文字サイズ変更

無糖のケーキを召し上がれ。

#5

13

……

「[漢字]浜野[/漢字][ふりがな]はまの[/ふりがな] 歩佳」

「はい」

「[漢字]伏見[/漢字][ふりがな]ふしみ[/ふりがな] 尊、……松本 愛」

「はい」

「山澤 紗枝」

「はい」

……

 あいつは、義務教育のルールに従い、入学式で名前だけは呼ばれた。

 でも、あいつは学校に来ない。来れない。

 ……それは、1か月ぽっちじゃ変わるわけない事実。

 そんな簡単に治ったら、苦労してないんだけどなー。

 あいつはそう、軽く笑った。

 そんな軽い問題なわけないでしょ。あんたがそれを1番分かってんでしょ。

 それでもヘラヘラしてんのが、余計腹立つ。

 無意識のうちに、貧乏ゆすりしながらため息をついていた。

 クラスが一緒になった[漢字]京花[/漢字][ふりがな]きょうか[/ふりがな]ちゃんが「どした?なんか悩んでんの?」と聞いてきた。

 そりゃそうだよな、あたし今、不機嫌JCのお手本だったもん。

「……そっか~、いるよね、そういう奴」

 腹立つよ、と京花ちゃんが言う。

 京花ちゃんはあたしたちと小学校が違う。だから初めて話したのは1か月前なんだけど、今では最高の心友。気が合うし、もう2回遊びに行った。

「ほんと……」

 そう返して、中庭を挟んで向かいにある家庭科室を見た。あの辺りは人気が無いので、いくらか暗く見える。

「てか、今日、初めての部活じゃん。料理部だっけ?」

「あ、うん。京花ちゃんは……」

「ダンス部!ちょー楽しみっ‼」

「だよね~、なんかダンスって陽キャって感じ」

「え、そうかな?」

「そうだよ~」

 どーでもいい会話な感じがする。でも、その“どーでもいい会話”が楽しい。

 ……あいつの「愛してる」とか「大好き」も、“どーでもいい”って思いながら言ってればいいのに。



「1年1組、浜野 歩佳です。好きな料理はケーキです」

 自己紹介は簡潔に。印象は軽く残すくらいでいい。

 それに、ケーキだって立派な料理だ。

 優しさが隙間なくあふれ出る顧問の先生からの一言は、

「素敵だね~。でもケーキを作るのはちょっとレベルが高いかな?」

 予想のつくようなものだった。

 そのあとは先輩の自己紹介だとか部の決まりだとかを聞いた。部活1時間なんてすごく短くて、もう完全下校時刻10分前だ。

「早く帰らないと生徒会がうるさいから帰って~」

 先輩に半ば急かされるように、校舎を出る。

 あたしの家は学校から10分辺りのところにある。ちょうどいい距離なんだそうだ。

 でも、小学校よりかは遠い。運動が苦手でバテる。

「ただいま~……」

 尊くんのお見舞いは、と聞こうとした。

「あ、歩佳」

 でも、その言葉は、ママの次の言葉で吹っ飛んだ。

「もう中学生なんだし、スマホ買いに行くわよ」

作者メッセージ

日を越してしまった。
お久ですねこの連載。気分転換です。

2025/05/05 09:53

◇Alice◇
ID:≫ 6.HwTpWbghe22
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は◇Alice◇さんに帰属します

TOP