言った風に見えた彼女は、どんどん遠く離れてゆく。
どんどん、離れて、小さくなって。戦いの音すら聞こえないようになって、僕は一人になった。
山の頂上にあるカルフォンネ城は、もう遠のいて小さく見えてしまっている。

「…また…逃された……なんで、僕はいっつもいっつも…!助けてもらったのに恩を仇で返すような…なんで僕は助けられないんだよ…!!!!」

「なんでなんだよッ…意味わかんねぇ…っ」

ごめん、母さん。俺のせいで、せっかく会えたのに。
ごめん、レアン。俺はお前の未来を奪った。
ごめん、陽。俺はあの場で、何も出来なかった。
ごめん、ケイス。自分のことしか見えなくなって。
ごめん、ノル。さっき、本当はお前が僕に見えたんだ。

__ごめんなぁ…蒼汰…

…みんな、本当に、ごめんなさい…っ



多くを奪われた少年は、ただ一人、誰もいない森の中で、ただただ泣きじゃくった。

作者メッセージ

ふぇええ(´;ω;`)ええええ
ごめんリール…こんなに殺しちまって…()

あれ、ノルは死んでなくね?って思った人(僕)居ると思うんですけど、
普通に考えて近衛騎士団の団長の陽を殺してる時点でノルが勝てるわけないんですよね。
あと引き摺ってこれるくらい元気だし。
いくらノルとは言え、団長に勝っている以上、強さが逆転することは絶対にないんですよね。
まぁでもまだラエルが居ますから!アイツはまだ死んでねぇ!まだね!

次はもうメンタルとか疲れたんでこないだの番外編の続きします!
15話目おめでとう!

2023/11/12 19:21

くるみさん
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PG-12 #暴力表現転生異世界

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