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無自覚系非常識チートなお嬢様の成長譚

#2

第2章:お嬢様、 お家でも頑張ります。

ラーズ)ふぅ....

 ラーズとカナタは迎えの馬車に乗っていた。
 何の迎えかと言うと、そりゃもちろん"ユグドラシル"家の迎えの馬車である。
 ちなみに宴会は昼頃には終わっている。
 高ランクや二つ名持ちの冒険者は何日もギルドに顔を出さないと、
 ギルドの担当受付嬢に心配されるのだが、ラーズ、と言うよりカナタがユーナに数年冒険者活動を中止する旨を伝えてあるから大丈夫である。
 ちなみに担当受付嬢が付くのは高ランク若しくは二つ名持ちの冒険者である。
 最初の方で伝えた通り、ラーズは公爵家の娘であり、家族や使用人達に"大変"!""大変""!!!愛されているのである。
 なのでラーズが冒険者になりたいと言った時は何があっても何とかなるカナタを専属執事として、ラーズの冒険者活動の援助を色々していたのであった。
 ラーズは独り立ちをしたいと援助をあまり受けないが、愛されている自覚はあるのであまり危険な依頼は受けない様にしているのである。
 え?、赫灼竜はいいのかって?、君のような勘のいいガキは嫌いだよ。
 数十分経っただろうか?、馬車が止まり、ラーズとカナタは馬車から降りる。
 するとラーズの帰還を歓迎する様に、レッドカーペットが屋敷の玄関まで敷かれており、
 そのカーペットを挟む様にメイドや使用人達が一斉に、

メイドや使用人達)おかえりなさいませ!、ラーズお嬢様!

 と言って、メイドや使用人全員が同時に礼をする。
 その姿は完璧にヤクザのアレである。
 まぁ、その礼の揃い具合は完璧で、どれだけ練習したのかがよく伺える。
 ラーズは小っ恥ずかしそうに屋敷の中に入っていく。
 ラーズが屋敷に入ると同時に奥からドタドタと走りながらラーズに近づく1人の影があった。

???)ラーズちゃ〜ん!!...久しぶり〜!怪我してない?

 ラーズにギュッと抱きつく女性、外見だけ見たら20代にも見えるこの人は、ラーズの母、"フィズ"である。
 ラーズよりも濃い青の髪をしており、顔立ちもとてもよく、モデル(この世界には存在しないが、)をやっても問題はないであろう。
 ちなみにこの人、元Aランク冒険者の"氷海の魔女"である。
 この二つ名は、海の魔物の中でも最強格である"リヴァイアサン"を倒した時に海が氷漬けだった事から名付けられたと言う。
 ちなみに、この人は40代後半でそろそろ50である。
 と、フィズがラーズに抱きついていると奥からフィズを羨ましそうに見ている男性が1人。
 その人をラーズが見つけると苦笑いして手招きをする。

???)おぉぉ!!...ラーズちゃぁぁん!!...パパは..パパは心配で、

 半泣きで叫びながらフィズと同じ様に抱きついて来るのはラーズの父親、"ランデ"。
 こちらは年相応、50代の威厳のある顔付きをしているがこのラーズに抱きついているところを見ているとその威厳がパーである。
 ランデは純白の髪をしており、いや白髪であろう。

ランデ)ラーズちゃん!..今日はパパと一緒に寝ようね!

 などとラーズに言うとラーズはキッパリ一言、

ラーズ)イヤです。

 そう言われたランデはまるでこの世の終わりの様な顔をしている。
 ちなみにこのランデ、こう見てもフィズと同じく元Aランク冒険者の"天割の剣聖"である。
 天割と言うのは空の魔物の中でも最強格の"黒龍"と戦った後の空を見た者が告げた一言だと言われている。
 なぜこの二人の元冒険者が公爵家なのかと言うと、実はこのランデ、
 ソロで冒険者をしていたフィズの戦闘している姿に一目惚れして王族であった自分も冒険者になりパーティーを組むと言う事をした結果であるそうな。
 その後、何とかランデとフィズに離れてもらったが、

メイドA)お嬢様ちょっと身長伸びました?
メイドB)お嬢様のその服装も似合ってます!
メイドC)お嬢様やっぱりいつ見ても可愛い!

