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この小説には微グロ要素が含まれます 苦手な方はお気をつけください
「そん、な…アイラスが…」
母と別れてから数時間後、リール達がアイラスにたどり着いた時にはもう、アイラスは火の海と化していた。
そう、あの時のガーラと同じように。
「…行くぞ。時間がもったいない…」
「ケイス様…」
声に怒りが混じっている。当たり前か。
自分の生まれ育った愛した国を、こんな風にさせられて。
たまったもんじゃない。今すぐぶちのめしてやりたい。そんな気持ちを抑えて冷静で居られる兄を、尊敬する。
リールじゃ、きっと無理だろうから。
「騎士達が一人も居ない…?なぜだ……ッ、まさか、皆…__!?ゔ、あぁ"っ」
「っ、陽!?」
鈍い声がして、声の方に振り向く。すると、陽が背後から刺されていた。
深く、右肩を。
わざとだ。わざと右肩を負傷させ、剣を持てぬようにしている。
___強い。
そもそも、近衛騎士団団長たる陽に、そう安安と近づけるはずもなかった。
「貴様…ッ、ヴァルアの手下か!…」
「いいや、ただの雇われ兵だ」
「下らん嘘を…つくな…!」
「いいや、嘘じゃない。俺等は手下じゃない。生ぬるい王朝で育てられてないんだ。言っとくけど、ヴァルアの騎士より強いよ?だから雇ってるんだと思うけど」
ヴァルアの騎士より強い。記憶の片隅のアイツ等は、こんな服装じゃなかったはずだ。
言っていることは本当らしい。
「陽、一旦下がれ!まずは傷を___」
「…ラエル」
その時、急に右腕の名前を呼ぶ。きっと、使い物にならない右腕のかわりに、言った。
「後は、頼んだ」
後は頼んだと。もう、お前は右腕ではなく一人前だと、そう、最後に認めるように。
「___……はい」
右腕___騎士は答える。副団長として、陽に助けられた一人として。
「なっ…陽、戻ってこい!ふざけっ…」
「……すみません、時間がないので」
ラエルがケイスの首を打つ。
「行きますよ、リール様」
「は、…はい…その…大丈夫なんでしょうか、団長さんは…」
「…陽さんを、信じましょう」
表情に曇りが見える。ラエルも本当は助太刀したいはずだ。でも、それをしないのは、団長への信頼か。
はたまた、諦めか。
「…。はい」
二人で決めたことだ。リール達が首を挟んで良いことじゃない。
陽の雄叫びを背に、ラエルとリール、それから担ぎ上げられたケイスは、走り出した。
「______此処から先には、何人たりとも通さない。俺が死ぬまでな」
「はぁ…めんどくさ」
坂を登ってカルフォンネ城に到着し、それからおよそ10分後、現在に至る。
「___ッは!こ、こは…リール?ラエルはどうした、陽も……ッ!」
「兄様!」
「…いかんな、取り乱してしまった。…リール、ラエルはどうした」
冷静を保てるよう自分を律する姿に、憧れる。リールには出来ない。ケイスは、リールに出来ないことをやってのけてしまう。
今のケイスには話しても大丈夫だろうと、今の状況の詳細をはなした。
「一人で城に……他には、何か言っていたか?」
「はい。…着いてこないでほしい。結界の外から出ないでほしい。あと…もし自分になにかあった時は、団長と合流してアイラスとノル様達を守って欲しい…と」
ラエルらしい判断だと思う。リールは何度も止めたが、一向に首を縦に振らなかった。
