セキエイ学園。
カントーにある全寮制の教育機関。
地理的には私の出身地であるパルデア地方からかなり遠い。
それでもここを選んだ理由は両親が以前、この学校に通っていたことと、あともう一つ。
カントー地方、および周辺地域に伝わる“ひでんわざ”を学びに来た。
もちろん、私自身が習得するためである。
船も通れない海路のあるグレンタウン、盗難被害にあった家屋を通り抜けなければいけないハナダシティ。精神的にも肉体的にもあらゆる場面で試される。
この特殊な環境があのレジェンドを強くさせたのだろう。
他にも整備が進んでいない田舎ではポケモンの力を借りて生活しなければならないので、人間とポケモンの距離が近く、ポケモンが人間の技を、人間がポケモンの技を覚えるらしいのだ。是非とも私はカイリキを習得したいところだ。
と、言うわけでどの辺でひでんわざを習得できるか、カントー地方出身で同室のアンに聞いた。
「知らない……何それ。怖…」
知らないらしい。
303号室で同室になったアンは、明るく豪快なタイプでカントー地方出身なのでこの辺の地理には詳しいかと思ったけど、残念だ……。
ガセではないと思うけど、アンも知らないとなると手掛かりは最初から探さないといけなくなるな。
図書館、空いてるかなぁ?と、時計を見た時だ。
トランクを広げるていたアンが、思いついたように声を上げた。
「でもうちのじぃちゃん、薪とか素手で切ってたな……もしかしてこれ?」
「えっ、まさかアンのお祖父様って“いあいぎり”できるの!?」
「それそれ!そんな事言ってた!確か、なんかの客船で働いてた頃に船長に教えて貰ったって言ってた!」
めっちゃそれ!!!
その後、アンのお祖父様が働いていた船はサントアンヌ号だと分かり、ついでにお祖父様の出身地もマサラタウンだと判明した。
今度の長期休暇はマサラタウンに行くことが決まった。まぁ、入学式すらまだなんですがね……。
「そういえばリコって、パルデア地方出身だったよね。ね、パルデア地方っていいとこ?」
「あぁー……、うん。まぁいいところだよ」
いや、パルデア地方自体はいいところなんだけど、そこの住む人達が……いや、いい人には間違いないんだけど!
根は間違いなくいいんだけど、バトルジャンキーすぎて語尾に「♤」とか「♢」とか「♧」とか付き出しそうな美少女チャンピオンとか、パルデアの未来を考えてリーグをもっと盛んにさせようとする腹黒系美女のチャンピオンとかが脳裏に過ぎる。
特に後半の美女さんは契約したら最後、首輪をつけられて仕事を割り振られるから……。
私の進学の話が出た時も学校に行くならぜひオレンジアカデミーへっと、首根っこを掴まれて放り込まれそうになったしね。ギリギリのところでこっちに来たけど。
「自然も多いし、かわいいポケモンもいるし。私は好きだよ」
「かわいいポケモンって、パモとか? リコは見たことある?」
「あるよ。野生の子はすぐ逃げちゃうから、トレーナーさんの子だけど」
可愛い鳴き声の割にはかなりすばしっこい子で、パワー重視のキテルグマの攻撃が当たらなかったのは苦い思い出だ。
その時の写真をロトムスマホで見せれば、アンは羨ましそうに呟いた。
「いいなぁ〜。私、カントー地方の外に行ったことないんだよね」
「そうなんだ。なんか、意外だね」
「そう?」
「アンって豪快っていうか、行動力があるタイプでしょ?だから、びゅーんっとジョウトぐらいは言ってると思ってた」
「あっははは、ジョウトぐらいって行き過ぎでしょ」
散らかったベッドの上でひとしきり笑った後、アンは起き上がってぐいっと私の顔を近づけた。
「リコはいろんな地方行ったんだよね?」
「いろんな……って、ほどでもないかな。でもまぁ、それなりに」
「ならさ、もっと話聞かせてよ!」
「もちろん」
それはもう喜んで。
でもまぁ、旅のほとんどは「私のポケモンたちって可愛いよね」に落ち着くから、あんまり聞かせて面白いものでもないなぁ。
旅の話は出会った人とか、豆知識とか雑学の方が楽しいかも。
あ、あと美味しい料理。
すっかり頬杖をついて、聞く体制に入ったアンに苦笑いしながら、トランクを開けた。
さぁ、荷物と一緒に思い出も開けようか。
