一般通過兄妹「「免罪ですね」」
#1
兄「なにそれ知らん。怖……」
転生したらファンタジーな異世界だった。
なんて、どっかにありそうなラノベが現実になっちまった件。
しかもまさか自分の身に起こるなんて、どんなファンタジーだろうか。いや、世界観がファンタジーだったか。
しかし、いくら凡人が転生したところなにも変わる訳もない。
みんなが望むラノベ的超展開も特になく、この世界の人と変わることのない普通……いや、俺は璃月の中でも割と裕福な生活をしている方だな。
実家は地方を拠点にする豪商で、そこの長男に生まれたお陰で食う寝るに困ったことはない。
今の仕事も実家から斡旋してもらったやつなので、就職活動に苦労せず、家も璃月にあるご先祖様が立てた別宅で暮らしている。
まぁ、見事に甘い蜜だけ吸ってるドラ息子なので、当然多方面から嫌われている。
そこはまぁ、天性の媚売り能力と、現当主の妹と仲がいいおかげで、基本的に直接攻撃してくるやつはいない。
______まぁ、つまりはだ。
いまだ実家から自立できない四捨五入したらプー太郎だが、人に取り入るのだけは上手いという業が深い凡人が俺である。
「どうした、[漢字]星然[/漢字][ふりがな]シンレン[/ふりがな]。食が進まないか?」
「や、そういうわけじゃないよ。ちょっと考え事をね……」
そう、なんで凡人の俺とあなたみたいな人が一緒に飯食おうとしてるのかな〜、とか……。
星然こと俺の目の前にいるのは往生堂の客卿、鐘離。
思わず、様付けしてしまいそうな、高貴な雰囲気の人だが、なぜか呼び捨てを許可されたため遠慮なく鐘離と読んでいる。
見る人全員が「ぅお、顔良……」と思ってしまう顔の圧が強いイケメンと、お世辞でギリギリ優男と言われる俺とは当然釣り合わない御人だ。そんな雲の上の人と机を囲むなんて、誰かに刺されそうだ。
いつ体に刃物が付き立つか怖すぎて心の中で情けなく妹に助けを求めたが、イマジナリーシスターは「タダ飯にありつけるならいいんじゃないの」と投げやりに言った。
イマジナリーなのに俺への対応が雑……。
「お前が考え込むのも珍しいな。妹君によほどの難題でもふられたか」
「やっ、別にあの子は関係ないよ」
「なら、尚の事珍しい」
エッ、お前が考え込むほどの脳味噌があるとは驚きだ(意訳)……って、コト!?
いやいや落ち着け俺。
鐘離は穏やかな人だし、言うことはストレートに言うタイプだから、なんかあったら直接言うよ。そっちの方が傷つくけど……。
というか、鐘離先生とうちの妹知り合いだっけ?と、聞けば「璃月ではお前たち兄妹有名だからな」と、返答があった。
まぁ地方とはいえ、それなりに続く商家の当主で有能だし、身内贔屓なしでも美人だからな、有名になるのも無理ない。
俺は多分、妹の金魚の糞的な感じで悪目立ちしてるんだろう。
うーん、なんとも言えないなぁ。
「悪いけど、最悪でもないってところかな。まぁいいや、それよりご飯食べよ」
「ところで話は変わるのだが、お前は帝君暗殺についてどう思っている?」
「ああ、迎仙儀式のやつね」
鐘離は顔がいいだけではなく、璃月の歴史やいろんな雑学を知っている知識人でもあるため、なのでこう言った手合いの難しい話も世間話のノリでふってくるのだ。
俺みたいな浅瀬でちゃぷちゃぷする知識しかない俺に話されてもなぁ……と、思いながら正直に答える。
「別に俺はなんとも。というか、なんで聞く必要があるの?」
「……ほう。それは、どういう意味だ?」
やっっべ、なんか怒らせた……?