 等とメイド達にもみくちゃにされては胴上げされたりなど、着せ替え人形にさせられかけたがこの後の報告が控えているので流石に許された。
 ラーズはカナタと共に奥にあるランデの執務室に行き、二人に冒険者活動についての報告。

ラーズ)ここに来る前にオークを一体、カナタに助けられながらではあったけど、倒しました。

 ラーズがそう言うとランデとフィズは抱き合いながら涙を流していた。

カナタ)お嬢様は単独でスライムを倒していますよ、旦那様、奥様。

 カナタがそう告げるとフィズとランデが驚愕する。

ランデ)なんッ?!....だと?!

フィズ)...魔法じゃまず攻撃力が無いし、物は筋力無さすぎて持てないのに一体どうやって?....

 二人がそう言うと自信満々のラーズは目の前で軽く「月歩」を使ってみせる。

ランデ)おぉ?!...それは...まさか?!...「月歩」か?!

 ランデは驚きながらラーズを撫でている。

フィズ)でも..月歩でどうやって..?

 フィズは不思議そうにラーズを見て、考えている。

ラーズ)靴の重さを利用した一撃、まぁそうは言っても....スライム以外はダメージほぼ皆無だけどね....

 ラーズがそう言うとフィズは少し目を見開きラーズを見つめる。

フィズ)それはラーズが一人で考えた技なの?

 フィズはラーズをじっと見つめる、ラーズはそれを笑顔でこう答える。

ラーズ)もちろん!、僕一人で考えた技だよ!
 ランデとフィズは再び泣きながら抱きつく。

ランデ)うちの娘は天才だ!、超ド級の天才だぁ!

フィズ)冒険者活動でちゃんと成長してきてるッ、可愛いっ!

 フィズの最後の可愛いはラーズ本人からしたらよくわからないが、そんな二人を見てラーズは嬉しそうにし、カナタはそんな3人を見てニコッと笑っている。
 まぁそんなこんなを経て、今ラーズは自分の部屋にいる。
 一応後で食堂での食事との事、ここ数年宿屋のご飯ばっかだったので少し楽しみにしているラーズであった。

ラーズ)月歩....

 部屋で一人月歩とずっとつぶやいているラーズ。
 そして、その時、月歩が発動したのだった。

カナタ)お嬢様〜?

 カナタが呼びに来たのを確認してすぐさまこの実験をやめてドアを開ける。

ラーズ)はいはい!...どうしたのカナタ?

 ドアを開け、現れたラーズは服が所々乱れており、急いでいたのがよくわかる。

カナタ)いえ、そろそろお食事の時間でしたので....お嬢様、部屋でナニしてたんですか?

 次の瞬間、ニヤニヤしていたカナタの漢の悲鳴が上がるのだった。
 十数分経った後、食堂にラーズ、フィズ、ランデ、カナタにその他メイド達が集まっている。

フィズ)ラーズちゃん、学校は楽しみ?

 食事が来るまでの間のちょっとした雑談を兼ねているのかフィズがラーズに問い掛ける。

ラーズ)超楽しみってわけじゃ無いかな〜....楽しみじゃ無いって言ったら嘘にはなるけど...

 少し苦笑いしながらフィズの質問に回答する。
 少し困り顔をするフィズを見てラーズは悪い事をしたかな?、と思いつつ、食事を待つ。

ランデ)なぁ、ラーズよ。

 ランデがラーズちゃんではなく、ラーズと言う時は真剣な話の時なのでラーズはランデの方を見る。

ラーズ)どうかしたの?..

 ランデの真剣な顔を少し気圧されつつ、何の話か、ランデの言葉を急かす。

ランデ)いや...なに...食事が終わったら一度俺と戦ってみないか?と言うだけだよ。

 ラーズは一瞬戸惑うも、自分の実力の再確認もできると言うメリットもあるため、断る訳もなく、

ラーズ)わかった!、お父さんに僕の実力見せてやるからね!