「そうか…すごい結界だ。俺でも、壊すのに苦労する」
「壊すんですか?」
「いいや、いい。ラエルの判断に従おう。それが、最善策だ」
キリア・ラエルは、元々この国の生まれではなかった。
陽が拾ってきたのだ。素晴らしい剣使いだと。
姉と二人で暮らしていたが、戦争に巻き込まれ、死んでしまった。
ラエルは、姉の夢を叶えるため、一人で生きてゆくために、強くなろうとした。
鍛えて鍛えて、鍛え抜く。
そうした努力が報われたのか、今では、ラエルの隣に立てている。
憧れの隣。そんな機会も、もう無いのかも知れないな。
「ノル様ーッ!!!どうか、お返事ッ、ごほっ、けほっ…ッ、こ、の、煙は…」
「___!、ラエルか!?」
聞き馴染んだ頼もしい声が聞こえた。が、少し弱々しく感じる。
「ノル様!ご無事で良かったです…!本当に、良かった…。__ッ、レアン様は…?」
「それが…私もわからないのだ。少なくとも城内にはおらんな…大丈夫だろうか…」
「そうだ、ケイス達は無事か?お前達と共に捜索にいったはずだが…」
「…リール様達は無事でいらっしゃいます。今は、城前の結界の中に」
「そうか、良かった。いち早くここから出よう。ここは危険だ」
ノルが早く出ろと急かす。それほど危険なようには見えないが、ノルがここまで焦っているのは始めて見る。
「…それなのですが、なぜ煙幕を?」
「煙幕?私は煙幕など出していないぞ。てっきりラエルが…」
その時、無理やり会話が中断された。いいや、中断されたのではない。声が出なくなったのだ。
見た目は普通の人間のはずなのに、威圧感がまるで人間とは別の生き物だ。
未知のものに対する恐怖で、体が動かない。
何が副団長だ。こんなものではノル様たちを守ることすら出来ない。
「____ぅ、ごけぇええッ!」
「ッ、ラ…ぇル!!お前だけでも、逃げ…ろ…!」
一体何を言わせてしまっているのだろう。何が、陽の隣に立っているだ。
こんなもの、騎士でもなんでも無い。
「俺は!!近衛騎士団副団長、キリア・ラエルです!国を守る王の剣です!!」
「だが!………そう、だったな。ラエル。任せて、いいか?」
「…勿論ですとも」
『なァ。オマエ。一緒二地獄、逝コーぜ』
「__結構です。一人で、どうぞッ!」
「______ノル?ノルなのか…?」
「ッ、ケイス、リール…」
「ノル姉様っ…ご無事で…何よりです」
「あぁ。それより二人共、怪我はないか?どこか痛むところは…」
「大丈夫ですよ、もし怪我をしていても、ケイス兄様がいます」
「そうか?…リール、頬の血はどうした」
「…え?」
返り血ならば、もう消えているはずだ。だって、亜人の血は、特別で…。
亜人の、血ならば。
「______今気づいたんだァ♡」
その時、フッと視界が真っ暗になる。まただ。
「ッ、なんだ、お前…リールじゃないな?」
「フフ、初めましてェ、王様?」
「な、ぜ、お前が、ここに…短時間しか、出来ないはずじゃ…」
「えェ、あの状況でホントのこと言うと思ったァ?頭お花畑だねェ」
「なんだと…ッあ、何、だ、急に視界が…」
明るくなった…?気のせいかも知れないが、何かがいなくなったような気もする。
「…キミはね、リール君」
「!?お、前…」
「僕を殺せてないんだァ。いいかい?キミが殺したのは………」
「リールッ!耳を傾けるな!そいつの言うことを__」
「____キミの弟だよォ!!」
…………は…?
