俺は、終わった。
ある夏の日に、今まで努力してきたのに、報われずに終わった。
もっと、生きていたかった。
目が覚めると、知らないところにいた。
あきらかに先ほどとは違った景色。全く見覚えのない景色だ。
目の前にはマリモのような謎の生物がいる。
その生物はいきなり話し始めた。
「だ、大丈夫、?」
少し透明感を帯びたその声は、まさに自分のタイプド直球。って、あれ?
自分?
さっきまで混乱していて気づかなかったけど、記憶が見事に飛んでいる。
名前も、年齢も、どんな場所に住んでいたかさえも、何もかもが分からない。
『ここはどこ?私は誰?』とはこれのことを指すのだと思った。
「おーい、聞こえてるー?」
マリモがそう言って顔を覗き込んでくるからびっくりして後ずさると、「大丈夫そうだね」と穏やかな声が聞こえた。
「俺は見た通りのマリモみたいなもんだ。君が知らない情報を多分なんでも知っている。しかも、なんにでもなれるんだよ!トリにも、ニンゲンにだって!!」
ぽかんとしている自分をよそに、マリモは話を続けた。
「一通り情報は渡してあげよう。君はひなた。佐伯ひなただ。14歳の男性だったものの、あることをきっかけに終わらせたんだ」
「終わらせたって、何を?」
「それは自分で考えて、思い出せ。そうしないと、現世には返してやれない。」
「…え?」
「ここは見た通りの天国さ。君は終わらせたからここに来た。もうこっちに来ないように修行させてから返してやるのがこっちの仕事だ」
全く理解できない文字の列。自分は意味が分からず、その場から駆け出した。