区立ひばりヶ丘小学校小学五年生に進級した黒木蓮斗は、転校や交際、失恋などを、人よりいち早く経験していた。小学五年生になり、新たな恋の予感が!?
蓮斗を待ち受ける波乱とは…?
[水平線]
[中央寄せ]美理、今何してんだろ。[/中央寄せ]
周りが、先生誰になるんだろうねー、とざわつく中、区立ひばりヶ丘小五年の黒木蓮斗は、ふと思った。
美理は、当時市立小池小学校二年生だった蓮斗と付き合っていたが、蓮斗が転校することになり、名残惜しく別れた蓮斗の元カノだった。
なぜ、今頃美理のことを思い出したのか、蓮斗には分からなかった。
なぜなら、蓮斗自身が気づいていなかったからだ。
あの頃と同じくらい、今後好きになる人が隣に立っていたことに。
[水平線]
[太字][大文字][中央寄せ]甘いだけじゃない、青春のすべて。[/中央寄せ][/大文字][/太字]
[中央寄せ][斜体]episode.1. 始業式[/斜体][/中央寄せ]
[水平線]
校長が朝礼台に登る。
「これから、ひばりヶ丘小学校令和6年度始業式を始めます。一同、礼」
全員の頭が下がる。
「まずは、校長先生のお話です。」
「えー、皆さん、春休みは有意義に過ごせましたか?今日からは別の学校に行ったり、逆に今日からこの学校でお勉強していく人もいます。人生に出会いと別れはつきものです。〜〜〜」
もう話し始めている生徒がいる。
「次に、担任の先生の発表です。」
校庭の空気が一気に張り詰めた。先生によって、これからの一年が左右されると言っても過言ではないのだから、当然だろう。
「一年一組 宮下先生、一年二組 安藤先生、〜〜、、次に、五年生です。五年一組 武田先生 五年二組 土山先生、五年三組 金子先生、五年四組 木村先生。最後に、六年生です。六年一組〜〜」
蓮斗は五年四組だと、事前に配られた学年名簿に載っていた。
──木村先生?
この学校に来てまだ三年目の蓮斗は、まだ知らない先生だった。
五年一組の武田紗希先生は、蓮斗が四年三組のときに担任だった、とても大好きな先生だった。
圧倒的な生徒からの人気から、二年連続で受け持つことになったのだろうか。
蓮斗は再び学年名簿に目を通す。
五年四組で目に付く生徒と言えば、
学年一モテる女子と評される岩井友香とその親友で学年No.2の石橋かなえ、ひばりヶ丘小バスケ部キャプテンの山本華、副キャプテンの早川秋、問題児で有名な仁杉央、三年生から蓮斗とずっと同じクラスだった住田凛々花、凛々花と友達の星名瞳くらいだろうか。
30人強クラスメイトがいるのに、少なくね?
と蓮斗は自分の交友関係の狭さを意識した。
司会役の先生が話を続ける。
「最後に、校歌斉唱です。音楽の清水桃子先生、お願いします。」
この高学年の音楽の担当、清水先生も、蓮斗は大好きだった。
[水平線]
校歌の斉唱が終わると、呆気なく始業式は終了し、各学年ごとに集まる指示が出された。
途中で凛々花と合流し、五年の集合場所に向かう。
「今年は荒れそうだねーー」凛々花が唐突に言った。
なんで?と聞き返すと、いやいや、当たり前でしょ、と言われた。
「クラスカースト上位の、友香とかなえと瞳、華、秋だよ?女子ですらこんなにやばいのに男子はあの仁杉もいるんだよ?木村先生?だっけ。あの人病んじゃうんじゃない?女子の仲が私含めて全体的に良いのが救いだね」
凛々花はそうまくし立てると、「まあ楽しそうで何よりじゃん」と言い放った。
まあ、楽しけりゃ良っか。そう思い込む事にした。
集合場所に着くと、学年主任が二組の土山将暉先生だと知らされた。武田先生が良かったのに。
そこから、さらにクラスごとに集まるようまた指示された。
四組の集合場所には、凛々花が言っていた女子が固まって話している。
しばらくして、担任の木村智樹先生でやってきた。ニキビだらけの顔になんか臭い、見るからにモテなさそうだ。
「こんにちは。初めまして。五年四組担任の、木村智樹です。突然ですが問題です!」
先生が、智樹 と書かれた紙を掲げた。
「先生の下の名前はこう書きます。さて、なんと読むでしょうか?」
女子軍団の中から一人がはいっ、と手を挙げる。「ちき!」
「違います!ですが、二文字目の「き」は合ってます!」
そこまで言う必要ある?
