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かぐや姫は絶対に返しません!

#15

かぐや姫のプロローグ

「かぐや姫様、帝がいらっしゃいました」
「放っておきなさい」
「ですが」
「仕方ありません、会うだけ会います」
 ため息を付く。最近帝がうるさい。迷惑だ。
「かぐや姫」
「何ですか、さっさと要件を言ってください」
「宮中に来て働かぬか?」
 またか、しつこいな。このやり取りは何度目だろう。
「無理です。私は竹取家当主。この竹取家をおいて働くことなどできません。お引き取りください」
 右手を上げて指示を出す。いつもどうり帝はむりやり退出させられる。これでいい。私は今、老齢の二人に代わってこの竹取家を切り盛りしている。だから、どこかについて働くことなど論外だ。ひれ伏すことなんてもってのほか。
「富士に行きます」
「今、なんと?」
「富士に行く準備を始めてください。今すぐに」
 私は遠くにあるであろう富士を思う。まだ見ぬ富士。この地で最も高い山ともいわれる富士。桜子はエベレストだって言ってたけど。
 私は今の状況と思いを綴る。
「また、会えるかな」
 会えないことはわかっている。でも、いつか。
「姫様。準備が整いました」
 富士へ。出発した。今まで出会ってきたどんなもの、どんな場所よりも遠くへ。
 
「姫様、もうじきつきます」
 何日も移動し続けた。桜子に当てた文を眺めながらずっと揺られていた。
 御簾を上げて風景を見る。富士が見える。大きく壮大だ。私達人間の何倍もの月日を存在し続けた富士。
 その山腹まで登る。少しでも桜子に思いが伝わりやすい場所が良かった。伝わらないことは知っている。でも。
「火を炊いて」
 焚き火が起こる。少しずつ大きくなっていく。温かな光に見入った。
 文を開く。宛名は鳥羽桜子。何かが違う。当てるべき名は、これじゃない。
「筆をください」
 炭に浸す。筆を整える。
 宛名の鳥羽桜子を一本線で消す。
「竹月桜」
 その横に親友の名を綴る。
「竹月桜」
 もう一度呟く。
 文を火にくべる。煙が空へと舞い上がる。未来で確かに生きている、親友へ。
「ありがとう」
 私は振り向き、山を下り始める。振り返らない。振り返ったら、もう、帰れなくなってしまう。それだけに苦しくなってしまう。
 それは、私の親友は望んでいない。
 涙で陽の光がよりいっそう輝く。

「ありがとう」
 

作者メッセージ

完結にしてたのに二回目出しちゃいました

ほんとにほんとに今度こそ完結です!

2026/03/15 12:59

美鳥
ID:≫ 28NihWQevjlUw
コメント

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転生転移無双?時代

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