 ふふん!と自信満々といった感じである。
 その後食事がやってきたので食べた。
 ラーズは、高級な食事もいいけどやっぱり僕が好きなのは串肉だなぁと言っていた。
 その次の日からおやつ(?)に串肉を食べれる様になった、ラーズは当たり前かの様に爆食いしている。
 食事後、庭に出て深呼吸をしている、"蒼き閃光"と、完全武装の"天割の剣聖"がいる。

ラーズ)お母さんのスタートの合図で始めようか、お父さん。
 ラーズはそう言って走る構えをする。

ランデ)ふっ、お父さんはまだまだラーズにゃ負けんさ。

 そう軽く意気込み腰に添えてあった剣を抜く。
 その剣は天割の剣聖の愛剣であり、ランデが本気だと言うことが窺える。

フィズ)それじゃあ...スタート!

 両者その合図と同時に駆け出した!。

ラーズ)月歩!

 瞬間蒼い閃光すら見えない速さでランデの目の前に?!

ランデ)うぉぉぉ!!!!

 目の前にいたラーズをわかっていたかの様に剣で斬りかかろうとする。

ラーズ)月歩!

 剣で切られる直前に月歩で後ろに下がり、回避する。

ランデ)ほぅ....やっぱり腕を上げたなラーズよ!

 ランデが剣を鞘に収めると、その刹那、居合切りを放つ。
 その速度はまさに閃光に近しい速度であった、だがしかし、その程度の速度ならば、

ラーズ)当たらないッ!!

 身を翻し回避をしたと思ったらその状態から片足を軸とした、回し蹴り。

ラーズ)月歩!!

 しかも月歩で空を蹴り、回し蹴りの速度をあげて来る。

ランデ)ぐッ?!

カナタ)なんと?!

フィズ)...なんで?!..

 ランデは剣でその回し蹴りを受けるも衝撃で少しだけ後退する。
 しかし、月歩一発の威力では鎧だけで150kあるランデを後退させるなど不可能である。
 その光景を見たカナタとフィズは驚きを隠せず、それはランデも同じであった。

ラーズ)さぁ!...まだまだ行くよお父さん!

 先の一撃で勢いづいたラーズは閃光が如く速さでランデの目の前に現れる。

ランデ)どりゃぁぁあっ!!!

 そのラーズに斬りかかるもあっけなく避けられてしまう。

ラーズ)ふんすっ!!

 膝蹴りをランデに超至近距離で放つと、ランデは空に飛ばされる。

ランデ)ぐぉッ?!..んなバカな?!

 先程言った様にランデは重装備であり、体重や諸々を追加した合計の重さでも200kをゆうに超えている。
 それを膝蹴りで空中に上げるラーズの筋力が幾つになっているのか、否。
 ランデが驚いたのはそこだけでは無い。
 攻撃によるダメージ、つまりは攻撃力が無いのだ。
 どう言うことかと言うと、衝撃のみで攻撃力が無い、まるで"衝撃だけを与える技"かの様に。

ランデ)まさか?!

 ランデが気づいた時にはもう遅い、何の音もなく自分の真上に"月歩"で現れたラーズを見つけ、負けを悟る。

 ラーズは考えていた。
 どうしたら敵を倒せるのか、どうやったら攻撃を与えれるのか?、
 ラーズは結論に至る。
 ユニークスキルでもなければ攻撃を与えれはしないと。
 ならばどうするか?、衝撃を与えて相手を気絶させればいい。
 ダメージ、つまりは"傷"を与えられないだけで、"威力が無い"だけで衝撃は与えれる。
 ラーズは考えた。
 どうやったら強い衝撃を与えれるのかと。
 ラーズは結論に至った。
 "月歩"で空を蹴る事で威力を増せば良いと。
 だがこの結論には欠点が一つあったのだ。
 その欠点とは、月歩一発の威力ではそこまで強くは無いと言う事。
 ならばどうすれば良いか?、"一度で何回も月歩を使えば良い"。
 ラーズはスキルの"多重使用"と"同時発動"と言う新たなスキルを得た。
 そう、ラーズが一人部屋で月歩を呟いていたのはこの為である。
 そしてラーズはもう一度スキルを発動させる。

ラーズ)四重月歩...名付けるなら...「四艘跳」!!

