私の名前は一条玲花。
学校の文化祭が終わって3日が経過している、そんな日の登校中。
「一条さん!」
遠くから男の子が走ってくる。伊藤理玖くんだ。
「伊藤くん!おはよう!」
伊藤くんと私は、いちじょうといとうだから出席番号が5番と6番で、文化祭の準備班が同じになった。
それ以降、仲良くしている。
「今日は寒いね。うっかり半袖で来ちゃった」
足の速い伊藤くんは30m以上あった距離を数秒の間につめ、私の隣にきて、とりとめのない話をする。
「え〜、大変だね。上着とかないの?」
「ないんだ。お母さんの言うとおりカーディガン持ってけばよかった…」
「あはは」
笑ったあと、少しだけ沈黙が落ちた。
文化祭の準備期間中なら、この沈黙もすぐに誰かが埋めていたはずなのに。
「……文化祭、終わっちゃったね」
伊藤くんが前を向いたまま言う。
その声は、どこか他人事みたいだった。
「うん。あっという間だった」
毎日遅くまで残って、看板を作ったり、クラスの出し物の相談をしたり。
気づけば隣にいるのが当たり前になっていた。
「準備してたときさ、一条さん、ずっと忙しそうだったよね」
「伊藤くんもでしょ。力仕事全部引き受けてたし」
「まあ、そうだけど」
そう言って笑う横顔を見て、胸の奥が少しだけきゅっとなる。
文化祭が終わってから、こうして一緒に登校するのは久しぶりだった。
校門が見えてきて、自然と足がゆっくりになる。
「……またさ」
伊藤くんが、少し迷ったように言葉を探す。
「来年も、同じ班になれたらいいね」
その言葉に、私は一瞬返事を忘れた。
「うん。なれたらいいね」
そう答えると、伊藤くんは「そっか」と小さく笑った。
校舎に入る直前、彼は手を振って先に行く。
私はその背中を見送りながら、文化祭の後夜祭の片付けで、
二人で並んでいたときのことを思い出していた。
あのとき言えなかった言葉は、
まだ胸の中に、そのまま残っている。
___文化祭は終わった。
でも、この気持ちは、まだ片付けられていない。
学校の文化祭が終わって3日が経過している、そんな日の登校中。
「一条さん!」
遠くから男の子が走ってくる。伊藤理玖くんだ。
「伊藤くん!おはよう!」
伊藤くんと私は、いちじょうといとうだから出席番号が5番と6番で、文化祭の準備班が同じになった。
それ以降、仲良くしている。
「今日は寒いね。うっかり半袖で来ちゃった」
足の速い伊藤くんは30m以上あった距離を数秒の間につめ、私の隣にきて、とりとめのない話をする。
「え〜、大変だね。上着とかないの?」
「ないんだ。お母さんの言うとおりカーディガン持ってけばよかった…」
「あはは」
笑ったあと、少しだけ沈黙が落ちた。
文化祭の準備期間中なら、この沈黙もすぐに誰かが埋めていたはずなのに。
「……文化祭、終わっちゃったね」
伊藤くんが前を向いたまま言う。
その声は、どこか他人事みたいだった。
「うん。あっという間だった」
毎日遅くまで残って、看板を作ったり、クラスの出し物の相談をしたり。
気づけば隣にいるのが当たり前になっていた。
「準備してたときさ、一条さん、ずっと忙しそうだったよね」
「伊藤くんもでしょ。力仕事全部引き受けてたし」
「まあ、そうだけど」
そう言って笑う横顔を見て、胸の奥が少しだけきゅっとなる。
文化祭が終わってから、こうして一緒に登校するのは久しぶりだった。
校門が見えてきて、自然と足がゆっくりになる。
「……またさ」
伊藤くんが、少し迷ったように言葉を探す。
「来年も、同じ班になれたらいいね」
その言葉に、私は一瞬返事を忘れた。
「うん。なれたらいいね」
そう答えると、伊藤くんは「そっか」と小さく笑った。
校舎に入る直前、彼は手を振って先に行く。
私はその背中を見送りながら、文化祭の後夜祭の片付けで、
二人で並んでいたときのことを思い出していた。
あのとき言えなかった言葉は、
まだ胸の中に、そのまま残っている。
___文化祭は終わった。
でも、この気持ちは、まだ片付けられていない。