好き、愛してる、全部知ってる。
「すずちゃん‼すずちゃんだよね⁉」
高校一年生の入学式、知らない人しかいないクラスの中で、わたしは聞き覚えのある声を耳にした。地元から引っ越し、知らない空間、人に包まれる学校の中でわたしを知っている人なんているはずがない。ましてや、あだ名呼びで。でも、すぐに分かってしまう。だって、ずっと会いたかった人なんだから。
「きずちゃん…!」
彼女の名前は、原 築(はら きずき)。幼稚園からの幼馴染兼友達で、わたしとは違って明るくて活発な性格だった。きずちゃんは、中学に上がるときに都会に引っ越してしまった。でも3年間、一度だって彼女のことを忘れたことはなかった。きずちゃんは、わたしの初恋だった。
「久しぶりだよね、何年ぶりだっけ?」
「3年だよ。きずちゃんは元気だった?」
「私は元気。すずちゃんも…って、ごめん、友達が呼んでる。また後で話そ!」
「あ……」
行っちゃった。そりゃ、きずちゃんはここに来てもう長い。中学からの友達もたくさんいるんだろう。わたしなんか、きっときずちゃんと釣り合わない。そういえば、昔もこんなこと思ってたなあ…。そのたびにきずちゃんが怒ってくれてた。わたしがいじめられてた時だって、きずちゃんは真っ先に駆けつけて守ってくれた。思い出される思い出に、口元がほころぶ。今でも、わたしの友達はあなただけだよ、きずちゃん。それでも、きずちゃんの耳に開いたピアスが、わたしの知らないきずちゃんを見ているようで、どうしても気になってしまった。
その後、きずちゃんと話していても、友達に呼ばれたり電話が鳴ったりと、ろくに落ち着いて話もできなかった。まあ、きずちゃんと久しぶりに会えただけでも満足だ。これから、ゆっくり……。…ーふと、後ろを振り返る。気配がした。気配は、走って逃げて行った。刹那、胸が鳴った。影の後ろ姿が、誰かに似ている。気配のいた電信柱のところに戻った。そこには、
「これ、きずちゃんが付けてた、ピアス……」
近所のあの子の名前は、古藤 涼(ふるふじ すずみ)。一目見て、好きになった。好きを超えて、監視したくなった。だから、彼女のことは何でも知っていた。好きな食べ物、好きな花、休日は何をしているか、密かにいじめられていることすらも。彼女に振り向いてほしくて。彼女が困っていたらいつでも駆けつけた。全ては、自分のため。それを、両親はおかしいと思ったらしい。急に、私たちは疎遠になった。引っ越しといいながら、私に気を確かにしてほしいと。おかしい。私はいつだって、普通なのに。でも、私はずっと信じてる。また絶対会えるって。会いたいって思わせるために、今まで大事にしてきたんだから。私には君しかいないように、君にも私しかいないんだから。
「はあっ、はっ……!」
バレた?気づかれた?ピアス落とした、どうしよ。いや、それより、
「やっぱすずちゃん、かわい…。」
やっぱり、すずちゃんは帰ってきた。私のところに。私たち、通じ合ってるんだ…!