「どう?どう!?母親も殺されて!更には家族まで!憎いよねェ殺したいよねェ!でも残念、俺を殺したらケイス君が死んじゃうねェ!!!」
嘘だ。嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
嘘、だ。
「嘘じゃないよォ?じゃあなんでだと思う?返り血が、消えない理由はァ?!」
俺が殺したのはアイツだ、あの亜人だ。そうに違いない、だって、だって、そんな、こと…。
恐る恐る、頬に手を触れてみる。頬を触った指には、さっきまでなかった、血が、あった。
亜人の母さんの血はもうどこにもなく、あるのは、この血、だけ。
「あっははァ!!!いい表情だねェ!!!!!」
「嘘…だろ…」
「嘘だと言ってくれ、リール!!!!!」
「じゃあ俺はもう行くよォ、面白いものが見れたしねェ♪……ッは、待てッ……ぁ、リー、ル…」
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う…俺は…殺してなんか…」
殺してなんか…いない。
母と別れてから数時間後、リール達がアイラスにたどり着いた時にはもう、アイラスは火の海と化していた。
そう、あの時のガーラと同じように。
「…行くぞ。時間がもったいない…」
「ケイス様…」
声に怒りが混じっている。当たり前か。
自分の生まれ育った愛した国を、こんな風にさせられて。
たまったもんじゃない。今すぐぶちのめしてやりたい。そんな気持ちを抑えて冷静で居られる兄を、尊敬する。
リールじゃ、きっと無理だろうから。
「騎士達が一人も居ない…?なぜだ……ッ、まさか、皆…__!?ゔ、あぁ"っ」
「っ、陽!?」
鈍い声がして、声の方に振り向く。すると、陽が背後から刺されていた。
深く、右肩を。
わざとだ。わざと右肩を負傷させ、剣を持てぬようにしている。
___強い。
そもそも、近衛騎士団団長たる陽に、そう安安と近づけるはずもなかった。
「貴様…ッ、ヴァルアの手下か!…」
「いいや、ただの雇われ兵だ」
「下らん嘘を…つくな…!」
「いいや、嘘じゃない。俺等は手下じゃない。生ぬるい王朝で育てられてないんだ。言っとくけど、ヴァルアの騎士より強いよ?だから雇ってるんだと思うけど」
ヴァルアの騎士より強い。記憶の片隅のアイツ等は、こんな服装じゃなかったはずだ。
言っていることは本当らしい。
「陽、一旦下がれ!まずは傷を___」
「…ラエル」
その時、急に右腕の名前を呼ぶ。きっと、使い物にならない右腕のかわりに、言った。
「後は、頼んだ」
後は頼んだと。もう、お前は右腕ではなく一人前だと、そう、最後に認めるように。
「___……はい」
右腕___騎士は答える。副団長として、陽に助けられた一人として。
「なっ…陽、戻ってこい!ふざけっ…」
「……すみません、時間がないので」
ラエルがケイスの首を打つ。
「行きますよ、リール様」
「は、…はい…その…大丈夫なんでしょうか、団長さんは…」
「…陽さんを、信じましょう」
表情に曇りが見える。ラエルも本当は助太刀したいはずだ。でも、それをしないのは、団長への信頼か。
はたまた、諦めか。
「…。はい」
二人で決めたことだ。リール達が首を挟んで良いことじゃない。
陽の雄叫びを背に、ラエルとリール、それから担ぎ上げられたケイスは、走り出した。
「______此処から先には、何人たりとも通さない。俺が死ぬまでな」
「はぁ…めんどくさ」
坂を登ってカルフォンネ城に到着し、それからおよそ10分後、現在に至る。
「___ッは!こ、こは…リール?ラエルはどうした、陽も……ッ!」
「兄様!」
「…いかんな、取り乱してしまった。…リール、ラエルはどうした」
冷静を保てるよう自分を律する姿に、憧れる。リールには出来ない。ケイスは、リールに出来ないことをやってのけてしまう。
今のケイスには話しても大丈夫だろうと、今の状況の詳細をはなした。
「一人で城に……他には、何か言っていたか?」
「はい。…着いてこないでほしい。結界の外から出ないでほしい。あと…もし自分になにかあった時は、団長と合流してアイラスとノル様達を守って欲しい…と」
ラエルらしい判断だと思う。リールは何度も止めたが、一向に首を縦に振らなかった。
「そうか…すごい結界だ。俺でも、壊すのに苦労する」
「壊すんですか?」