璃月の人たちはこの国の神さまである岩神帝君への信仰が厚い。
もしかしたら鐘離もそのうちの一人で、適当すぎる俺の答えに怒ってるのかもしれない。
ならちょっと対応を間違ったな。
……しかし、言ってしまったのならもう戻れない。
最後まで言ってしまおう。怒られたら……まぁ、その時はその時で。
「そのままの意味かな。聞く相手間違えてるよ、俺より……いや、この璃月の誰よりも鐘離のがよっぽど知ってるでしょ」
なんちゃって元日本人のなんちゃって宗教観宗教観に聞かないでもろて……。
周りにあわせるため帝君を信仰してる風にしてるが、俺も妹も宗教観は適当だ。
中身というか前世が、教会で結婚式挙げて、初詣に近所の神社に行って、寺の墓に入る日本人なんでね。
この世界のびっくりファンタジーにはいい加減慣れて「神さまも居るんだろうな〜」ぐらいには思ってるけど、見たこともない神さまが死んでも特に思うところがない。
市場の混乱見てたら「やべーな」とは思うけど、自分の身に火の粉が降りかからないなら俺は大分適当な人間の自覚はある。
暗殺怖いね〜
関係ないわけじゃないけど、関わらないのが一番だと俺は思うわけですよ。
「そりゃね。帝君が死んだことは一大事だし、悲しいよ」
「そうは見えないな」
「キノセイダヨー」
最後最後の、一応信仰してるから殺さないでクレメンス作戦は失敗したようである。
鐘離の鋭い目線と絶妙な気不味い雰囲気の中、俺は視線を右往左往。
そして居た堪れず、鐘離に背を向けて窓に手を置いた。
アー、景色が綺麗ダナー。
絶好の曇天日和の外を見ながら思った、その瞬間だった。
……つるっ。
「ア゜」
という、間抜けな声が漏れる間もなく、俺は手を滑らせて窓から転落した。
いや、マジでどうなってんの??ちょっと体乗り出しただけじゃん、なんで落ちんの!?!?
いや、ギリギリ生きてるけどさぁ!?
俺が幼少期に家庭教師から逃げるために二階から飛び降りてた系のドラ息子で、地面に落ち葉が集まっててよかったよ。
掃除してくれた人には散らかしてしまって申し訳ないけど、これで助かる命がここにある。
「星然ッ……!?」
二階の窓からめちゃくちゃ慌ててのぞいてくる鐘離に、涼しい顔をしながら手を振る。
ひねくれ屋なので素直に「痛ェエエエエ!!」と叫べないのが悲しいところ。鐘離にはもうバレてるだろうけど、ここは男の矜持。誤魔化させて頂こう。
「では、これで俺は失礼するよ。食事は後から来る人とどうぞ」
そう言って俺はジンジンする足を奮い立たせて、家まで戻った。
……え、後から来る人って誰かって?
そりゃあ俺も知らんよ。あそこはカッコつけるためだけに言ったので、おそらく運ばれてくる二人分の食事を鐘離は食ったのだろう。
そんな迷惑すぎる俺と、まだ話してくれる鐘離はきっと悟りを開いた仙人に違いない。
なんて、どっかにありそうなラノベが現実になっちまった件。
しかもまさか自分の身に起こるなんて、どんなファンタジーだろうか。いや、世界観がファンタジーだったか。
しかし、いくら凡人が転生したところなにも変わる訳もない。
みんなが望むラノベ的超展開も特になく、この世界の人と変わることのない普通……いや、俺は璃月の中でも割と裕福な生活をしている方だな。
実家は地方を拠点にする豪商で、そこの長男に生まれたお陰で食う寝るに困ったことはない。
今の仕事も実家から斡旋してもらったやつなので、就職活動に苦労せず、家も璃月にあるご先祖様が立てた別宅で暮らしている。
まぁ、見事に甘い蜜だけ吸ってるドラ息子なので、当然多方面から嫌われている。
そこはまぁ、天性の媚売り能力と、現当主の妹と仲がいいおかげで、基本的に直接攻撃してくるやつはいない。
______まぁ、つまりはだ。
いまだ実家から自立できない四捨五入したらプー太郎だが、人に取り入るのだけは上手いという業が深い凡人が俺である。
「どうした、[漢字]星然[/漢字][ふりがな]シンレン[/ふりがな]。食が進まないか?」
「や、そういうわけじゃないよ。ちょっと考え事をね……」
そう、なんで凡人の俺とあなたみたいな人が一緒に飯食おうとしてるのかな〜、とか……。
星然こと俺の目の前にいるのは往生堂の客卿、鐘離。
思わず、様付けしてしまいそうな、高貴な雰囲気の人だが、なぜか呼び捨てを許可されたため遠慮なく鐘離と読んでいる。
見る人全員が「ぅお、顔良……」と思ってしまう顔の圧が強いイケメンと、お世辞でギリギリ優男と言われる俺とは当然釣り合わない御人だ。そんな雲の上の人と机を囲むなんて、誰かに刺されそうだ。
いつ体に刃物が付き立つか怖すぎて心の中で情けなく妹に助けを求めたが、イマジナリーシスターは「タダ飯にありつけるならいいんじゃないの」と投げやりに言った。
イマジナリーなのに俺への対応が雑……。
「お前が考え込むのも珍しいな。妹君によほどの難題でもふられたか」
「やっ、別にあの子は関係ないよ」
「なら、尚の事珍しい」
エッ、お前が考え込むほどの脳味噌があるとは驚きだ(意訳)……って、コト!?
