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男性目線のラブコメになります。
初めてなんで下手かもです…
晶「ふぅ…」
改札から降りた晶の目の前に広がっていたのは、碧い空でも太陽をいっぱいに吸い込んだ葉でもなく、人だった。
人、人、人、ビル。
きょろきょろと不自然に目を動かし、猫背でマスクとフードの完全装備で街中を出歩く姿は、意外にも目立たない。
周りを見ると厚化粧のおばさんから全身真っ黒の出会い厨まで様々だ。
人を潜り抜け、ついた先は晶が見ているアニメのコラボカフェだった。
そう、晶が命を冒してまでここにきた理由はこれだ。
晶「ついたぁ…」
予約席は相席になるとのことで、少し待つことにした。
グッズ売り場は、人で溢れていた。
自分の好きなキャラを探し、グッズを眺める。
お財布と要相談な値段だが、晶は構わずに手に取っていく。
店内を回っていると、可愛らしいアクリルキーホルダーを見つけた。
自分の推しが印刷されているのを見て、欲しい衝動に駆られる。
手を伸ばすと、近くにいた男性客と狙っていた商品が被った。
『あ』
気まずさに手を引っ込めると、相手も手を引っ込めた。
晶「ど、どうぞ…すみません…」
「あ、いえ…」
お互いにしどろもどろになっていると、相手のボソボソとした声が聞き覚えのあるものだと気がついた。
少し黒っぽいストレートなウルフカットに目鼻立ちの整った顔。
間違いない。坂上瑛太だ。
瑛太「って…い、井上晶⁉︎」
晶「キノセイジャナイデショウカ」
なぜフルネームなのかツッコミたいが、それより今はこの気まずさをなんとかするしかない。
瑠衣だったらなんともないかもしれないが、カースト下位の自分にとっては陽キャと同じ空気を吸うことさえ憚られるのだ。
晶「ソレデハシツレイシマス」
瑛太「待って…」
立ち去ろうとすると、瑛太に肩を掴まれた。
瑛太「井上晶だよな?お願いだから誰にも俺がここにいることは言わないでくれ…」
晶「はい?」
想像もしていなかったことを言われ、間抜けな声が出る。
ただ、彼は必死だった。
瑛太「…俺、垢抜けてみたはいいもの、の陽キャに混じれなくて…アニメグッズ買ってるのバレたらさらにハブられるっ…」
晶「大丈夫ですよ…口止めなんかしなくても言う相手いませんから…」
瑛太「…いるだろ、尾上瑠衣とか…」
その名前を聞いた瞬間、心臓がちくりとした。
晶「あの人は勝手に絡んでくるだけなので大丈夫です、失礼します」
ひたすらドライに言い放ち、場所を離れる。
ちょうど席が空いたので、そこに座る。
メニューを注文し、相席の人と気まずくならないよう祈りながら、提供されるのを待った。