 四艘跳を使用し、足に勢いをつけてからランデに空中で上からの大車輪かの様な回し蹴りを放つ。

ランデ)ぐふッ!!

 そのままランデは凄い勢いで落下していき、地面に激突するとランデを中心とした直径1mほどのクレーターが出来上がる。

ラーズ)っとと...

 呑気に着地するとランデは笑いながらクレーターの中心で座っていた。

ランデ)ハッハッハ!、いやぁスキルの使用禁止を課していたとはいえ、こうもあっさりと倒すか!、最後の落下、スキルがなきゃワンチャン死んでたぞ!

 大笑いしながら、そして嬉しそうにしているランデを見て、ラーズは自分が強くなった、少しは成長したと確信し、どこか嬉しくもむず痒くなる。

フィズ)凄いわね...あの衝撃は直で喰らったら流石の私もきついと思うわ....

 フィズは本当に驚きと言った感じで、カナタに関しては驚きすぎて言葉も出ていない。

ランデ)移動系スキルを攻撃に活用した者は俺が知る限りラーズだけだぞ!、ハッハッハ‼︎

 ラーズの背中をポンポンと叩きながら、その日の模擬戦は終わった。
 明日はフィズと戦うことになっており、ラーズは新技を考えながらその日はベットに潜る。

ラーズ)氷...かぁ...あ!

 何か思いついたかの様に声を漏らすと流石に寝ないと、と慌てながら寝た。
 翌日の朝。

ラーズ)んにゃ〜!!

 久しぶりのこのフカフカベットでちょっと寝過ごしそうになっていたが起床時刻にきちんと起きる。
 今まで宿屋の普通くらいのベットだった為、高級ベットのこのフカフカ加減はラーズからしたら天国であろう。

ラーズ)あれ...カナタは...?

 いつもならラーズの寝顔をとったり寝室に潜入してラーズを眺めたり、添い寝しようとしたりするカナタがおらず少し戸惑うも、
 ここはユグドラシル家であり、カナタは冒険者期間用の専属だったはずだからもう居ないのである。
 ラーズはそう考えるとどこか寂しく、心の中にもやもやができてしまう。
 変態執事なはずなのに、と首をブンブンと振る。
 それでも毎朝起こしにくるカナタがいないとどこか調子が狂う様で、呼びベルを鳴らす。

ラーズ)カナタ〜!

 呼びベルを鳴らしながらカナタの名前を叫んでいるとカナタが部屋のドアを開けてやって来る。

カナタ)どうかしましたか?、お嬢様。まさか私が恋しくなりました?

 半笑いで告げるカナタを見つけホッと一安心するラーズだが、またすぐに消えると思ってしまい、それがいてもたってもいられなくなり、

ラーズ)カナタ、ちょっとこっちきて。

 どこか塩らしいラーズを見て何だろう?と思いながら彼方がラーズの目の前に立つと、

ラーズ)....あんま遠くに行くな...バカ..//

 顔を少し赤らめ、涙を少し浮かべながら、カナタの服の袖を掴む。
 その光景を見たカナタは、鼻血で倒れたと言う。
 数十分後、カナタの鼻血騒動で復活したカナタがラーズに抱きついて離れないなど、
 色々あったが何とか対処し、ラーズは今、フィズと庭に向かい合いで立っている。

ラーズ)もしも僕が勝ったらカナタをこのまま専属執事にする!

 ラーズがそう言うとカナタがまた暴れかけるが、何とか抑え、フィズはあらあらと少し嬉しそうにニコッとしている。

フィズ)ええもちろん良いわよ。だけど負けたら....わかってるわね?

 少しラーズを脅し緊張を高める。
 今回フィズは初期の氷魔法のスキルを使って来る、だが氷海の魔女が使って来る為、ラーズは苦戦を強いられる可能性が高い。
 そんな開始前から劣勢のラーズを見てカナタが応援を始める。

カナタ)お嬢様〜!、頑張ってくださいね〜!

