春の風が、制服の袖をそっと揺らした。
藤宮凛は、高校入学という新しい季節に胸を高鳴らせながらも、どこか落ち着かない気持ちを抱えていた。中学で告白して振られた橘夕奈――理由も聞けず終わった恋。その名前を思い出すたび、胸の奥が少し痛む。
新しいクラスの席表を見た瞬間、凛は息を止めた。
そこには、夕奈の名前があった。
桜が咲く季節に、もう一度同じ教室で向き合うことになるなんて、思ってもいなかった。

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