夢小説設定
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「●●くぅん、おっはよう!」
翌朝、教室のドアを開けた瞬間、甘ったるい香水の匂いと共にマイが滑り込んできた。その手には、可愛くラッピングされた小さな袋がある。
「これ、マイの手作りクッキーなのぉ。●●くんのために焼いてきたんだよ?」
周囲の男子からは「いいなー!」「俺も食いてぇ!」と声が上がる。マイは「あはは、あんたたちの分はこれね」と、市販のファミリーパックを雑に放り投げた。その格差に男子たちは苦笑いしつつも、やっぱりマイを甘やかしている。
●●は席に座り、カバンを机にかけながら淡々と答えた。
「悪い。朝飯食ってきたから、いらない」
「えぇ〜、そんなこと言わずに受け取ってよぉ。それとも……誰か他の女の子から貰う約束でもあるの?」
マイの目が、一瞬だけ鋭く光る。女子特有の鋭い勘。の心臓がわずかに跳ねたが、彼は表情を変えずに「別に」とだけ返した。
昼休み。●●は騒がしい食堂を避け、校舎裏のベンチで一人スマホを開いた。
お目当ては、もちろん◆◆からの返信だ。
昨日の夜、「今度、新しくできたハンバーガー屋に行ってみん?」と送ったメッセージ。
今朝見たら既読はついていた。だが、現在時刻は12時45分。返信はない。
「……またか」
溜息が漏れる。彼女にとって、●●からの連絡は「気が向いた時に見る掲示板」程度のものでしかないのかもしれない。そんな不安が頭をよぎる。
その時、背後から足音がした。
「やっぱりここにいたぁ! ●●くん、一人で何してるのぉ?」
マイだ。しつこく追いかけてきたらしい。彼女は●●の隣に無理やり座り込み、画面を覗き込もうと顔を近づけてくる。
「あ、スマホ見てる! もしかして、女子とLINEっ?」
「……関係ないだろ」
●●は素早く画面を伏せた。だが、マイの追及は止まらない。
「隠すと怪しいんだよぉ? ●●くんって、学校では全然女子と遊ばないでしょ? もしかして……他校に好きな子でもいるのかなぁ、なんて」
図星を突かれ、●●の指先がわずかに震える。マイはそれを見逃さず、ニタァと確信に満ちた笑みを浮かべた。
「ふぅん……。でも大丈夫、マイが●●くんを一番幸せにしてあげるからねぇ」
その宣言は、もはや告白というより宣戦布告に近かった。
その日の放課後。
ようやく◆◆から届いた返信は、●●の期待とは少しズレたものだった。
◆◆: 「あそこ、並ぶんでしょ? ●●人混み嫌いじゃん。やめとこうよ」
「……俺の心配かよ」
●●は思わず苦笑した。「だるい」のではなく、自分の性格を考えての提案。彼女はいつだってそうだ。甘い言葉なんて一つもないけれど、時折こうして、自分よりも自分のことを分かっているようなことを言ってくる。
●●: 「俺は◆◆と行けるならどこでもいいんだけど。じゃあ、家でゲームにする?」
◆◆: 「おk 新しいソフト買ったし。土曜、10時ね」
「よし……っ」
ガッツポーズをしかけて、●●は慌てて周囲を見渡した。危ない、学校での「クールな●●」が崩壊するところだった。
◆◆は恋愛に興味がない。きっと「デート」という意識も薄いだろう。それでも、自分を家に入れてくれる。その事実だけで、●●の心は簡単に満たされてしまうのだ。
だが、その喜びも束の間だった。
「土曜日ぃ、お出かけするんだぁ?」
背後から、ひんやりとした声が響く。
振り返ると、そこにはいつの間にか教室に戻ってきたマイが立っていた。彼女の目は笑っているが、瞳の奥は獲物を見つけた猛獣のように鋭い。
「誰とぉ? 10時って、結構早いねぇ」
「…ちょおま いつからいたん…?」
「●●くんがニヤニヤしながらスマホ見てる時からぁ」
マイはゆっくりと歩み寄り、●●の机に両手を突いた。
「ふぅん……家でゲーム、かぁ。女子の家かなぁ? それとも、●●くんの家? まさか、隠してる彼女さんとか……いないよねぇ?」
●●の心臓が激しく鐘を打つ。