 カナタに応援されたラーズは少し顔を赤らめているもどこか嬉しそうにし、気合いを入れ直す。

ランデ)それじゃあ、スタートだ!

 開始合図とともに、ラーズは"距離を取る"。

ランデ)なん?!

 フィズは氷系統の魔法使いであり、魔法使いの名の通り、遠距離がメインである。
 その相手に距離を取ると言う事がどれだけの愚策か、そしてラーズは"魔法以外の遠距離の攻撃スキル"を持っていないのだ。
 魔法を使おうにも威力が無いので意味がない。
 そうつまりはこの勝負、距離をどれだけ近づけれるかでラーズの勝敗が決まると言っても過言ではないのに対し、
 ラーズは当たり前かの様にスタートで距離を取ったのだ。

ラーズ)ほら...打ってきなよ!

 挑発する様にクイックイッと、招き猫の様に指をこちら側へ曲げる。

フィズ)そっちがその気なら私は別に良いわよッ!「アイスランス」!

 魔法系のスキルは基本横文字である。
 アイスランスは10本程度の氷の槍を形成し相手に飛ばすスキル。
 そして、ラーズはそのアイスランスを見て、

ラーズ)...「ファイアランス」!

 新たな魔法スキルを獲得する。
 アイスランス、それは名前の通り"氷"の槍、そこで考えたのは"炎"である。
 相手が氷海ならばこちらは炎海だ!と言う暴論である。

フィズ)あらあら?!

 驚きながら自分のアイスランス達がファイアランスで溶かされていくのを見ている。

カナタ)お嬢様...よく考えましたね!

ランデ)だが、これじゃあ攻撃が!...

 そうなのである。
 このままじゃ攻撃どころか相手に触れることすら叶わないのである。
 だが、ラーズのトンデモ発想がこれで終わるほど、ラーズは平凡じゃないのだ!

ラーズ)じゃあこんなのはどうかな!

 おやつの代わりとして食べていた串肉の串を空に向けて30本も投げる。

フィズ)一体何を...?

 フィズは不思議そうにその串を見ている。
 フィズに向けて投げるならまだしも、空に向けて投げるのはよくわからないと言った風に。

ラーズ)ファイアランス..三重!

 その時、串に炎が宿り、串達が一斉にフィズに向けて射出される。
 しかも、炎を纏ったまま。

フィズ)はっ?!..なにそれ?!

 急いでアイスランスで対応しようとするがしかし、

フィズ)そんなっ!

 炎で氷を溶かされ、炎は鎮火するも30もの串がフィズの周りに突き刺さる。

ラーズ)どうかな?

 ニコッと笑いながら串を服の中からまだまだ取り出すラーズを見て負けを悟ったのか、

フィズ)流石に私の負けよ....こーさん、降参よ。

 悔しそうだがどこか嬉しそうにし手をヒラヒラとするフィズを見て、ラーズは

ラーズ)やったぁ!!

 本当に嬉しそうに喜んでいる。

ランデ)いやぁ....ちゃんとD位の実力は全然あるな....と言うか串を使えば攻撃になるんじゃ?

 確かに!、とカナタ達は納得するがラーズが頬をポリポリ掻きながら、

ラーズ)生身の人相手ならそうだけど....前に別の炎魔法でとある魔物に試した時当たり前の様に弾かれて....

 カナタは赫灼竜のことを思い出し、絶対にそれは相手が竜だからだと思いながらラーズを見ている。

フィズ)これなら....魔法学園でもやっていけそう....いや....魔法学園でも普通に最強格だったりして?

 冗談のようにクスクス笑いながら、ラーズを揶揄う。

ラーズ)そんなわけないでしょ!

 そんなフィズを見てラーズは少し嬉しそうに頬を赤らめながら否定をするも、

カナタ)お嬢様は最強ですからね!

 後ろから自信満々にラーズの強さを語るカナタが居て...

ラーズ)僕はそんな強くないし〜!!

