拝啓、親愛なるおばあちゃんへ。
イーストンに入学して1週間が経ちました。おばあちゃんはお変わりなくお過ごしですか。
私は一人部屋を希望して、それが許可されたはずなのに何故かルームメイトを名乗る謎の人物が部屋に乗り込んできた事以外は順調です。
先生方に言っても、とても優しい目をして「諦めろ」としか言わないので本当に対応に困っています。結界を張っても、入ったら死ぬトラップを仕掛けても、何故かぬるっと入ってきて課題の話をしたり、髪の毛を結ばれたり本当のルームメイトみたいに接してきて怖いです。今日は髪の毛をアップにされたし、完成度が高くて解くのを躊躇ってしまいました。そのうち昇天ペガサスMIX盛りとかされたらどうしましょう。
ていうか、私は一人部屋なのになんでこんな心配をしないといけないんでしょうね……
まぁ、そんなことはさておき。おばあちゃんに勉強を教えて貰ったお陰で、学校では好成績を維持出来ています。今後も成績を維持出来るように油断なく学業に励んで行きたいと思います。
ところで話は変わりますが、イーストンの図書館の本の種類は凄いですね。恋愛小説から古代の魔法書まで、幅広いジャンルの本がありました。おばあちゃんが在学していた頃からこんなに種類があったとは驚きです。
しかも「カール・フォン・カウンの魔法理論学」の幻の69巻が書庫にあるらしいんです。でも残念な事に書庫を開けるのは先生方と、監督生だけらしいので一般の生徒は読めませんでした。めちゃくちゃ読みたいです。
ああ、そうだ。監督生といえば私が入寮したオルカ寮の監督生ですが、貴重な闇魔法の使い手らしいですね。この前の挨拶の時に鼻高々に自慢していました。別に大した使い方もしてないのに、魔法の性能だけを自慢する監督生のその鼻へし折って差し上げたいばかりです。
ではそろそろ図書館に行く時間なので手紙はここまでにしたいと思います。
長期休み以外は家に帰ることは出来ないと思うので、これから毎週書く予定です。
[右寄せ]あなたの親愛なる孫のローナより。[/右寄せ]
[水平線]
おばあちゃん宛ての手紙を書き終えたので、ペンを置いた。
この世界では鉛筆やシャーペンなんてものは無く、主流の筆記用具は羽ペンやつげペンなどのインクペンばかりだ。
あの消しゴムで消せる手軽さが恋しいが、無いものしかたないので魔法でインクで続けるガラスペンを使っている。購入のときはちょっと高ったけど、綺麗なデザインと使いやすさは気に入っているので、ヨシ!
心の中でよっこいしょっと、腰を上げて図書館に行く準備をする。明日提出の課題は出された日にさっさと終わらせているので、授業に持って行くのを忘れなかったら問題ない。
さぁさぁ!楽しい読書タイムだ!ヒャッホォォォオオオイ!!!っと、荒ぶりながら自室のドアを開けたが、金髪ロング眼帯さんがいたのでコンマ1秒でドアを閉めた。
だが、金髪ロング眼帯さん……もといい、レヴィ・ローズクォーツさんが足を挟んだことで完全に閉めることが出来なかった。借金取りのヤクザか。
「おいおいおぃ、顔見た途端にドア閉めるなんていい度胸じゃねぇ〜かよぉ」
「……ここ、オルカ寮の女子寮です。貴方はレアン寮だし男子でです……早くお帰り下さいっ……」
「許可は取ってあるから安心しろぉ。その様子じゃ図書館行くんだろ。明日提出の課題手伝え」
「いや、私関係ないでしょっ」
寮のドアは外開きなので、開け閉めするには入る時も出る時も引っ張らなくてはいけない。
人伝だけど、女性は引く力が強くて男性は押す力が強いらしい。ならば、男性であるローズクォーツさんと女性である私の綱(ドア)引きは私が勝つはず。
なのに、ドアが開きかけてるってどういうことだろう。後に壁に足掛けて、中腰で引っ張ってるのにだよ???
