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無糖のケーキを召し上がれ。

#2

 小学生になって数日経ったころ、ママが突然言った。

「[漢字]歩佳[/漢字][ふりがな]あゆか[/ふりがな]、尊くんのお見舞いに行こう」

「え、なんで?」

「なんで……って、尊くん、だいぶ落ち着いたんだって」

「……結局、何があったの?あの時」

「歩佳、落ち着いて聞いてね……、尊くんね、心臓に重い病気が見つかったんだって」

 しんぞうの、びょうき。

 あたしは無表情のままだった。

「死ぬの?」

「分からない。死んじゃうかもしれないし、生きれるかもしれない」

 あたしは、死ぬ、ということについてまだよくわからなかった。

 だから、その時は安易に、こう考えちゃった。

 あいつに、もう2度と会わなくて済む。

 けど、[漢字]とりあえず[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]お見舞いに行くことにした。

 病院に向かう途中で、ママが「ケーキ、買いにいこう」と言った。

 あそこのケーキは、あたしと尊くんが大好きなケーキのお店。

 あたしは、それがすぐ尊くんのお見舞い用だと分かった。

 けど、あたしは、自分も買ってもらえたことに嬉々としていた。

 2個のショートケーキを持ったママの隣を、わくわくしながら歩いた。



 教えられた307号室に向かっている病院の廊下でも、あたしのわくわくは止まらなかった。

 何しろ、あたしの大好物が、そろそろ食べれるのだから。

 だけど、あたしは病室に入って、戦慄した。

 当時は戦慄なんて言葉知らなかったけど、あとから考えたら「戦慄」が1番しっくりくる。

 あたしの知ってる尊くんじゃなかった。

 管がいっぱい繋がれてて、酸素マスクをつけられていた。

「ごめんね歩佳ちゃん、尊、今寝てるの」

 尊くんのママが言った。

「じゃあ、尊くんに、これ」

 あたしのママが、ケーキを1切れ置いていこうとした。

「あぁ、ごめんね美佳ちゃん。尊ね、[太字]病気の影響で砂糖が食べられなくなっちゃったの[/太字]」

 あたしは、その言葉の意味を理解するのにちょっと時間がかかった。

 けど、それがやっとわかった時、また考えちゃった。

 もう、ケーキを盗られなくて済む。

 けど。

「あれ、歩佳、食べないの?」

「……うん、ママにあげる」

 家で、あたしはケーキを1切れも食べ切れなかった。

 あいつがいないところで食べるケーキは、まるで砂糖が入ってないみたいに不味かったんだ。

作者メッセージ

美佳……歩佳のママです。誤字じゃないです。
ですが1回、砂糖を佐藤に誤字ってました。直しました。

2025/02/25 07:37

◇Alice◇
ID:≫ 6.HwTpWbghe22
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