いやいや落ち着け俺。
鐘離は穏やかな人だし、言うことはストレートに言うタイプだから、なんかあったら直接言うよ。そっちの方が傷つくけど……。
というか、鐘離先生とうちの妹知り合いだっけ?と、聞けば「璃月ではお前たち兄妹有名だからな」と、返答があった。
まぁ地方とはいえ、それなりに続く商家の当主で有能だし、身内贔屓なしでも美人だからな、有名になるのも無理ない。
俺は多分、妹の金魚の糞的な感じで悪目立ちしてるんだろう。
うーん、なんとも言えないなぁ。
「悪いけど、最悪でもないってところかな。まぁいいや、それよりご飯食べよ」
「ところで話は変わるのだが、お前は帝君暗殺についてどう思っている?」
「ああ、迎仙儀式のやつね」
鐘離は顔がいいだけではなく、璃月の歴史やいろんな雑学を知っている知識人でもあるため、なのでこう言った手合いの難しい話も世間話のノリでふってくるのだ。
俺みたいな浅瀬でちゃぷちゃぷする知識しかない俺に話されてもなぁ……と、思いながら正直に答える。
「別に俺はなんとも。というか、なんで聞く必要があるの?」
「……ほう。それは、どういう意味だ?」
やっっべ、なんか怒らせた……?
璃月の人たちはこの国の神さまである岩神帝君への信仰が厚い。
もしかしたら鐘離もそのうちの一人で、適当すぎる俺の答えに怒ってるのかもしれない。
ならちょっと対応を間違ったな。
……しかし、言ってしまったのならもう戻れない。
最後まで言ってしまおう。怒られたら……まぁ、その時はその時で。
「そのままの意味かな。聞く相手間違えてるよ、俺より……いや、この璃月の誰よりも鐘離のがよっぽど知ってるでしょ」
なんちゃって元日本人のなんちゃって宗教観宗教観に聞かないでもろて……。
周りにあわせるため帝君を信仰してる風にしてるが、俺も妹も宗教観は適当だ。
中身というか前世が、教会で結婚式挙げて、初詣に近所の神社に行って、寺の墓に入る日本人なんでね。
この世界のびっくりファンタジーにはいい加減慣れて「神さまも居るんだろうな〜」ぐらいには思ってるけど、見たこともない神さまが死んでも特に思うところがない。
市場の混乱見てたら「やべーな」とは思うけど、自分の身に火の粉が降りかからないなら俺は大分適当な人間の自覚はある。
暗殺怖いね〜
関係ないわけじゃないけど、関わらないのが一番だと俺は思うわけですよ。
「そりゃね。帝君が死んだことは一大事だし、悲しいよ」
「そうは見えないな」
「キノセイダヨー」
最後最後の、一応信仰してるから殺さないでクレメンス作戦は失敗したようである。
鐘離の鋭い目線と絶妙な気不味い雰囲気の中、俺は視線を右往左往。
そして居た堪れず、鐘離に背を向けて窓に手を置いた。
アー、景色が綺麗ダナー。
絶好の曇天日和の外を見ながら思った、その瞬間だった。
……つるっ。
「ア゜」
という、間抜けな声が漏れる間もなく、俺は手を滑らせて窓から転落した。
いや、マジでどうなってんの??ちょっと体乗り出しただけじゃん、なんで落ちんの!?!?
いや、ギリギリ生きてるけどさぁ!?
俺が幼少期に家庭教師から逃げるために二階から飛び降りてた系のドラ息子で、地面に落ち葉が集まっててよかったよ。
掃除してくれた人には散らかしてしまって申し訳ないけど、これで助かる命がここにある。
「星然ッ……!?」
二階の窓からめちゃくちゃ慌ててのぞいてくる鐘離に、涼しい顔をしながら手を振る。
ひねくれ屋なので素直に「痛ェエエエエ!!」と叫べないのが悲しいところ。鐘離にはもうバレてるだろうけど、ここは男の矜持。誤魔化させて頂こう。
「では、これで俺は失礼するよ。食事は後から来る人とどうぞ」
そう言って俺はジンジンする足を奮い立たせて、家まで戻った。
……え、後から来る人って誰かって?
そりゃあ俺も知らんよ。あそこはカッコつけるためだけに言ったので、おそらく運ばれてくる二人分の食事を鐘離は食ったのだろう。
そんな迷惑すぎる俺と、まだ話してくれる鐘離はきっと悟りを開いた仙人に違いない。