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転生少年R

#14

14.殺してなんかいない

「そん、な…アイラスが…」

母と別れてから数時間後、リール達がアイラスにたどり着いた時にはもう、アイラスは火の海と化していた。
そう、あの時のガーラと同じように。

「…行くぞ。時間がもったいない…」

「ケイス様…」

声に怒りが混じっている。当たり前か。
自分の生まれ育った愛した国を、こんな風にさせられて。
たまったもんじゃない。今すぐぶちのめしてやりたい。そんな気持ちを抑えて冷静で居られる兄を、尊敬する。
リールじゃ、きっと無理だろうから。

「騎士達が一人も居ない…?なぜだ……ッ、まさか、皆…__!?ゔ、あぁ"っ」

「っ、陽!?」

鈍い声がして、声の方に振り向く。すると、陽が背後から刺されていた。
深く、右肩を。
わざとだ。わざと右肩を負傷させ、剣を持てぬようにしている。
___強い。
そもそも、近衛騎士団団長たる陽に、そう安安と近づけるはずもなかった。

「貴様…ッ、ヴァルアの手下か!…」

「いいや、ただの雇われ兵だ」

「下らん嘘を…つくな…!」

「いいや、嘘じゃない。俺等は手下じゃない。生ぬるい王朝で育てられてないんだ。言っとくけど、ヴァルアの騎士より強いよ?だから雇ってるんだと思うけど」

ヴァルアの騎士より強い。記憶の片隅のアイツ等は、こんな服装じゃなかったはずだ。
言っていることは本当らしい。

「陽、一旦下がれ!まずは傷を___」

「…ラエル」

その時、急に右腕の名前を呼ぶ。きっと、使い物にならない右腕のかわりに、言った。

「後は、頼んだ」

後は頼んだと。もう、お前は右腕ではなく一人前だと、そう、最後に認めるように。

「___……はい」

右腕___騎士は答える。副団長として、陽に助けられた一人として。

「なっ…陽、戻ってこい!ふざけっ…」

「……すみません、時間がないので」

ラエルがケイスの首を打つ。

「行きますよ、リール様」

「は、…はい…その…大丈夫なんでしょうか、団長さんは…」

「…陽さんを、信じましょう」

表情に曇りが見える。ラエルも本当は助太刀したいはずだ。でも、それをしないのは、団長への信頼か。
はたまた、諦めか。

「…。はい」

二人で決めたことだ。リール達が首を挟んで良いことじゃない。

陽の雄叫びを背に、ラエルとリール、それから担ぎ上げられたケイスは、走り出した。

「______此処から先には、何人たりとも通さない。俺が死ぬまでな」

「はぁ…めんどくさ」





坂を登ってカルフォンネ城に到着し、それからおよそ10分後、現在に至る。

「___ッは!こ、こは…リール?ラエルはどうした、陽も……ッ!」

「兄様!」

「…いかんな、取り乱してしまった。…リール、ラエルはどうした」

冷静を保てるよう自分を律する姿に、憧れる。リールには出来ない。ケイスは、リールに出来ないことをやってのけてしまう。
今のケイスには話しても大丈夫だろうと、今の状況の詳細をはなした。

「一人で城に……他には、何か言っていたか?」

「はい。…着いてこないでほしい。結界の外から出ないでほしい。あと…もし自分になにかあった時は、団長と合流してアイラスとノル様達を守って欲しい…と」

ラエルらしい判断だと思う。リールは何度も止めたが、一向に首を縦に振らなかった。

「そうか…すごい結界だ。俺でも、壊すのに苦労する」

「壊すんですか?」

「いいや、いい。ラエルの判断に従おう。それが、最善策だ」



キリア・ラエルは、元々この国の生まれではなかった。
陽が拾ってきたのだ。素晴らしい剣使いだと。
姉と二人で暮らしていたが、戦争に巻き込まれ、死んでしまった。
ラエルは、姉の夢を叶えるため、一人で生きてゆくために、強くなろうとした。
鍛えて鍛えて、鍛え抜く。
そうした努力が報われたのか、今では、ラエルの隣に立てている。
憧れの隣。そんな機会も、もう無いのかも知れないな。



