唇を噛んだ。
すごく、こわい。
でも、いかなきゃ。
僕は一歩、踏み出した。
その瞬間、誰かにぶつかった。
「うわっ」
見上げると、大人の人だった。
「……君、子供?」
「あ、えっと……」
声がうまく出ない。
どうしよう。
目を瞑ってしまった。
だめだ。泣いちゃだめだ。
でも、勝手に涙が出てくる。
「親、いないの?」
その人はしゃがんで、僕と目を合わせた。
こわい目じゃなかった。
「……いないなら、一旦この街に入っていいよ。身分証も、お金も、なさそうだしな」
優しい声だった。
僕は慌てて涙を袖でぬぐった。
ばれないように、左目を前髪で隠したまま。
こくん、と小さくうなずく。
そして――
街に、一歩、踏み入れた。
石畳の感触が、足裏に伝わる。
人の声。
パンの匂い。
笑い声。
……あったかい。
でも。
その瞬間。
遠く、ずっと遠くの国で。
魔力を測る器が、わずかに揺れた。
小さく、ほんの小さく。
それでも確かに。
あの国は、気づいていた。
王冠が、街に入ったことを。
すごく、こわい。
でも、いかなきゃ。
僕は一歩、踏み出した。
その瞬間、誰かにぶつかった。
「うわっ」
見上げると、大人の人だった。
「……君、子供?」
「あ、えっと……」
声がうまく出ない。
どうしよう。
目を瞑ってしまった。
だめだ。泣いちゃだめだ。
でも、勝手に涙が出てくる。
「親、いないの?」
その人はしゃがんで、僕と目を合わせた。
こわい目じゃなかった。
「……いないなら、一旦この街に入っていいよ。身分証も、お金も、なさそうだしな」
優しい声だった。
僕は慌てて涙を袖でぬぐった。
ばれないように、左目を前髪で隠したまま。
こくん、と小さくうなずく。
そして――
街に、一歩、踏み入れた。
石畳の感触が、足裏に伝わる。
人の声。
パンの匂い。
笑い声。
……あったかい。
でも。
その瞬間。
遠く、ずっと遠くの国で。
魔力を測る器が、わずかに揺れた。
小さく、ほんの小さく。
それでも確かに。
あの国は、気づいていた。
王冠が、街に入ったことを。