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狭間に生きる僕ら

#90

逃避

[水平線]
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ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…

柔らかな白い光が俺の視界を揺ら揺らと揺れる。硬いような柔らかいような不思議なベットの感触が、汗ばんだ背中に伝わる。

あれ…?

俺…さっきまで、何処にいたんだっけ。

一瞬だけ俺は、死んでしまって天国に来たのかと思ったが、試しに手を動かそうとしたら、関節が痛くて重力が腕全体にしがみついた為、自分は今も生きているのだと知った。
「龍臣…?龍臣…?!」
静かだった世界に、懐かしい声がした。俺は重たい瞼を無理やり動かしてゆっくりと目を開けた。輪郭線が曖昧で、全体的に白っぽい無機質な空間。そこに、ベット脇から俺を覗き込む女性の姿がボヤケて見えた。
「父さん…?母さん…?」

病室…?

なんで…。

あれ…?

昨日は俺の誕生日で、メンバーの皆が誕生日プレゼントを持ってきてくれて…。

それで…?

「すみません、すみません!!息子が、息子が目を覚ましました!!」
母さんが俺の手を強く握りしめながら、お医者さんに連絡を入れた。間もなく、白衣を着た男性医師と薄い水色の制服を身に着けた男性看護師が忙しそうに病室にやって来た。
「李龍臣さんですね。KORJAのメンバーとしては、イ・ソクヒョンさんとして活動なさっている方でお間違いないですか?」
首から聴診器を掛けたお医者さんが、息を軽く切らしながら、俺の顔色を念入りに観察しながら尋ねた。その間、母さんは胸を撫で下ろしたように自分の胸に両手を当てて看護師さんから何かしら説明を受けていた。父さんは、やっと呼吸が出来るというように何度も深呼吸しながら、母の背中を優しく擦っていた。
「あ…はい。そうです。間違いありません。あの…俺って…?どうしてここに?」
お医者さんが言うには、俺は今朝、アパートで突然倒れたというのだ。ソンイルが救急車を呼んでくれて、市立病院のすぐ近くのアパートに暮らしていた俺は幸いすぐに病室に運ばれたそうだ。かなりの高熱だったらしく、熱せん妄が起こったらしい。
「あの…その…熱せん妄って。俺、なんか、メンバーの一人が、なんか、なんか…血だらけのパイロットに一瞬見えて…。その直前には、戦闘機が頭上を掠めるような音もして…」
「ええ。ゴンミョンさんから伺いました。それも高熱による幻覚でしょう」
俺の額が汗で湿っている。後で病室にやって来た若い看護師たちが、冷たいタオルで俺の額の汗を拭いてくれる。

何かを忘れている気がする…。

ベッドサイドのカーテンが、暖かい風にフワッと優しく膨らんだ。その風は、微かに甘い花の香を運んでいた。


ごめんなさい。


俺はその花の香りを嗅いで、理由もなく、心臓の奥がギュッと誰かに握りしめられた気がした。

「ソクヒョン」
「ソクヒョン!」
ダダダッと誰かが廊下を駆ける音がして、病室の引き戸が勢い良く開いた。

メンバーの皆だった。
父さんか母さんが皆に連絡したのだろうか。皆、服が半分はだけた状態で、ヘナヘナと力無く病室の入り口付近に倒れ込んだ。
「良かった…」
ゴンミョンが、はぁはぁと息を切らして肩を上下させながら静かに呟いた。

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2025/09/06 17:59

花火
ID:≫ 6.vyqE1zzWDXY
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