カナタ)いえ、お嬢様が弱いのはベットの上だけです。

ラーズ)はぁっ?!...ちょ、何言って?!..//
 ラーズは頬を赤らめながらカナタにぷりぷりしている。
 そんな光景を嬉しそうにクスクスと笑いながらランデの隣に行くフィズ。

フィズ)良いカップルよね?..

 ラーズやカナタに聞こえない様に小さな声でランデに聞く。

ランデ)あぁ....カナタ君は良い子だし....ラーズとお似合いさ。

 そう言いながらフィズを自分の肩に抱き寄せるランデ、抱き寄せられたフィズは少し恥ずかしそうにするも、頭をランデの肩に置く。
 そんな二人を見ているといつ妹ができてもおかしくはないであろう。
 真実の愛とは、何年経っても不滅であり、何年経っても冷めないのだ。
 そしてそのバカップル2組を影からキャーキャー言いながら見ているメイド達、
 色々あったが、これがラーズの家、ユグドラシル家である。
 そんな出来事から数日後、朝にカーテンがガッと開けられる。

カナタ)おはようございます、お嬢様。

 ニコッと微笑みながらカーテンを開けてラーズに微笑むカナタ。

ラーズ)ふぇ?!..もう朝ぁ?...

 いきなりの光で驚いたが、グッと背伸びをし、上半身を起こす。
 髪の毛は寝癖もなく、サラサラで綺麗であり、メイクなんぞ絶対にしない精神で、それでも美少女なのがラーズであった。

カナタ)お嬢様は今日もお綺麗ですね、今日は特に何もありませんよ。ゆっくり過ごしましょう。

 カナタは優しい笑みを浮かべながらそう言うものだから、ラーズはガチで照れながら、

ラーズ)バカ...//

 と頬を赤らめながらカナタにポコポコ殴っている。
 もちろんそんな光景をカナタが見たらどうなるかというと、

カナタ)ブフォッ!!

 鼻血がすごい勢いで噴射され、床に倒れる。
 床に倒れた音でメイド達が急いでラーズの部屋までやってきて、あぁまたか、と言う顔をしながら手慣れた手つきでカナタの鼻血を片付け、カナタをカナタの寝室に運ぶ。
 運ぶ際、ラーズの部屋を出る前に、

メイド)お嬢様自分が可愛いことを自覚してくださいね。

 と言われて、苦笑いしながら頬をぽりぽりと掻いている。

ラーズ)善処しようかな...

 苦笑いのラーズであった。
 私服に着替え、今日は街に出ようと思う。
 朝方、カナタが沈んでしまったので、それのお見舞いを兼ねて、街にある八百屋のあま〜い果物を買う予定だ。

ラーズ)カナタが喜んでくれると良いけど....

 ラーズが冒険者、蒼き閃光として活躍していた場所はここより少し離れた街であり、それゆえにラーズはあまり街の皆と交流がなく〜、なんて事はない。
 幼い頃からランデやフィズとともにこの街を歩いていたので中々に面識がある。
 なので、普通に歩いていてもこの様に、

おばあちゃん)ラーズちゃん!..久しぶりだねぇ、もう帰ってきてたのかい?

 お年を召したおばあちゃん、この人はこの街の門番をしている騎士さんの母方である。
 この様に、ラーズは街の人それぞれの関係性をよく理解している。
 なのでたまに相談や依頼などが来るのだが、まぁそれを受けちゃうのがラーズである。

ラーズ)はい!...おばあさんも重たい荷物持つ時は気をつけてくださいね!

 ニコッと笑顔で言っていると周りに人が集まって来る。

子供A)ラーズだ〜!!
子供B)ラーズお姉ちゃんおかえり〜!
青年)ラーズさん!、お久しぶりです!
少女)ラーズお姉ちゃん!、私最近魔法使える様になったんだよ!
買い物をしていた奥様方)あらあら!、ラーズちゃんじゃないの!

 この様に、ラーズの人望は厚いのである。
 人々に揉みくちゃにされながらも、目的の八百屋につく。

八百屋のお兄さん)おろ?、領主様の娘さんのラーズ様じゃねぇか!、こんな八百屋にどんなご用で?