まさかとは思うが──ロリコンじゃないだろうな。
「この問題を考えるのが今日の宿題です。明日、答えが分かった人は先生に教えて下さいね。それでは、明日も元気に登校しましょう!さようなら。」
もう下校して良いようだ。今日も凛々花たちと帰ることにしよう。
「凛々花ー」
なにー?と返ってくる。
「今日、帰って良いー?」
「良きー」
凛々花はまだ女子たちと話しているようなので、蓮斗はしばらく校門の前で待つことにした。
すると、校門から岩井友香と石橋かなえが出てきた。
──学年一モテる女子と、二番目にモテる女子。
蓮斗の記憶が蘇る。
「あれ?黒木くん…?これからよろしくね!」
え?
名前覚えられてる??
蓮斗が一人で混乱している間に、二人は帰って行った。
やがて、凛々花と瞳がやって来た。
「待たせちゃったー、ごめんね」
大丈夫大丈夫、と返すと、てかさ、と話が始まった。
「担任の先生、ブスくね?」
それな!わかる、と瞳が言った。
このことは、蓮斗も感じていたことだった。
「それなー、てかめっちゃ臭くね?」
蓮斗の発言に反応が返ってくる。
「絶対に彼女いないでしょー」
「いやいたら彼氏いないうちらのプライド崩壊するって」
瞳が笑った。
「でもさー、お隣の黒木とかいう人は前まで彼女サンいたんですよねー」
凛々花が笑いながら言う。
瞳が、「リア充死ねぇ!!」と人工減少中の現代社会において不適切な発言をして、三人で笑い合った。
「いやー、でも、今年はこの三人とも同じクラスで良かったねー」
と蓮斗が話を逸らすように言うと、二人とも、ねーと返してきた。
去年までは、凛々花と蓮斗は同じクラスだったが、瞳だけ四年一組で別のクラスだったのだ。
そう話しているうちに、蓮斗の家に着いてしまった。
「じゃあねー」
「バイバーイ、また明日!」
二人は、そういえばBTSが、と話しながら歩いていった。
結構良さそうなクラスじゃん。
蓮斗はそう思いながら、家に入っていった。
友香とかなえの件は、もう忘れていた。
これからの一年が、蓮斗を大きく変えることは知るよしもなく──。
[水平線]
一方そのころ、家に帰った岩井友香は、新たな恋心を抱いていた。
じっとしていられず、二軒となりのかなえに電話をかける。
「もしもし、かなえ?あの人見た?良さそうじゃない?」
〔あの人って?〕
「黒木蓮斗って人」
友香は、美しい声で、曇りなくはっきりとそう言ったのであった。
蓮斗を待ち受ける波乱とは…?
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[中央寄せ]美理、今何してんだろ。[/中央寄せ]
周りが、先生誰になるんだろうねー、とざわつく中、区立ひばりヶ丘小五年の黒木蓮斗は、ふと思った。
美理は、当時市立小池小学校二年生だった蓮斗と付き合っていたが、蓮斗が転校することになり、名残惜しく別れた蓮斗の元カノだった。
なぜ、今頃美理のことを思い出したのか、蓮斗には分からなかった。
なぜなら、蓮斗自身が気づいていなかったからだ。
あの頃と同じくらい、今後好きになる人が隣に立っていたことに。
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[太字][大文字][中央寄せ]甘いだけじゃない、青春のすべて。[/中央寄せ][/大文字][/太字]
[中央寄せ][斜体]episode.1. 始業式[/斜体][/中央寄せ]
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校長が朝礼台に登る。
「これから、ひばりヶ丘小学校令和6年度始業式を始めます。一同、礼」
全員の頭が下がる。
「まずは、校長先生のお話です。」
「えー、皆さん、春休みは有意義に過ごせましたか?今日からは別の学校に行ったり、逆に今日からこの学校でお勉強していく人もいます。人生に出会いと別れはつきものです。〜〜〜」
もう話し始めている生徒がいる。
「次に、担任の先生の発表です。」
校庭の空気が一気に張り詰めた。先生によって、これからの一年が左右されると言っても過言ではないのだから、当然だろう。
「一年一組 宮下先生、一年二組 安藤先生、〜〜、、次に、五年生です。五年一組 武田先生 五年二組 土山先生、五年三組 金子先生、五年四組 木村先生。最後に、六年生です。六年一組〜〜」
蓮斗は五年四組だと、事前に配られた学年名簿に載っていた。
──木村先生?
この学校に来てまだ三年目の蓮斗は、まだ知らない先生だった。
五年一組の武田紗希先生は、蓮斗が四年三組のときに担任だった、とても大好きな先生だった。
圧倒的な生徒からの人気から、二年連続で受け持つことになったのだろうか。
蓮斗は再び学年名簿に目を通す。
五年四組で目に付く生徒と言えば、
学年一モテる女子と評される岩井友香とその親友で学年No.2の石橋かなえ、ひばりヶ丘小バスケ部キャプテンの山本華、副キャプテンの早川秋、問題児で有名な仁杉央、三年生から蓮斗とずっと同じクラスだった住田凛々花、凛々花と友達の星名瞳くらいだろうか。
30人強クラスメイトがいるのに、少なくね?
