文字サイズ変更

星稜中学の秘密事項

#7

不敵に笑う

転校して数日。体育の授業で行われた50メートル走が、この学校のスクールカーストを激しく揺さぶることになった。


「リリ、いきまーすっ!」
クラスのリーダー格、リリが男子たちの声援を浴びてスタートラインに立つ。結果は7秒86。
「すごぉい!」「女子で7秒台は速いよ!」と男子たちが群がる中、リリは「えぇ〜、恥ずかしいよぉ」と、●●を意識して上目遣いで微笑んだ。
しかし、その次に走った●●が、すべてを過去のものにする。
「位置について、よーい……」
パンッ! と乾いた音が響いた瞬間、●●の体は弾丸と化した。
地面を叩く凄まじい脚力。風を切り裂き、光のような速さでゴールを駆け抜ける。
掲示板に表示されたタイムは、驚愕の6秒36。
「ろ、6秒36……!? マジかよ、歴代記録更新だろ!」
「星稜の王子、運動能力まで規格外かよ……!」
ざわめきが止まらない中、リリは「●●くん、すごぉい! 走り方、付きっきりで教えてぇ?」と猛アピール。だが、●●の視線は次のグループ……スタートラインに立つ◆◆に釘付けだった。
◆◆は、普通の体操服を着て、長い髪を一つに結んでいる。どこにでもいる「地味な女子」として振る舞い、周囲の視線を避けるように立っていた。
「ねぇ、雑魚さぁん?wそんなに暗い顔してたら、走る前に転んじゃいそうだよぉ?」
リリと取り巻きの「いじりグループ」が、クスクスと笑い声を上げる。
◆◆は、前髪の奥で冷たくリリを見据えた。
(……6秒36。●●、また速くなったね)
「位置について、よーい……ドン!」
◆◆は予告通り、力を完全に封印して走り出した。わざと不格好なフォームで、足をもつれさせる。結果は11秒02。
「wまってw見たぁ? あの走り方、運動音痴にも程があるんだけどぉ!」
リリが、手を叩いて笑う。
「地味な上に、走る姿も無様だなぁ〜。ねぇ、●●くんっ あんな子と一緒にいたら、●●くんの価値まで下がっちゃうよぉ?」
聞こえるように煽るリリ。周囲の男子も「あいつ、やる気あんのかよ」と同調して笑う。
「おい、お前ら……」
◆◆がキレそうになった瞬間、隣にいたマイが割って入った。
「あんたたちぃ、失礼でしょぉ! マイの友達をバカにするのは、このマイが許さないんだからねっ!」
だが、当の◆◆は膝についた砂をゆっくりと払うと、リリの言葉を無視して、裏がありそうな微笑みで彼女を見つめた。
「な、なによ……! 負け惜しみなら、言葉で言いなさいよぉ!」
リリの声を背に、◆◆は悠然と歩き出す。
その歩き姿は、先ほどの不格好な走りとは正反対だった。
「(あ……これ、◆◆がマジになった時の目だ。お前ら、次の大会で何が起きるか、今のうちに想像しとけよ……)」
●●は一人、これから起こる「大逆転劇」を予感して、武者震いをしていた。

2026/02/06 14:20

♠︎ᴋᴏɴ_ʀᴜɪ
ID:≫ 23XRflSVxwdCU
コメント

この小説につけられたタグ

NL#恋愛#学園

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は♠︎ᴋᴏɴ_ʀᴜɪさんに帰属します

TOP