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お隣さんは春を待つ。

#2

お隣さんとアイス。

《春川さん、引っ越しの片付けは終わりましたか?》
春川さんが引っ越してきてから2日。私は初めて自分からメッセージアプリで春川さんにメッセージを送った。と言うのも、友達ができた喜びが大きかったからか、春川さんは毎日メッセージを送ってきてくれてたからだ。ただ、そんなに私と会話してて、引っ越しの片付けは終わったのだろうかと不安になったので、それを聞くためにメッセージを送信してみた。
するとすぐに返信が返ってくる。
《はい。終わってます。》
よかった、とホッとすると同時に、もう一通メッセージが。
《きますか?俺の家》
そのメッセージを見た途端私は発狂したのだった。

インターホンを鳴らす。
「はい。どうぞ。鍵、あいてますので」
「お、お邪魔します……」
ドキドキする……初めて男の人の部屋とか入る……。
玄関を開けた。するとぶわあああっと勢いよく冷気が外へ出てくる。ワァ寒い……。だいぶ着込んできてよかったぁ……。
そして次に、春川さんの家のインテリアが目に入る。
綺麗。白が多いけど黒で差し色を足して、小物をカラフルにして彩られてる……なんてセンスがいいんですか??
……ところどころ雪が積もっているがご愛嬌。
「莉子さん、ようこそ」
春川さんがひょっこり現れた。ぶわっとさらに冷気が私を襲う。ちょっと髪の毛に雪がつく。そして莉子さん呼びが定着してる。幸せです。ゆくゆくはまた莉子ちゃん呼びになるかな?……なったら私耐えられるかな??名前呼ばれるたびに悶絶しそう。
「春川さん、お邪魔してます。ああ、一応鍵閉めておきますね。私が来訪するとわかっていてもインターホン押してきた人が私と確認するまでは開けない方がいいですよ。万が一に備えるの大事ですから」
特に顔がいいからストーカーにはお気をつけて下さい。
注意すると春川さんはまるで尻尾を振る子犬のような顔で、
「っはい!ご心配ありがとうございます。気をつけます!」
と言った。
うぅぅぅぅう……可愛い!!イケメンでかわいい?なにそれ美味しいの?じゃなくてほんとに美味しいとこ尽くしじゃない??
「あの……呼んでくれてありがとうございます。これ、手土産です。何がいいかわからなかったので……造花を」
それをみた瞬間、春川さんの顔色が変わる。
それは、嬉しさに満ちた笑顔だった。
これは、大当たりなんじゃない!?
もしかしたら今まで触れると冷たさに反応して花が萎れるから花を触った事があまりないんじゃないかって思ってたんだよね。メッセージアプリのプロフィールアイコン花だし、雪女が出てくる漫画調べて読み尽くしたこの2日で得た知識、漫画でありきたりな「花は雪男には身近で遠い興味深い物」ってこと。あくまで予想だったけど……当たったかな。
「嬉しいです、ありがとうございます!俺あんま花と触れ合った事なかったし……ネット上の写真しか見れなかったから。ずっと綺麗だなって思ってて……!っ嬉しい……!」
春川さんはふっと微笑んだ。
そう、まるで、花が開くような笑顔で。
花は身近に咲いてる物だが雪男には近くて遠いもの。
でも。
あなた自身が高嶺の花じゃないですか、春川さんっ!!
愛おしそうに指で造花の花びらをなぞる春川さん。春川さんの触れたところに微かに氷のきらめきの演出がかかる。
微笑んでいる春川さんとキラキラ光る花。
私は脳内のシャッターを切った。撮れた写真をフォトに収めていく。
脳内フォトはこの2日間でもうだいぶたまってしまった。容量が保つかわからない。
そんな考え事をしている時。
ぐぎゅるううぅ……。
お腹が、なった。

……私のお腹だ……。
あああああ恥ずい!イケメンの前でお腹をならす私、ある意味漫画的展開だが思ってたのと違う展開だが!?!?望んでない望んでない!!
それをバッチリ聞いていた春川さんが、ふと口を開き、何か思いついたように微笑んで、
「アイス、食べます?」
と言った。

目の前に出されたアイスは歪で、でもとても愛らしい形をしていた。
「どうぞ。俺の手作りアイスです。お口に合うかわかりませんが……」
「っ手作り!?いただきます!!!!」
凄い勢いで食いつく私。スプーンでゆっくりアイスをすくう。
口に入れる。
「っおいしい!」
まじでうまい。なにこれ今まで食べた事ないくらい美味しいんだけど?特に口溶けがするっとしててめっちゃスプーンが進む。
「よかったです。俺の体質、アイス作るのには便利で。あっという間に冷えてくれるから、すぐにアイスが食べたい時に便利で……でも」
そこで言葉を切り、くしゃっと笑う。
「1人で食べるより、莉子さんと食べるともっと美味しいです。これからは美味しいを共有しあえる人がいる。嬉しいなぁ」

ずっきゅーーーーーーーーん!!!!
今完全に私の心は撃ち抜かれた。
「もう生涯お供します。ずっと一緒にアイス食べましょう」
「!はいっ!」
こんな感じで、純粋な雪男さんに翻弄される毎日。

まだ会って2日目なのに、もう私の頭は春川さんでいっぱいです。

作者メッセージ

この小説を読んで、ほっこりしていただけると幸いです。

2026/02/08 20:42

Maki
ID:≫ 13hhyo2Ah/2MM
コメント

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NL雪男お隣さん日常非日常ほのぼの恋愛

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