「いいや、いい。ラエルの判断に従おう。それが、最善策だ」
キリア・ラエルは、元々この国の生まれではなかった。
陽が拾ってきたのだ。素晴らしい剣使いだと。
姉と二人で暮らしていたが、戦争に巻き込まれ、死んでしまった。
ラエルは、姉の夢を叶えるため、一人で生きてゆくために、強くなろうとした。
鍛えて鍛えて、鍛え抜く。
そうした努力が報われたのか、今では、ラエルの隣に立てている。
憧れの隣。そんな機会も、もう無いのかも知れないな。
「ノル様ーッ!!!どうか、お返事ッ、ごほっ、けほっ…ッ、こ、の、煙は…」
「___!、ラエルか!?」
聞き馴染んだ頼もしい声が聞こえた。が、少し弱々しく感じる。
「ノル様!ご無事で良かったです…!本当に、良かった…。__ッ、レアン様は…?」
「それが…私もわからないのだ。少なくとも城内にはおらんな…大丈夫だろうか…」
「そうだ、ケイス達は無事か?お前達と共に捜索にいったはずだが…」
「…リール様達は無事でいらっしゃいます。今は、城前の結界の中に」
「そうか、良かった。いち早くここから出よう。ここは危険だ」
ノルが早く出ろと急かす。それほど危険なようには見えないが、ノルがここまで焦っているのは始めて見る。
「…それなのですが、なぜ煙幕を?」
「煙幕?私は煙幕など出していないぞ。てっきりラエルが…」
その時、無理やり会話が中断された。いいや、中断されたのではない。声が出なくなったのだ。
見た目は普通の人間のはずなのに、威圧感がまるで人間とは別の生き物だ。
未知のものに対する恐怖で、体が動かない。
何が副団長だ。こんなものではノル様たちを守ることすら出来ない。
「____ぅ、ごけぇええッ!」
「ッ、ラ…ぇル!!お前だけでも、逃げ…ろ…!」
一体何を言わせてしまっているのだろう。何が、陽の隣に立っているだ。
こんなもの、騎士でもなんでも無い。
「俺は!!近衛騎士団副団長、キリア・ラエルです!国を守る王の剣です!!」
「だが!………そう、だったな。ラエル。任せて、いいか?」
「…勿論ですとも」
『なァ。オマエ。一緒二地獄、逝コーぜ』
「__結構です。一人で、どうぞッ!」
「______ノル?ノルなのか…?」
「ッ、ケイス、リール…」
「ノル姉様っ…ご無事で…何よりです」
「あぁ。それより二人共、怪我はないか?どこか痛むところは…」
「大丈夫ですよ、もし怪我をしていても、ケイス兄様がいます」
「そうか?…リール、頬の血はどうした」
「…え?」
返り血ならば、もう消えているはずだ。だって、亜人の血は、特別で…。
亜人の、血ならば。
「______今気づいたんだァ♡」
その時、フッと視界が真っ暗になる。まただ。
「ッ、なんだ、お前…リールじゃないな?」
「フフ、初めましてェ、王様?」
「な、ぜ、お前が、ここに…短時間しか、出来ないはずじゃ…」
「えェ、あの状況でホントのこと言うと思ったァ?頭お花畑だねェ」
「なんだと…ッあ、何、だ、急に視界が…」
明るくなった…?気のせいかも知れないが、何かがいなくなったような気もする。
「…キミはね、リール君」
「!?お、前…」
「僕を殺せてないんだァ。いいかい?キミが殺したのは………」
「リールッ!耳を傾けるな!そいつの言うことを__」
「____キミの弟だよォ!!」
…………は…?
「どう?どう!?母親も殺されて!更には家族まで!憎いよねェ殺したいよねェ!でも残念、俺を殺したらケイス君が死んじゃうねェ!!!」
嘘だ。嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
嘘、だ。
「嘘じゃないよォ?じゃあなんでだと思う?返り血が、消えない理由はァ?!」
俺が殺したのはアイツだ、あの亜人だ。そうに違いない、だって、だって、そんな、こと…。
恐る恐る、頬に手を触れてみる。頬を触った指には、さっきまでなかった、血が、あった。
亜人の母さんの血はもうどこにもなく、あるのは、この血、だけ。
「あっははァ!!!いい表情だねェ!!!!!」
「嘘…だろ…」
「嘘だと言ってくれ、リール!!!!!」
「じゃあ俺はもう行くよォ、面白いものが見れたしねェ♪……ッは、待てッ……ぁ、リー、ル…」
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う…俺は…殺してなんか…」
殺してなんか…いない。