「ごちゃごちゃ言わずに、て、つ、だ、え!」
「えっ、待っ____」
待ってください。
言い終わる前に、ローズクォーツさんの力が急に強くなって、バンッっと大きな音を立ててドアが開いた。
私はしっかりドアノブを握っていたし、壁に足をかけていたので必然的に体制を崩して前に倒れ込む。
ヤバい。
ローズクォーツさんは受け止めるなんて紳士的なことは絶対にせずに、自分だけ避けて無様に転んだ私を嘲笑う性格。となると、私のファーストキスは掃除当番がサボったお陰で汚れが溜まった床…………
嫌すぎるけど、此処から立ち直る筋力は私には存在していない。そもそもそんな筋力があったらローズクォーツさんとの引き合いで負けることはないんだけど。
ぎゅっと、目を瞑って来たるべき衝撃に備えたが、予想外にも衝撃は軽かった。
何事かと顔を上げるとそこには眠たげな切れ長のタレ目、スッと通った鼻筋と大きな口の彫刻のごときイケメンがいた。
えっ、あっ、もしかしてローズクォーツさん受け止めてくれた???あの、レヴィ・ヤクザクォーツって呼ばれてる人が、ただの同級生である私を……?
というかローズクォーツさんって、
「ったく、どんくせぇなぁ。んなんでよく箒を浮かせたまま逆上がりできんだぁ?」
「____い」
「はぁ?」
「いや、レヴィ・ヤクザクォーツって呼ばれてるのに、意外と紳士的だなって」
「おいそれ言ったやつ誰だぁ〜?ギトギトにすんぞぉ」
死んでも「顔がいい」って思った事を言わない。
「あっ、お礼忘れてました。貴方がドアを開けようとしなかったら、私が無様に醜態をさらすことは無かったでしょうが、転んだところを受け止めて頂きありがとうございます」
「いーえ、ドウイタシマシテ」
「テメェさえ来なかったらよかったのによぉ」という言葉をブラックコーヒーにミルク入れたぐらいのマイルドさで言ってるんだけど、ローズクォーツさんは一ミリも気にした様子もなく、真顔でお礼を受け取った。
この人も大概図太いな。
「はい、私はお礼を言いました」
「そうだなぁ」
「貴方もお礼を受け取りました」
「まーな」
「だから、必要なもうやり取りは終わってるんです。だからさっさと私のことを離してもらってもいいんですよ」
「明日提出の課題なんだかぁ、」
「話を聞け」
フル無視で話を進められるって何??
まぁ、抱きしめられたままでは図書館には行けないので、普通に離してもらった。ありがとう……は、おかしいか。
「ローズクォーツさん」
「おい、その呼び方辞めろぉ」
「えっ、ヤクザクォーツさんが良かったですか?」
「もっと辞めろ。普通にレヴィでいい」
「分かりましたヤクザクォーツさん」
「……」
巫山戯て呼べば真顔でガン見された。顔がいい人の真顔ほど怖いものはないわ……めっちゃ怖い。
でも直ぐにヤクザクォーツを取り消すのも面白くないので黙っていてもローズクォーツさんは何も言わない。根負けして、私が先に口を開いた。
「……冗談ですよ、ローズクォーツさん」
「レヴィでいいって言ってんだろ。テメェは顔が変わんねぇから、どっちか分かんねぇんだよ」
そんなに変わらないのか?自分で頬を抑えて「あいうえお」と呟いてみるけど、普通に動く。
え、普通に動くじゃん。っとハテナを浮かべていると、そうじゃないと言いたげなローズクォーツさんがいた。何が違うんですか???
