「はぁ~。」
俺__カゲミヤは地面に向かって深いため息を零した。灰色の髪をくしゃくしゃと掻き回す。すると、影__カイがひょっこり顔を出した。といってもカイは動けるだけのただの影なので黒いだけの顔だけど。
「カゲミヤどした?」
カイに心配されて、カゲミヤは昨日の出来事を話し始めた。
「ミヤちゃんバイトする気ない?」
母親がにっこりと笑って手に持っている封筒を掲げる。カゲミヤは嫌な予感がして首を横に振ったが時すでに遅し。封筒を無理矢理持たされて外に追い出される形で出る。カゲミヤは頭を掻きながら封筒を開けた。中にあったのはチラシだった。
「ウラヌス昇格試験会場警備員募集か……。」
ウラヌス昇格試験というのは星詠みという種族の称号ウラヌスに昇格するための試験だ。母親が差し出してきたのはそれの会場警備員のバイトだ。俺は17歳だから親の同意書がないとバイトなんてできないと思ったらすでに母親の印鑑が押されていた。そこから何があっても行けよという母親からの圧力を感じた。人見知りなカゲミヤにとって人の多い試験会場など地獄以外の何でもないのだ。そこまでカイに話し終えると、カイは大声で笑った。
「笑うなよカイ。」
「悪い悪い。」
「………お前って本当に俺の影なんだよな?」
「おう!」
カイの明るさからカゲミヤは最近自分の影ではないのではと考えるようになった。カゲミヤは二度目のため息を吐くと、空気に溶け込んだ。俺達、影族は恋をしないと実態を持てないから空気になるなど朝飯前だ。空気になりカゲミヤは東の白霞平原を目指し始めた。もちろん何度もため息をこぼしながら。
「着いたぁ!」
そう元気のいい声を発したのはカゲミヤではなくカイだった。妙に浮き立っているカイをカゲミヤは自分の影に押し込める。影族だってバレると色々と面倒くさいので星詠み族のふりをする。会場に付くと裏手に周りカウンターに行く。チラシを見せるとカウンターの人は笑顔で蒼璃石を差し出した。カゲミヤは半分星詠み族だから蒼璃石も使えるがやはり[漢字]影翡翠[/漢字][ふりがな]えいひすい[/ふりがな]の方が使いやすい。ポケットでこっそりと蒼璃石と影翡翠をチェンジしてカゲミヤは会場の護衛に就いた。
しばらくうたた寝していた時、カゲミヤは悪寒で目が覚めた。何者かが試験会場内に入り込んだ気がしたのだ。しかし、実際には誰も入り込んでおらず、カゲミヤは首をひねった。筆記試験保管庫を閉めると、実力試験終了の鐘が鳴った。これで帰れるとカゲミヤは密かにガッツポーズした。だが、廊下を歩いた際にカイが勝手に出てきて、それを15歳くらいの少女に見られた。少女は目を輝かしてこちらに走ってくる。
「貴方影族ですか!?」
やっぱり影族は影で遊ぶ種族だからか影で遊ばせてほしい奴から人気だ。だから見つかりたくなかったのだ。面倒くさいとはまさにこのことを言う。
「しーっ!静かにしろ!他の子も来ちまうだろ!」
静かに叱りつけるカゲミヤにしょんぼりする少女。
「カゲミヤ大人げなーい。」
カイに言われてカゲミヤは仕方なく少女を森に連れて行った。影で散々少女を遊ばせてやると少女は満足したようだった。試験会場にいたから試験を受けたのだろうが随分と幼い少女だ。普通はウラヌス昇格試験は17歳くらいから受けるものだ。この少女は天才と呼ばれる少女なのかもしれない。そう頭では理解しても影で遊んでいた少女はやっぱりあどけない少女だ。いつも他人が怖いカゲミヤだがこの少女とは楽しく遊べた。
「ありがとうございます!じゃあ、代わりに予知をしてあげます!」
そう言うと少女は自信満々に近くにあった泉に歩き出した。そして、泉の中に足を踏み出す。溺れてしまうととっさに駆け出そうとしたが少女の体は溺れることなく水に浮いた。少女はポケットから蒼璃石を取り出すと手の中に浮かべ、目を半開きにした。蒼璃石が青水色に発光する。泉を見た少女は頬を真っ赤に染めた。途端に魔法が切れて少女は泉に沈む。カゲミヤは慌てて少女を泉から引っ張り上げた。引っ張り上げた際も少女の顔は真っ赤だった。
「ひ、一人で上がれるよ!」
少女はカゲミヤの手を無理矢理解くと自分の力で岸に足をついた。一体どんな予知を見たのか、なぜそんなに顔が赤いのか。色々と気になるが明日聞くことにする。カゲミヤは星詠みのこの子に興味を持ったのだ。しばらくここに滞在することにしたカゲミヤはどこに行こうかなと考え始めていた。
「じゃあ、さようなら!」
「あ、ま、待って!」
少女が駆け出そうとしたとき、カゲミヤは呼び止めた。少女は振り返り、首を傾げる。
「なぁに?」
「な、名前なんていうの?」
「リュイ!貴方は?」
「俺は、カゲミヤ!」
「じゃあね、カゲミヤ!」
少女の背中が見えなくなると、カゲミヤは人見知りの自分にしては頑張ったと自分で自分を賞賛する。そして、リュイと反対側の方向に寝床を探し始めた。