「ノル様ーッ!!!どうか、お返事ッ、ごほっ、けほっ…ッ、こ、の、煙は…」

「___!、ラエルか!?」

聞き馴染んだ頼もしい声が聞こえた。が、少し弱々しく感じる。

「ノル様!ご無事で良かったです…!本当に、良かった…。__ッ、レアン様は…?」

「それが…私もわからないのだ。少なくとも城内にはおらんな…大丈夫だろうか…」

「そうだ、ケイス達は無事か?お前達と共に捜索にいったはずだが…」

「…リール様達は無事でいらっしゃいます。今は、城前の結界の中に」

「そうか、良かった。いち早くここから出よう。ここは危険だ」

ノルが早く出ろと急かす。それほど危険なようには見えないが、ノルがここまで焦っているのは始めて見る。

「…それなのですが、なぜ煙幕を?」

「煙幕?私は煙幕など出していないぞ。てっきりラエルが…」

その時、無理やり会話が中断された。いいや、中断されたのではない。声が出なくなったのだ。
見た目は普通の人間のはずなのに、威圧感がまるで人間とは別の生き物だ。
未知のものに対する恐怖で、体が動かない。
何が副団長だ。こんなものではノル様たちを守ることすら出来ない。

「____ぅ、ごけぇええッ!」

「ッ、ラ…ぇル!!お前だけでも、逃げ…ろ…!」

一体何を言わせてしまっているのだろう。何が、陽の隣に立っているだ。
こんなもの、騎士でもなんでも無い。

「俺は!!近衛騎士団副団長、キリア・ラエルです!国を守る王の剣です!!」

「だが!………そう、だったな。ラエル。任せて、いいか?」

「…勿論ですとも」

『なァ。オマエ。一緒二地獄、逝コーぜ』

「__結構です。一人で、どうぞッ!」





「______ノル?ノルなのか…?」

「ッ、ケイス、リール…」

「ノル姉様っ…ご無事で…何よりです」

「あぁ。それより二人共、怪我はないか?どこか痛むところは…」

「大丈夫ですよ、もし怪我をしていても、ケイス兄様がいます」

「そうか?…リール、頬の血はどうした」

「…え?」

返り血ならば、もう消えているはずだ。だって、亜人の血は、特別で…。
亜人の、血ならば。

「______今気づいたんだァ♡」

その時、フッと視界が真っ暗になる。まただ。

「ッ、なんだ、お前…リールじゃないな?」

「フフ、初めましてェ、王様?」

「な、ぜ、お前が、ここに…短時間しか、出来ないはずじゃ…」

「えェ、あの状況でホントのこと言うと思ったァ?頭お花畑だねェ」

「なんだと…ッあ、何、だ、急に視界が…」

明るくなった…?気のせいかも知れないが、何かがいなくなったような気もする。

「…キミはね、リール君」

「!?お、前…」

「僕を殺せてないんだァ。いいかい?キミが殺したのは………」

「リールッ!耳を傾けるな!そいつの言うことを__」

「____キミの弟だよォ!!」

…………は…?

「どう?どう!?母親も殺されて!更には家族まで!憎いよねェ殺したいよねェ!でも残念、俺を殺したらケイス君が死んじゃうねェ!!!」

嘘だ。嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
嘘、だ。

「嘘じゃないよォ?じゃあなんでだと思う?返り血が、消えない理由はァ?!」

俺が殺したのはアイツだ、あの亜人だ。そうに違いない、だって、だって、そんな、こと…。
恐る恐る、頬に手を触れてみる。頬を触った指には、さっきまでなかった、血が、あった。
亜人の母さんの血はもうどこにもなく、あるのは、この血、だけ。

「あっははァ!!!いい表情だねェ!!!!!」

「嘘…だろ…」

「嘘だと言ってくれ、リール!!!!!」

「じゃあ俺はもう行くよォ、面白いものが見れたしねェ♪……ッは、待てッ……ぁ、リー、ル…」

「違う違う違う違う違う違う違う違う違う…俺は…殺してなんか…」

殺してなんか…いない。

作者メッセージ

…土下座します。すみませんでした。
前回の話から約一ヶ月以上過ぎております。
大変申し訳ございませんでした。
あと今回の話3000文字ぴったしです、まじでお疲れ様でした。

【追記】3000字ぴったしじゃなくなりました。

2023/11/12 19:27

くるみさん
ID:≫ 4iIFXsG3y6vWw
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PG-12 #暴力表現転生異世界

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