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作者であるすいの恋愛経験がほぼ0なので、解像度がモザイクくらい低いかもしれません。
それでも読んでいただける方はどうぞ。
アニメや絵で見るような非現実的な茜色の空ではないものの、まだ昼間の勢いを残したこの空は綺麗だ。
俺、[漢字]宮沢 翔太[/漢字][ふりがな]みやざわ しょうた[/ふりがな]は、家へ向かう足をなんとなく早めた。
部活も何もない生徒の大体は家に帰っているが、学校で自習をしたいということであれば最終下校時刻まではいることができる。許可も必要ない。
校則違反の証が空いている、自分の耳を触る。
だが、自分にはざらざらしたテープの感触しか感じられなかった。
この時間に俺が歩いているのは、校則違反であるピアスホールのせいかおかげかクラスメイトの春日亜弥──彼女も染髪という校則違反を犯している──に勉強を教えることになっていたからだ。彼女は勉強ができない。才能がない。
忘却力にステータスを全振りしているような脳内の持ち主だ。競技かるたの選手にでもなったらどうだと思ったが、記憶力がほぼ皆無なので無理であろう。
翔太「……おかげ?」
ボソリと口から出た言葉に、今感じていた心の突っかかりの正体を理解した。
どうして俺は、春日さんに教えることを嬉しいことのように思ったのか?
ピアスホールをバラされないための交換条件だったはず。あんなことがなければ、教えようとも思わなかった……はず。
そもそも、今日春日さんを見て、どう思った?
どうして、風邪を引いた時の彼女と今日の彼女を比べた?
自問自答を繰り返しても、同じところをぐるぐる回っていくだけで正解は出ない。
うんうん唸っていると、後ろから誰かがかけてくる音が聞こえた。
「おい、翔太!」
翔太「匠?お前、部活は?」
「今、最終下校時刻だろ!真っ先に抜けてきた。」
日焼けした肌に白い歯だけ浮いて見えるような笑顔を見せる彼は、[漢字]田中 匠[/漢字][ふりがな]たなか たくみ[/ふりがな]。
名前のことを少年漫画の隅っこにいるクラスメイトっぽいとぼやいているが、容姿は爽やかさを感じるスポーツマンだ。ちなみに結構モテる。
匠「お前がこの時間までいんの、珍しーな。どうした?」
翔太「まぁ、ちょっと勉強教えてて…」
言ってしまって、すぐに『やらかした』と思った。
勉強を教える、それも女子にだ。きっかけについて聞かれると、ややこしいことになる。
匠「いやぁ、珍しいなぁ。明日槍でも降るかも。俺にも教えてくれないのに……誰に教えてんの?」
翔太「教えねー」
匠「……その反応は女子だな、お前ぇ!」
彼はこういうところは鋭い。
女子だからといってなんだというのだ。これはピアスホールを隠すための取引です、だなんて言えるはずがないだろう。
比較的仲がいい匠にも、俺のピアスのことは共有していない。
理由は、彼は結構口が軽いからだ。仲間も多く、先生とも仲がいい。秘密を打ち明けるにはちょっと厳しいと思う。
匠「いやー……本当に、槍が降るかも。お前にもついに、春がきたかー…」
翔太「そういうんじゃないんだが…」
哀愁漂わせる雰囲気で匠は言うが、全然そういうことではない。
今日春日さんと話した時だって、いつでも寝ている彼女に呆れたばかりだ。
授業中、ふと隣を見れば机に伏せて大爆睡。スゥ、スゥとこちらが眠くなるような規則正しい寝息を立て、時々起きては組んだ腕から目だけ出して黒板を見ていた。
風邪を引いていた時の彼女は、今日に比べて素直で棘がなかった。
テンションが急激に高まったからなのか、いつも少しだけ大人びて見える彼女が少し幼く見えた。
今日は通常運転に戻っており授業中は横からだけしか見れなかった目だけを出す姿勢、あれを正面から見た。
じぃっと、こちらを見ては逸らし、見てはそらしと変わった挙動をしていた。
少しだけ、興味が湧いたような──
匠「え!?大丈夫か!?」
気がつけば、自分の頬をぶん殴っていた。
いや、おかしいだろ俺。きっと疲れてるんだ。今日は帰って早く寝よう。
ヒリヒリ痛む頬を押さえながら、困惑している匠を置いてスタスタ歩き出した。
慌てて追いかける匠を一瞥し、少しスピードを緩める。
駅までの道のりは、あっという間に終わってしまった。
俺、[漢字]宮沢 翔太[/漢字][ふりがな]みやざわ しょうた[/ふりがな]は、家へ向かう足をなんとなく早めた。
部活も何もない生徒の大体は家に帰っているが、学校で自習をしたいということであれば最終下校時刻まではいることができる。許可も必要ない。
校則違反の証が空いている、自分の耳を触る。
だが、自分にはざらざらしたテープの感触しか感じられなかった。
この時間に俺が歩いているのは、校則違反であるピアスホールのせいかおかげかクラスメイトの春日亜弥──彼女も染髪という校則違反を犯している──に勉強を教えることになっていたからだ。彼女は勉強ができない。才能がない。
忘却力にステータスを全振りしているような脳内の持ち主だ。競技かるたの選手にでもなったらどうだと思ったが、記憶力がほぼ皆無なので無理であろう。
翔太「……おかげ?」
ボソリと口から出た言葉に、今感じていた心の突っかかりの正体を理解した。
どうして俺は、春日さんに教えることを嬉しいことのように思ったのか?