___その後行くことになる場所の一つにリュイの家が入っているなど、この時のカゲミヤは思いもしなかった。
俺__カゲミヤは地面に向かって深いため息を零した。灰色の髪をくしゃくしゃと掻き回す。すると、影__カイがひょっこり顔を出した。といってもカイは動けるだけのただの影なので黒いだけの顔だけど。
「カゲミヤどした?」
カイに心配されて、カゲミヤは昨日の出来事を話し始めた。
「ミヤちゃんバイトする気ない?」
母親がにっこりと笑って手に持っている封筒を掲げる。カゲミヤは嫌な予感がして首を横に振ったが時すでに遅し。封筒を無理矢理持たされて外に追い出される形で出る。カゲミヤは頭を掻きながら封筒を開けた。中にあったのはチラシだった。
「ウラヌス昇格試験会場警備員募集か……。」
ウラヌス昇格試験というのは星詠みという種族の称号ウラヌスに昇格するための試験だ。母親が差し出してきたのはそれの会場警備員のバイトだ。俺は17歳だから親の同意書がないとバイトなんてできないと思ったらすでに母親の印鑑が押されていた。そこから何があっても行けよという母親からの圧力を感じた。人見知りなカゲミヤにとって人の多い試験会場など地獄以外の何でもないのだ。そこまでカイに話し終えると、カイは大声で笑った。
「笑うなよカイ。」
「悪い悪い。」
「………お前って本当に俺の影なんだよな?」
「おう!」
カイの明るさからカゲミヤは最近自分の影ではないのではと考えるようになった。カゲミヤは二度目のため息を吐くと、空気に溶け込んだ。俺達、影族は恋をしないと実態を持てないから空気になるなど朝飯前だ。空気になりカゲミヤは東の白霞平原を目指し始めた。もちろん何度もため息をこぼしながら。
「着いたぁ!」
そう元気のいい声を発したのはカゲミヤではなくカイだった。妙に浮き立っているカイをカゲミヤは自分の影に押し込める。影族だってバレると色々と面倒くさいので星詠み族のふりをする。会場に付くと裏手に周りカウンターに行く。チラシを見せるとカウンターの人は笑顔で蒼璃石を差し出した。カゲミヤは半分星詠み族だから蒼璃石も使えるがやはり[漢字]影翡翠[/漢字][ふりがな]えいひすい[/ふりがな]の方が使いやすい。ポケットでこっそりと蒼璃石と影翡翠をチェンジしてカゲミヤは会場の護衛に就いた。
しばらくうたた寝していた時、カゲミヤは悪寒で目が覚めた。何者かが試験会場内に入り込んだ気がしたのだ。しかし、実際には誰も入り込んでおらず、カゲミヤは首をひねった。筆記試験保管庫を閉めると、実力試験終了の鐘が鳴った。これで帰れるとカゲミヤは密かにガッツポーズした。だが、廊下を歩いた際にカイが勝手に出てきて、それを15歳くらいの少女に見られた。少女は目を輝かしてこちらに走ってくる。
「貴方影族ですか!?」
やっぱり影族は影で遊ぶ種族だからか影で遊ばせてほしい奴から人気だ。だから見つかりたくなかったのだ。面倒くさいとはまさにこのことを言う。
「しーっ!静かにしろ!他の子も来ちまうだろ!」
静かに叱りつけるカゲミヤにしょんぼりする少女。
「カゲミヤ大人げなーい。」
カイに言われてカゲミヤは仕方なく少女を森に連れて行った。影で散々少女を遊ばせてやると少女は満足したようだった。試験会場にいたから試験を受けたのだろうが随分と幼い少女だ。普通はウラヌス昇格試験は17歳くらいから受けるものだ。この少女は天才と呼ばれる少女なのかもしれない。そう頭では理解しても影で遊んでいた少女はやっぱりあどけない少女だ。いつも他人が怖いカゲミヤだがこの少女とは楽しく遊べた。
「ありがとうございます!じゃあ、代わりに予知をしてあげます!」
そう言うと少女は自信満々に近くにあった泉に歩き出した。そして、泉の中に足を踏み出す。溺れてしまうととっさに駆け出そうとしたが少女の体は溺れることなく水に浮いた。少女はポケットから蒼璃石を取り出すと手の中に浮かべ、目を半開きにした。蒼璃石が青水色に発光する。泉を見た少女は頬を真っ赤に染めた。途端に魔法が切れて少女は泉に沈む。カゲミヤは慌てて少女を泉から引っ張り上げた。引っ張り上げた際も少女の顔は真っ赤だった。
「ひ、一人で上がれるよ!」
少女はカゲミヤの手を無理矢理解くと自分の力で岸に足をついた。一体どんな予知を見たのか、なぜそんなに顔が赤いのか。色々と気になるが明日聞くことにする。カゲミヤは星詠みのこの子に興味を持ったのだ。しばらくここに滞在することにしたカゲミヤはどこに行こうかなと考え始めていた。
「じゃあ、さようなら!」
「あ、ま、待って!」
少女が駆け出そうとしたとき、カゲミヤは呼び止めた。少女は振り返り、首を傾げる。
「なぁに?」
「な、名前なんていうの?」
「リュイ!貴方は?」
「俺は、カゲミヤ!」
「じゃあね、カゲミヤ!」
少女の背中が見えなくなると、カゲミヤは人見知りの自分にしては頑張ったと自分で自分を賞賛する。そして、リュイと反対側の方向に寝床を探し始めた。
___その後行くことになる場所の一つにリュイの家が入っているなど、この時のカゲミヤは思いもしなかった。