のどかな風と草の匂い。
自然が近いという条件は一緒なのに、パルデア地方とはまた違った感触に、なんだか胸が躍る。
これが旅ならその辺の森に入ってポケモンと触れ合ったり、観光なんかしたいのだけど、あいにく今回の遠出は勉強のためなので時間は厳守だ。
「スバァ」
「どうしたの?」
こっそりとポケモンボールから外に出していたオオスバメが木の上から声を掛けて来た。
多分、もう少し外を見て回りたいから自由時間の延長を申し出たんだろう。残念ながら、もうすぐ学校へ向かうバスが来るのでそれは難しい。
「スバッスバァァスバ」
「んー、そう言われてもなぁ。学園に入る時はボールに入る決まりだから、それは難しいかなぁ」
いくらポケモンとの距離が近いカントーの学校だからと言って、手持ちポケモンを自由にさせれるほど規律が緩いわけじゃない。
ポケモンを学校内に連れ込むなら、しっか躾けられているかもチェックが入る。
うちの子は比較的賢くおとなしいので迷惑を掛けない限りは放任なのだが、学校生活となると話は違ってくるのでストレス完全フリーは難しいだろう。
毎度毎度、迷惑をかけるトレーナーで申し訳ないが、オオスバメとの円満な生活のためにもこればっかりは仕方がない。
「スバァ…」
「ごめんね、今日のおやつはヨロギのみにするから」
約束ね!と、いう顔をするかわい子ちゃんに謝りながら、ボールを開いて中に入ってもらった。
そのボールをショルダーバッグの中に入れるついでにもう一人の子をボール越しに撫でた。
今、私の手持ちはオオスバメの他に五匹いる。
他の子もオオスバメと同じく、出身地であるパルデアで出会った子なのだが、うち数名は元野生とは思えないほどのんびりで、よく寝る子。
まぁ寝る子は育つって言うし、トレーナー的にものんびりしてもらえたら、それでいいです。
そうこうしているうちに22番道路のバス停につき、コラッタと戯れていれば学校行きのバスが止まった。
キャリーケースを持ってもらったワンリキーにお礼を言いつつ、学園に向かうバスに乗り込む。ここのバス停から乗り込む新入生は私だけで、他の人たちは在校生だったみたいだ。
まぁ、特に話しかける用事も何もないので、窓の外の景色を眺める。
かのレジェンドが生まれた地で、私は何を見て、何を学ぶのか。
ドキドキと期待感が胸を締めつけた。
___いやー、まさかカントーすら飛び出して冒険する羽目になるとは思って無かったんだけど。