ピアスホールをバラされないための交換条件だったはず。あんなことがなければ、教えようとも思わなかった……はず。
そもそも、今日春日さんを見て、どう思った?
どうして、風邪を引いた時の彼女と今日の彼女を比べた?
自問自答を繰り返しても、同じところをぐるぐる回っていくだけで正解は出ない。
うんうん唸っていると、後ろから誰かがかけてくる音が聞こえた。
「おい、翔太!」
翔太「匠?お前、部活は?」
「今、最終下校時刻だろ!真っ先に抜けてきた。」
日焼けした肌に白い歯だけ浮いて見えるような笑顔を見せる彼は、[漢字]田中 匠[/漢字][ふりがな]たなか たくみ[/ふりがな]。
名前のことを少年漫画の隅っこにいるクラスメイトっぽいとぼやいているが、容姿は爽やかさを感じるスポーツマンだ。ちなみに結構モテる。
匠「お前がこの時間までいんの、珍しーな。どうした?」
翔太「まぁ、ちょっと勉強教えてて…」
言ってしまって、すぐに『やらかした』と思った。
勉強を教える、それも女子にだ。きっかけについて聞かれると、ややこしいことになる。
匠「いやぁ、珍しいなぁ。明日槍でも降るかも。俺にも教えてくれないのに……誰に教えてんの?」
翔太「教えねー」
匠「……その反応は女子だな、お前ぇ!」
彼はこういうところは鋭い。
女子だからといってなんだというのだ。これはピアスホールを隠すための取引です、だなんて言えるはずがないだろう。
比較的仲がいい匠にも、俺のピアスのことは共有していない。
理由は、彼は結構口が軽いからだ。仲間も多く、先生とも仲がいい。秘密を打ち明けるにはちょっと厳しいと思う。
匠「いやー……本当に、槍が降るかも。お前にもついに、春がきたかー…」
翔太「そういうんじゃないんだが…」
哀愁漂わせる雰囲気で匠は言うが、全然そういうことではない。
今日春日さんと話した時だって、いつでも寝ている彼女に呆れたばかりだ。
授業中、ふと隣を見れば机に伏せて大爆睡。スゥ、スゥとこちらが眠くなるような規則正しい寝息を立て、時々起きては組んだ腕から目だけ出して黒板を見ていた。
風邪を引いていた時の彼女は、今日に比べて素直で棘がなかった。
テンションが急激に高まったからなのか、いつも少しだけ大人びて見える彼女が少し幼く見えた。
今日は通常運転に戻っており授業中は横からだけしか見れなかった目だけを出す姿勢、あれを正面から見た。
じぃっと、こちらを見ては逸らし、見てはそらしと変わった挙動をしていた。
少しだけ、興味が湧いたような──
匠「え!?大丈夫か!?」
気がつけば、自分の頬をぶん殴っていた。
いや、おかしいだろ俺。きっと疲れてるんだ。今日は帰って早く寝よう。
ヒリヒリ痛む頬を押さえながら、困惑している匠を置いてスタスタ歩き出した。
慌てて追いかける匠を一瞥し、少しスピードを緩める。
駅までの道のりは、あっという間に終わってしまった。