カントーにある全寮制の教育機関。
地理的には私の出身地であるパルデア地方からかなり遠い。
それでもここを選んだ理由は両親が以前、この学校に通っていたことと、あともう一つ。
カントー地方、および周辺地域に伝わる“ひでんわざ”を学びに来た。
もちろん、私自身が習得するためである。
船も通れない海路のあるグレンタウン、盗難被害にあった家屋を通り抜けなければいけないハナダシティ。精神的にも肉体的にもあらゆる場面で試される。
この特殊な環境があのレジェンドを強くさせたのだろう。
他にも整備が進んでいない田舎ではポケモンの力を借りて生活しなければならないので、人間とポケモンの距離が近く、ポケモンが人間の技を、人間がポケモンの技を覚えるらしいのだ。是非とも私はカイリキを習得したいところだ。
と、言うわけでどの辺でひでんわざを習得できるか、カントー地方出身で同室のアンに聞いた。
「知らない……何それ。怖…」
知らないらしい。
303号室で同室になったアンは、明るく豪快なタイプでカントー地方出身なのでこの辺の地理には詳しいかと思ったけど、残念だ……。
ガセではないと思うけど、アンも知らないとなると手掛かりは最初から探さないといけなくなるな。
図書館、空いてるかなぁ?と、時計を見た時だ。
トランクを広げるていたアンが、思いついたように声を上げた。
「でもうちのじぃちゃん、薪とか素手で切ってたな……もしかしてこれ?」
「えっ、まさかアンのお祖父様って“いあいぎり”できるの!?」
「それそれ!そんな事言ってた!確か、なんかの客船で働いてた頃に船長に教えて貰ったって言ってた!」
めっちゃそれ!!!
その後、アンのお祖父様が働いていた船はサントアンヌ号だと分かり、ついでにお祖父様の出身地もマサラタウンだと判明した。
今度の長期休暇はマサラタウンに行くことが決まった。まぁ、入学式すらまだなんですがね……。
「そういえばリコって、パルデア地方出身だったよね。ね、パルデア地方っていいとこ?」
「あぁー……、うん。まぁいいところだよ」
いや、パルデア地方自体はいいところなんだけど、そこの住む人達が……いや、いい人には間違いないんだけど!
根は間違いなくいいんだけど、バトルジャンキーすぎて語尾に「♤」とか「♢」とか「♧」とか付き出しそうな美少女チャンピオンとか、パルデアの未来を考えてリーグをもっと盛んにさせようとする腹黒系美女のチャンピオンとかが脳裏に過ぎる。
特に後半の美女さんは契約したら最後、首輪をつけられて仕事を割り振られるから……。
私の進学の話が出た時も学校に行くならぜひオレンジアカデミーへっと、首根っこを掴まれて放り込まれそうになったしね。ギリギリのところでこっちに来たけど。
「自然も多いし、かわいいポケモンもいるし。私は好きだよ」
「かわいいポケモンって、パモとか? リコは見たことある?」
「あるよ。野生の子はすぐ逃げちゃうから、トレーナーさんの子だけど」
可愛い鳴き声の割にはかなりすばしっこい子で、パワー重視のキテルグマの攻撃が当たらなかったのは苦い思い出だ。
その時の写真をロトムスマホで見せれば、アンは羨ましそうに呟いた。
「いいなぁ〜。私、カントー地方の外に行ったことないんだよね」
「そうなんだ。なんか、意外だね」
「そう?」
「アンって豪快っていうか、行動力があるタイプでしょ?だから、びゅーんっとジョウトぐらいは言ってると思ってた」
「あっははは、ジョウトぐらいって行き過ぎでしょ」
散らかったベッドの上でひとしきり笑った後、アンは起き上がってぐいっと私の顔を近づけた。
「リコはいろんな地方行ったんだよね?」
「いろんな……って、ほどでもないかな。でもまぁ、それなりに」
「ならさ、もっと話聞かせてよ!」
「もちろん」
それはもう喜んで。
でもまぁ、旅のほとんどは「私のポケモンたちって可愛いよね」に落ち着くから、あんまり聞かせて面白いものでもないなぁ。
旅の話は出会った人とか、豆知識とか雑学の方が楽しいかも。
あ、あと美味しい料理。
すっかり頬杖をついて、聞く体制に入ったアンに苦笑いしながら、トランクを開けた。
さぁ、荷物と一緒に思い出も開けようか。