 自虐を入れながらも敬意を忘れない八百屋のお兄さんの言葉を聞いて果物を見ている。

ラーズ)僕はここの八百屋に来るのは数年ぶりだけど、前はよく通わせてもらったんだ。

 お兄さんにラーズがニコッと笑顔で話しかけると、お兄さんの頬が少し赤くなる。

八百屋のお兄さん)じゃ...じゃあ母さんの頃か、俺がここに就き始めたのは2年前だからな、

 甘い果物を手に取りカゴに入れながらお兄さんの話を聞くラーズ。

ラーズ)僕は数年って言っても...3年近くだけどね、ちょっと隣町で色々しててさ〜。

 お兄さんの話を聞きながら自分の話を入れる。
 お兄さんはラーズと話すのが楽しいのかその話をよく聞いている。
 そんなこんなしているとそろそろ12時に差し掛かろうとしており、

ラーズ)っと、そろそろ戻らないとかな?、それじゃあねお兄さん!、困ったことがあったら相談してね!

 ラーズがお兄さんが会計をしている中話しかけると、お兄さんは少し悲しそうにするが、まぁ当たり前のことか、と区切りをつけ、

八百屋のお兄さん)ほいよ、気をつけてくれよラーズ様。
 ラーズはおまけという感じで入れてもらった果物を見てニコッと笑顔で、

ラーズ)ありがとう、シュウさん。

 八百屋のお兄さんの名前で呼ぶと、シュウは少し顔を赤らめながらラーズを見送る。

シュウ)...可愛かったなぁ....

 ラーズが去ってから、叶わない恋を妄想するシュウであった。
 十数分経ち、ラーズが果物を持ってカナタの部屋のドアをノックすると、

カナタ)...

 無言が帰ってきた。
 ラーズは心配になり急いでドアを開けると、

カナタ)...zzz

 ただ寝ているだけであった。

ラーズ)はぁ〜...

 呆れた様にため息をつくラーズだが、カナタが無事でよかったという感情が心の中に溢れているのである。

ラーズ)果物買ってきたよ、カナタ。

 起きない様に、だけど聞こえる様にそう告げて果物カゴを机の上に置き、切る必要のあるものは切って皿に盛り付けておく。

ラーズ)....ちょっとくらいなら?//

 カナタをジーッと見つめるラーズ、その視線の先にあるのはカナタの"唇"である。

ラーズ)いやいやいやっ!、僕はユグドラシル家の娘!、こんな誘惑なんかには負け....

 そう言いつつも、段々とカナタの唇に自分の唇を近づけていく。
 そしてラーズは...
 それから十数分経っただろうか、カナタが目を覚ますと、

カナタ)ん?....お、お嬢様?!

 自分の胸に顔を埋めながら寝ているであろうラーズがいたのだった。
 その表情はどこか嬉しそうで、それでいて恥ずかしそうな。

カナタ)お嬢様...ん?、これは、?

 自分のベットの横に置いてある果物カゴと果物が切られた状態で置いてある皿、カナタは何かを察するとラーズを見て鼻から血が少し垂れて来る。

カナタ)お嬢様を起こすわけには!..

 鼻を手の甲で擦り、鼻血の跡を消す。
 そして、ラーズがピクピクと動く。

ラーズ)んゅ?...カ、カナタ?!、起きてたの?!

 カナタが横になりながら寝ている自分を見ていたのを驚くラーズ。

ラーズ)あ、いや、これはその!!

 カナタの胸を借りて寝ていたことを気づいたラーズがなんとか弁解しようとする。

カナタ)お嬢様、別に構いませんよ。それよりも、早くベットに行かないとですよ。

 ラーズはそうだった!、と思い出した様に、逃げる様に足早に部屋を出る。
 なんてったってラーズは明日から王都なのだから。
 カナタは王都ましてや、ラーズの学園に自分がついて行くという事をラーズは知らないんだろうなぁなんて考えながら眠りに耽った。
 ラーズは急いで部屋に帰り、すぐさま眠った。 

作者メッセージ

特に無し

2025/09/26 15:26

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