「あ゙ー動いてるけど、なんていうか……感情が乗ってねぇじゃねーか。笑った顔見たことねーし」
「笑うような出来事がないんだから当たり前では」
「せめて愛想笑いぐらいしとけ」
「善処します」
※注意、誰も了解とは言っていない。
イーストンに入学して1週間が経ちました。おばあちゃんはお変わりなくお過ごしですか。
私は一人部屋を希望して、それが許可されたはずなのに何故かルームメイトを名乗る謎の人物が部屋に乗り込んできた事以外は順調です。
先生方に言っても、とても優しい目をして「諦めろ」としか言わないので本当に対応に困っています。結界を張っても、入ったら死ぬトラップを仕掛けても、何故かぬるっと入ってきて課題の話をしたり、髪の毛を結ばれたり本当のルームメイトみたいに接してきて怖いです。今日は髪の毛をアップにされたし、完成度が高くて解くのを躊躇ってしまいました。そのうち昇天ペガサスMIX盛りとかされたらどうしましょう。
ていうか、私は一人部屋なのになんでこんな心配をしないといけないんでしょうね……
まぁ、そんなことはさておき。おばあちゃんに勉強を教えて貰ったお陰で、学校では好成績を維持出来ています。今後も成績を維持出来るように油断なく学業に励んで行きたいと思います。
ところで話は変わりますが、イーストンの図書館の本の種類は凄いですね。恋愛小説から古代の魔法書まで、幅広いジャンルの本がありました。おばあちゃんが在学していた頃からこんなに種類があったとは驚きです。
しかも「カール・フォン・カウンの魔法理論学」の幻の69巻が書庫にあるらしいんです。でも残念な事に書庫を開けるのは先生方と、監督生だけらしいので一般の生徒は読めませんでした。めちゃくちゃ読みたいです。
ああ、そうだ。監督生といえば私が入寮したオルカ寮の監督生ですが、貴重な闇魔法の使い手らしいですね。この前の挨拶の時に鼻高々に自慢していました。別に大した使い方もしてないのに、魔法の性能だけを自慢する監督生のその鼻へし折って差し上げたいばかりです。
ではそろそろ図書館に行く時間なので手紙はここまでにしたいと思います。
長期休み以外は家に帰ることは出来ないと思うので、これから毎週書く予定です。
[右寄せ]あなたの親愛なる孫のローナより。[/右寄せ]
[水平線]
おばあちゃん宛ての手紙を書き終えたので、ペンを置いた。
この世界では鉛筆やシャーペンなんてものは無く、主流の筆記用具は羽ペンやつげペンなどのインクペンばかりだ。
あの消しゴムで消せる手軽さが恋しいが、無いものしかたないので魔法でインクで続けるガラスペンを使っている。購入のときはちょっと高ったけど、綺麗なデザインと使いやすさは気に入っているので、ヨシ!
心の中でよっこいしょっと、腰を上げて図書館に行く準備をする。明日提出の課題は出された日にさっさと終わらせているので、授業に持って行くのを忘れなかったら問題ない。
さぁさぁ!楽しい読書タイムだ!ヒャッホォォォオオオイ!!!っと、荒ぶりながら自室のドアを開けたが、金髪ロング眼帯さんがいたのでコンマ1秒でドアを閉めた。
だが、金髪ロング眼帯さん……もといい、レヴィ・ローズクォーツさんが足を挟んだことで完全に閉めることが出来なかった。借金取りのヤクザか。
「おいおいおぃ、顔見た途端にドア閉めるなんていい度胸じゃねぇ〜かよぉ」
「……ここ、オルカ寮の女子寮です。貴方はレアン寮だし男子でです……早くお帰り下さいっ……」
「許可は取ってあるから安心しろぉ。その様子じゃ図書館行くんだろ。明日提出の課題手伝え」
「いや、私関係ないでしょっ」
寮のドアは外開きなので、開け閉めするには入る時も出る時も引っ張らなくてはいけない。
人伝だけど、女性は引く力が強くて男性は押す力が強いらしい。ならば、男性であるローズクォーツさんと女性である私の綱(ドア)引きは私が勝つはず。
なのに、ドアが開きかけてるってどういうことだろう。後に壁に足掛けて、中腰で引っ張ってるのにだよ???
