七月最後の週末。
町中は提灯の灯りと祭りに来た人たちでいっぱいだった。
私たちは浴衣を着て、夏祭りに出かける。
玲奈さんの浴衣姿は、背が高く、まとめた髪が涼しげで、自然と視線が吸い寄せられる。
「ひよりちゃん、あんまり固まってると、楽しめないよ」
そう言って、手を軽く引かれた。
笑いながら振り返ると、屋台の人混みに混ざった彼女の横顔は、昼間のオフィスとは別人のように柔らかかった。
焦げたソースの香りと、りんご飴やチョコバナナの甘い香りが鼻をくすぐる。
かき氷をひとつずつ食べながら、通りを歩く。
人混みの中で肩がぶつかるたび、玲奈さんの手が自然と私の手に絡む。
「はぐれたら困るから」と、ちょっとだけ意地悪っぽく囁かれると、胸がぎゅっと熱くなる。
歩き疲れた頃、ふたりで少し離れた河原に到着した。
そこは、花火大会の穴場スポット。
人混みを避けて、少し静かな場所だ。
空が暗くなるにつれ、川面に映る街の灯りが揺れる。
玲奈さんはそっと私の肩に手を置き、視線を夜空に向ける。
「ひよりちゃん、綺麗だね」
その声に頷くしかできない。
そして、最初の花火が夜空を裂くように上がった。
ドン、と大きな音とともに、色とりどりの光が広がる。
横を見ると、玲奈さんの顔が光に照らされて、うっすら汗ばむ額も、笑う唇も、すべてが夏の夜に溶け込んでいる。
そっと肩が触れ合う。
指が自然に絡む。
誰もいないかのような二人だけの世界。
花火がひとつ、またひとつ、夜空に咲くたびに、心臓が跳ねる。
「来年も、こうやって一緒に見られるかな」
ぽつりと言った玲奈さんの声に、私は静かに笑って答える。
「はい。絶対、また一緒に」
音に混じる笑い声、指先の温度、肩越しの香り。
浴衣姿の先輩の隣で、私は夏の匂いと胸の高鳴りを、同じ高さで感じていた。
夜空に大輪の花が咲き、散る瞬間。
その光とともに、ふたりの距離も自然と近づいていく。
すべてが、二人で過ごす特別な夜を彩っていた。
町中は提灯の灯りと祭りに来た人たちでいっぱいだった。
私たちは浴衣を着て、夏祭りに出かける。
玲奈さんの浴衣姿は、背が高く、まとめた髪が涼しげで、自然と視線が吸い寄せられる。
「ひよりちゃん、あんまり固まってると、楽しめないよ」
そう言って、手を軽く引かれた。
笑いながら振り返ると、屋台の人混みに混ざった彼女の横顔は、昼間のオフィスとは別人のように柔らかかった。
焦げたソースの香りと、りんご飴やチョコバナナの甘い香りが鼻をくすぐる。
かき氷をひとつずつ食べながら、通りを歩く。
人混みの中で肩がぶつかるたび、玲奈さんの手が自然と私の手に絡む。
「はぐれたら困るから」と、ちょっとだけ意地悪っぽく囁かれると、胸がぎゅっと熱くなる。
歩き疲れた頃、ふたりで少し離れた河原に到着した。
そこは、花火大会の穴場スポット。
人混みを避けて、少し静かな場所だ。
空が暗くなるにつれ、川面に映る街の灯りが揺れる。
玲奈さんはそっと私の肩に手を置き、視線を夜空に向ける。
「ひよりちゃん、綺麗だね」
その声に頷くしかできない。
そして、最初の花火が夜空を裂くように上がった。
ドン、と大きな音とともに、色とりどりの光が広がる。
横を見ると、玲奈さんの顔が光に照らされて、うっすら汗ばむ額も、笑う唇も、すべてが夏の夜に溶け込んでいる。
そっと肩が触れ合う。
指が自然に絡む。
誰もいないかのような二人だけの世界。
花火がひとつ、またひとつ、夜空に咲くたびに、心臓が跳ねる。
「来年も、こうやって一緒に見られるかな」
ぽつりと言った玲奈さんの声に、私は静かに笑って答える。
「はい。絶対、また一緒に」
音に混じる笑い声、指先の温度、肩越しの香り。
浴衣姿の先輩の隣で、私は夏の匂いと胸の高鳴りを、同じ高さで感じていた。
夜空に大輪の花が咲き、散る瞬間。
その光とともに、ふたりの距離も自然と近づいていく。
すべてが、二人で過ごす特別な夜を彩っていた。