これからも、すずちゃんのことを見守っていこう。また、巡り会えたんだから。自分の部屋に戻り、壁一面に飾ったすずちゃんの写真を愛しく眺める。
「やっぱり、もっと良いカメラ買おっかな…。」
こんな可愛いすずちゃんをもっと綺麗に映す為なら金も惜しまない。バイト、増やそ……。
「あ、おはよう!すずちゃん!!」
「おはよう、きずちゃん!」やっぱりかわい。
「私、お金もっと貯めようと思うんだよね~」
「カメラ買うんでしょ?頑張ってね。」
「うん!!」
……ってあれ?カメラ買うこと、なんで知ってんだろ。
「…わたしも、もっとお金ほしい。好きなものは、全部知っておきたいから。」
「その気持ち、マジで分かる!」
(良かった、ちゃんとコレ動いて。)
わたしはそっと、カバンに盗聴器をしまった。
高校一年生の入学式、知らない人しかいないクラスの中で、わたしは聞き覚えのある声を耳にした。地元から引っ越し、知らない空間、人に包まれる学校の中でわたしを知っている人なんているはずがない。ましてや、あだ名呼びで。でも、すぐに分かってしまう。だって、ずっと会いたかった人なんだから。
「きずちゃん…!」
彼女の名前は、原 築(はら きずき)。幼稚園からの幼馴染兼友達で、わたしとは違って明るくて活発な性格だった。きずちゃんは、中学に上がるときに都会に引っ越してしまった。でも3年間、一度だって彼女のことを忘れたことはなかった。きずちゃんは、わたしの初恋だった。
「久しぶりだよね、何年ぶりだっけ?」
「3年だよ。きずちゃんは元気だった?」
「私は元気。すずちゃんも…って、ごめん、友達が呼んでる。また後で話そ!」
「あ……」
行っちゃった。そりゃ、きずちゃんはここに来てもう長い。中学からの友達もたくさんいるんだろう。わたしなんか、きっときずちゃんと釣り合わない。そういえば、昔もこんなこと思ってたなあ…。そのたびにきずちゃんが怒ってくれてた。わたしがいじめられてた時だって、きずちゃんは真っ先に駆けつけて守ってくれた。思い出される思い出に、口元がほころぶ。今でも、わたしの友達はあなただけだよ、きずちゃん。それでも、きずちゃんの耳に開いたピアスが、わたしの知らないきずちゃんを見ているようで、どうしても気になってしまった。
その後、きずちゃんと話していても、友達に呼ばれたり電話が鳴ったりと、ろくに落ち着いて話もできなかった。まあ、きずちゃんと久しぶりに会えただけでも満足だ。これから、ゆっくり……。…ーふと、後ろを振り返る。気配がした。気配は、走って逃げて行った。刹那、胸が鳴った。影の後ろ姿が、誰かに似ている。気配のいた電信柱のところに戻った。そこには、
「これ、きずちゃんが付けてた、ピアス……」
近所のあの子の名前は、古藤 涼(ふるふじ すずみ)。一目見て、好きになった。好きを超えて、監視したくなった。だから、彼女のことは何でも知っていた。好きな食べ物、好きな花、休日は何をしているか、密かにいじめられていることすらも。彼女に振り向いてほしくて。彼女が困っていたらいつでも駆けつけた。全ては、自分のため。それを、両親はおかしいと思ったらしい。急に、私たちは疎遠になった。引っ越しといいながら、私に気を確かにしてほしいと。おかしい。私はいつだって、普通なのに。でも、私はずっと信じてる。また絶対会えるって。会いたいって思わせるために、今まで大事にしてきたんだから。私には君しかいないように、君にも私しかいないんだから。
「はあっ、はっ……!」
バレた?気づかれた?ピアス落とした、どうしよ。いや、それより、
「やっぱすずちゃん、かわい…。」
やっぱり、すずちゃんは帰ってきた。私のところに。私たち、通じ合ってるんだ…!
これからも、すずちゃんのことを見守っていこう。また、巡り会えたんだから。自分の部屋に戻り、壁一面に飾ったすずちゃんの写真を愛しく眺める。
「やっぱり、もっと良いカメラ買おっかな…。」
こんな可愛いすずちゃんをもっと綺麗に映す為なら金も惜しまない。バイト、増やそ……。
「あ、おはよう!すずちゃん!!」
「おはよう、きずちゃん!」やっぱりかわい。
「私、お金もっと貯めようと思うんだよね~」
「カメラ買うんでしょ?頑張ってね。」
「うん!!」
……ってあれ?カメラ買うこと、なんで知ってんだろ。
「…わたしも、もっとお金ほしい。好きなものは、全部知っておきたいから。」
「その気持ち、マジで分かる!」
(良かった、ちゃんとコレ動いて。)
わたしはそっと、カバンに盗聴器をしまった。
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