「ごちゃごちゃ言わずに、て、つ、だ、え!」
「えっ、待っ____」
待ってください。
言い終わる前に、ローズクォーツさんの力が急に強くなって、バンッっと大きな音を立ててドアが開いた。
私はしっかりドアノブを握っていたし、壁に足をかけていたので必然的に体制を崩して前に倒れ込む。
ヤバい。
ローズクォーツさんは受け止めるなんて紳士的なことは絶対にせずに、自分だけ避けて無様に転んだ私を嘲笑う性格。となると、私のファーストキスは掃除当番がサボったお陰で汚れが溜まった床…………
嫌すぎるけど、此処から立ち直る筋力は私には存在していない。そもそもそんな筋力があったらローズクォーツさんとの引き合いで負けることはないんだけど。
ぎゅっと、目を瞑って来たるべき衝撃に備えたが、予想外にも衝撃は軽かった。
何事かと顔を上げるとそこには眠たげな切れ長のタレ目、スッと通った鼻筋と大きな口の彫刻のごときイケメンがいた。
えっ、あっ、もしかしてローズクォーツさん受け止めてくれた???あの、レヴィ・ヤクザクォーツって呼ばれてる人が、ただの同級生である私を……?
というかローズクォーツさんって、
「ったく、どんくせぇなぁ。んなんでよく箒を浮かせたまま逆上がりできんだぁ?」
「____い」
「はぁ?」
「いや、レヴィ・ヤクザクォーツって呼ばれてるのに、意外と紳士的だなって」
「おいそれ言ったやつ誰だぁ〜?ギトギトにすんぞぉ」
死んでも「顔がいい」って思った事を言わない。
「あっ、お礼忘れてました。貴方がドアを開けようとしなかったら、私が無様に醜態をさらすことは無かったでしょうが、転んだところを受け止めて頂きありがとうございます」
「いーえ、ドウイタシマシテ」
「テメェさえ来なかったらよかったのによぉ」という言葉をブラックコーヒーにミルク入れたぐらいのマイルドさで言ってるんだけど、ローズクォーツさんは一ミリも気にした様子もなく、真顔でお礼を受け取った。
この人も大概図太いな。
「はい、私はお礼を言いました」
「そうだなぁ」
「貴方もお礼を受け取りました」
「まーな」
「だから、必要なもうやり取りは終わってるんです。だからさっさと私のことを離してもらってもいいんですよ」
「明日提出の課題なんだかぁ、」
「話を聞け」
フル無視で話を進められるって何??
まぁ、抱きしめられたままでは図書館には行けないので、普通に離してもらった。ありがとう……は、おかしいか。
「ローズクォーツさん」
「おい、その呼び方辞めろぉ」
「えっ、ヤクザクォーツさんが良かったですか?」
「もっと辞めろ。普通にレヴィでいい」
「分かりましたヤクザクォーツさん」
「……」
巫山戯て呼べば真顔でガン見された。顔がいい人の真顔ほど怖いものはないわ……めっちゃ怖い。
でも直ぐにヤクザクォーツを取り消すのも面白くないので黙っていてもローズクォーツさんは何も言わない。根負けして、私が先に口を開いた。
「……冗談ですよ、ローズクォーツさん」
「レヴィでいいって言ってんだろ。テメェは顔が変わんねぇから、どっちか分かんねぇんだよ」
そんなに変わらないのか?自分で頬を抑えて「あいうえお」と呟いてみるけど、普通に動く。
え、普通に動くじゃん。っとハテナを浮かべていると、そうじゃないと言いたげなローズクォーツさんがいた。何が違うんですか???
「あ゙ー動いてるけど、なんていうか……感情が乗ってねぇじゃねーか。笑った顔見たことねーし」
「笑うような出来事がないんだから当たり前では」
「せめて愛想笑いぐらいしとけ」
「善処します」
※注意、誰も了解とは言っていない。