学年一のモテ男が隠し通している「秘密事項」。そのほころびを、マイの爪が容赦なく引き裂こうとしていた。
翌朝、教室のドアを開けた瞬間、甘ったるい香水の匂いと共にマイが滑り込んできた。その手には、可愛くラッピングされた小さな袋がある。
「これ、マイの手作りクッキーなのぉ。●●くんのために焼いてきたんだよ?」
周囲の男子からは「いいなー!」「俺も食いてぇ!」と声が上がる。マイは「あはは、あんたたちの分はこれね」と、市販のファミリーパックを雑に放り投げた。その格差に男子たちは苦笑いしつつも、やっぱりマイを甘やかしている。
●●は席に座り、カバンを机にかけながら淡々と答えた。
「悪い。朝飯食ってきたから、いらない」
「えぇ〜、そんなこと言わずに受け取ってよぉ。それとも……誰か他の女の子から貰う約束でもあるの?」
マイの目が、一瞬だけ鋭く光る。女子特有の鋭い勘。の心臓がわずかに跳ねたが、彼は表情を変えずに「別に」とだけ返した。
昼休み。●●は騒がしい食堂を避け、校舎裏のベンチで一人スマホを開いた。
お目当ては、もちろん◆◆からの返信だ。
昨日の夜、「今度、新しくできたハンバーガー屋に行ってみん?」と送ったメッセージ。
今朝見たら既読はついていた。だが、現在時刻は12時45分。返信はない。
「……またか」
溜息が漏れる。彼女にとって、●●からの連絡は「気が向いた時に見る掲示板」程度のものでしかないのかもしれない。そんな不安が頭をよぎる。
その時、背後から足音がした。
「やっぱりここにいたぁ! ●●くん、一人で何してるのぉ?」
マイだ。しつこく追いかけてきたらしい。彼女は●●の隣に無理やり座り込み、画面を覗き込もうと顔を近づけてくる。
「あ、スマホ見てる! もしかして、女子とLINEっ?」
「……関係ないだろ」
●●は素早く画面を伏せた。だが、マイの追及は止まらない。
「隠すと怪しいんだよぉ? ●●くんって、学校では全然女子と遊ばないでしょ? もしかして……他校に好きな子でもいるのかなぁ、なんて」
図星を突かれ、●●の指先がわずかに震える。マイはそれを見逃さず、ニタァと確信に満ちた笑みを浮かべた。
「ふぅん……。でも大丈夫、マイが●●くんを一番幸せにしてあげるからねぇ」
その宣言は、もはや告白というより宣戦布告に近かった。
その日の放課後。
ようやく◆◆から届いた返信は、●●の期待とは少しズレたものだった。
◆◆: 「あそこ、並ぶんでしょ? ●●人混み嫌いじゃん。やめとこうよ」
「……俺の心配かよ」
●●は思わず苦笑した。「だるい」のではなく、自分の性格を考えての提案。彼女はいつだってそうだ。甘い言葉なんて一つもないけれど、時折こうして、自分よりも自分のことを分かっているようなことを言ってくる。
●●: 「俺は◆◆と行けるならどこでもいいんだけど。じゃあ、家でゲームにする?」
◆◆: 「おk 新しいソフト買ったし。土曜、10時ね」
「よし……っ」
ガッツポーズをしかけて、●●は慌てて周囲を見渡した。危ない、学校での「クールな●●」が崩壊するところだった。
◆◆は恋愛に興味がない。きっと「デート」という意識も薄いだろう。それでも、自分を家に入れてくれる。その事実だけで、●●の心は簡単に満たされてしまうのだ。
だが、その喜びも束の間だった。
「土曜日ぃ、お出かけするんだぁ?」
背後から、ひんやりとした声が響く。
振り返ると、そこにはいつの間にか教室に戻ってきたマイが立っていた。彼女の目は笑っているが、瞳の奥は獲物を見つけた猛獣のように鋭い。
「誰とぉ? 10時って、結構早いねぇ」
「…ちょおま いつからいたん…?」
「●●くんがニヤニヤしながらスマホ見てる時からぁ」
マイはゆっくりと歩み寄り、●●の机に両手を突いた。
「ふぅん……家でゲーム、かぁ。女子の家かなぁ? それとも、●●くんの家? まさか、隠してる彼女さんとか……いないよねぇ?」
●●の心臓が激しく鐘を打つ。
学年一のモテ男が隠し通している「秘密事項」。そのほころびを、マイの爪が容赦なく引き裂こうとしていた。