と蓮斗は自分の交友関係の狭さを意識した。
司会役の先生が話を続ける。
「最後に、校歌斉唱です。音楽の清水桃子先生、お願いします。」
この高学年の音楽の担当、清水先生も、蓮斗は大好きだった。
[水平線]
校歌の斉唱が終わると、呆気なく始業式は終了し、各学年ごとに集まる指示が出された。
途中で凛々花と合流し、五年の集合場所に向かう。
「今年は荒れそうだねーー」凛々花が唐突に言った。
なんで?と聞き返すと、いやいや、当たり前でしょ、と言われた。
「クラスカースト上位の、友香とかなえと瞳、華、秋だよ?女子ですらこんなにやばいのに男子はあの仁杉もいるんだよ?木村先生?だっけ。あの人病んじゃうんじゃない?女子の仲が私含めて全体的に良いのが救いだね」
凛々花はそうまくし立てると、「まあ楽しそうで何よりじゃん」と言い放った。
まあ、楽しけりゃ良っか。そう思い込む事にした。
集合場所に着くと、学年主任が二組の土山将暉先生だと知らされた。武田先生が良かったのに。
そこから、さらにクラスごとに集まるようまた指示された。
四組の集合場所には、凛々花が言っていた女子が固まって話している。
しばらくして、担任の木村智樹先生でやってきた。ニキビだらけの顔になんか臭い、見るからにモテなさそうだ。
「こんにちは。初めまして。五年四組担任の、木村智樹です。突然ですが問題です!」
先生が、智樹 と書かれた紙を掲げた。
「先生の下の名前はこう書きます。さて、なんと読むでしょうか?」
女子軍団の中から一人がはいっ、と手を挙げる。「ちき!」
「違います!ですが、二文字目の「き」は合ってます!」
そこまで言う必要ある?
まさかとは思うが──ロリコンじゃないだろうな。
「この問題を考えるのが今日の宿題です。明日、答えが分かった人は先生に教えて下さいね。それでは、明日も元気に登校しましょう!さようなら。」
もう下校して良いようだ。今日も凛々花たちと帰ることにしよう。
「凛々花ー」
なにー?と返ってくる。
「今日、帰って良いー?」
「良きー」
凛々花はまだ女子たちと話しているようなので、蓮斗はしばらく校門の前で待つことにした。
すると、校門から岩井友香と石橋かなえが出てきた。
──学年一モテる女子と、二番目にモテる女子。
蓮斗の記憶が蘇る。
「あれ?黒木くん…?これからよろしくね!」
え?
名前覚えられてる??
蓮斗が一人で混乱している間に、二人は帰って行った。
やがて、凛々花と瞳がやって来た。
「待たせちゃったー、ごめんね」
大丈夫大丈夫、と返すと、てかさ、と話が始まった。
「担任の先生、ブスくね?」
それな!わかる、と瞳が言った。
このことは、蓮斗も感じていたことだった。
「それなー、てかめっちゃ臭くね?」
蓮斗の発言に反応が返ってくる。
「絶対に彼女いないでしょー」
「いやいたら彼氏いないうちらのプライド崩壊するって」
瞳が笑った。
「でもさー、お隣の黒木とかいう人は前まで彼女サンいたんですよねー」
凛々花が笑いながら言う。
瞳が、「リア充死ねぇ!!」と人工減少中の現代社会において不適切な発言をして、三人で笑い合った。
「いやー、でも、今年はこの三人とも同じクラスで良かったねー」
と蓮斗が話を逸らすように言うと、二人とも、ねーと返してきた。
去年までは、凛々花と蓮斗は同じクラスだったが、瞳だけ四年一組で別のクラスだったのだ。
そう話しているうちに、蓮斗の家に着いてしまった。
「じゃあねー」
「バイバーイ、また明日!」
二人は、そういえばBTSが、と話しながら歩いていった。
結構良さそうなクラスじゃん。
蓮斗はそう思いながら、家に入っていった。
友香とかなえの件は、もう忘れていた。
これからの一年が、蓮斗を大きく変えることは知るよしもなく──。
[水平線]
一方そのころ、家に帰った岩井友香は、新たな恋心を抱いていた。
じっとしていられず、二軒となりのかなえに電話をかける。
「もしもし、かなえ?あの人見た?良さそうじゃない?」
〔あの人って?〕
「黒木蓮斗って人」
友香は、美しい声で、曇りなくはっきりとそう言ったのであった。