文字サイズ変更

無糖のケーキを召し上がれ。

#4

12

 小学校の卒業式は、終わった。

 ケープでガチガチに固まった頭をなんとかしようと、昼過ぎのお風呂に入った。

 お湯をママに……お母さんに沸かしてもらって、それでお風呂に入って、頭にお湯をかけた。

 するりするりと、少しずつ髪に指が通るようになる。

 頭は昨日洗ったから、いいかな。まだお昼だし。

 でも、まだ寒くて、身体は冷えている。だから、お風呂にも入る。

 お湯に浸かって、はみだすようになった膝を見つめる。

[明朝体]「歩佳、もうすぐ中学生なのにママ呼びなの?お子ちゃま~w」[/明朝体]

 ぐるぐる心に纏わりつく、そんな言葉のせいにしたい。

 身体が、追い炊きをしても温まらないのは。



「卒業、おめでとう!」

 尊くんは、笑顔で言った。

 底抜けに明るすぎるその声が、その時は苛立ちの火に油を注いだ。

「……なんか、怒ってる?歩佳」

 こいつは妙に察しがいいときがある。

「……なんでもない。あんたに言うことでもない」

 あたしは答えた。ちょっと乱暴すぎる声の荒げ方だったけど、どうでもよかった。

 ……あんた、何見てんのよ。

「なんでもなくないじゃん」

「……は?」

「なんでもない時、歩佳、そんな顔しないよ」

 多分、こいつに嘘はつけなさそう。

 ……でも、こんな自惚れに、大好きなあたしの弱みを見せれば、確実に調子に乗る。

 絶対、言わない。言わない……。

「……歩佳?」

「なによ……あたしは……っ」

「やっぱ辛いの?」

 その声で、あたしは我に返った。

 あたしは、唇を噛みながら、泣いてた。

「……嫌。見ないで……」

 あたしは尊くんに酷い顔が見えないように、手遅れだけどしゃがんだ。

「……誰に、そんなことされたの。それとも、歩佳の個人的な何か?」

「うるさい!いいから黙ってっ‼」

 あたしは怒鳴った。

「……もし誰かにされたなら、俺はそいつをブン殴りに行く」

「……はぁ?あんた、馬鹿なの?」

 その突拍子もない提案に、心の底から呆れた。

 けど――。

「だってさ、俺はいつ死ぬか分かんないじゃん。だから、いつ最期になってもいいように、いつも最期にぴったりな状況にしてたいんだ」

 その言葉が、まるで服にこぼしたクリームみたいにやけにあたしの耳に残って離れなかった。

作者メッセージ

モチベが上がらなくてサボってました。すいません。

2025/03/19 21:39

◇Alice◇
ID:≫ 6.HwTpWbghe22
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は◇Alice◇さんに帰属します

TOP