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君の姿に憧れて

#7

その後… 同じ朝、同じ部屋で

「ひよりちゃーん?起きてー!」

 カーテンの隙間から差し込む朝日。


 まぶたの上が、あたたかい。

「……ん……」

 まだ夢の続きを見たい私の肩を、優しく揺らす手。

「ほら、遅刻しちゃうよ?」

 その声に、ゆっくり目を開ける。

 見慣れた天井。


 そして、少し困ったように笑う――玲奈先輩の顔。

 ……違う。

「玲奈さん……」

 呼び直すと、先輩は少しだけ照れたように眉を下げた。

「まだ慣れないなあ、それ」

 同じベッド。


 同じ部屋。


 昨夜、並んで置いたマグカップがキッチンに見える。

 恋人になって、三ヶ月。


 そして、同棲を始めて、二週間。

 会社では相変わらず“頼れる先輩”なのに、家ではこうして私を起こしてくれる。

「……あと五分」

 布団を引き寄せると、先輩がくすっと笑った。

「前は私より早く来るようにしてたのにね?」

 その言葉に、少しだけむっとする。

「会社ではちゃんと起きてます」

「はいはい」

 そう言いながら、先輩の指が私の前髪をそっと整える。

 その距離の近さに、今でも少しだけ心臓が跳ねる。

 守るでも、守られるでもない。


 そう思っていたのに。

「ひよりちゃん、朝弱いの可愛い」

「……もう」

 結局、私はまだ、可愛いと言われている。

 でも違う。

 布団の中から腕を伸ばして、先輩の手を引いた。

「玲奈さんも、あと五分一緒に」

 一瞬驚いた顔。


 そして、ゆっくりとほどける表情。

「……ずるいの、覚えたね」

 ベッドがきしむ音。


 隣に落ちてくる体温。

 同じ枕に、同じ目線。

 朝は、もう“憧れの背中”じゃない。
 隣にいる人の、少し寝ぼけた横顔だ。

「ねえ、ひよりちゃん」

「はい?」

「今日も、一緒に頑張ろうね」

 その言葉に、自然と笑みがこぼれる。

「はい、玲奈さん」

 同じ家から出て、同じ会社へ向かう。

 憧れから始まった恋は、
今、同じ生活を紡いでいる。

 ――君の隣で迎える朝は、
こんなにも、あたたかい。

作者メッセージ

バレンタインデー特別編出します

2026/02/13 21:25

魂染朱廻
ID:≫ 307X6okIvTEt6
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GLラブコメ百合日常純愛

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