封印の洞窟を後にした佐藤匠人、リムル、そして人の姿を得たヴェルドラの一行が足を踏み入れたのは、鬱蒼と魔素が立ち込めるジュラの森だった。
「クハハハ! 外の空気は実に美味い! 佐藤よ、この世界の魔素の密度、なかなかどうして我がいた頃より薄まっておるではないか!」
ヴェルドラが金髪をなびかせ、シャドーボクシングをしながら騒ぐ。隣ではリムルが「おい、目立つから少し静かにしてくれよ」と念話で突っ込んでいた。
だが、そんな喧騒を切り裂くように、茂みの奥から殺気が放たれた。
「……止まれ。無駄な殺生はしたくない。……隠れている犬ども、出てきたらどうだ」
匠人が足を止め、視線を虚空に向ける。
そこから現れたのは、鋭い牙と血走った瞳を持つ、数百頭の巨大な狼の群れ——『牙狼族』だった。その先頭には、一際巨大で、額に一本の角を持つボスが君臨している。
「……人間と、奇妙なスライム、それに不気味な男か。我がジュラの森を統べる牙狼族の餌食となるがいい!」
ボスの咆哮と共に、一匹の牙狼が弾丸のような速度で匠人の喉元へ飛びかかった。
■ 爆ぜる生命:第一の爆弾「刹那の爆砕」
「……言ったはずだ。無駄だ、と」
匠人は動かない。ただ、飛びかかってきた牙狼の眉間に、右手の指先を軽く触れた。
その瞬間、匠人の背後に現れた『クロノス・アンリミテッド』が、静かに起爆スイッチを押し込む。
チュドォォォォォン!!!
凄まじい衝撃波と共に、飛びかかった牙狼の身体が内側から弾け飛んだ。肉片すら残らない。一瞬にして、その狼はこの世から「消滅」したかのように見えた。
「なっ……!? 一瞬で我らの同胞を殺しただと!?」
牙狼族のボスが戦慄し、リムルも「おい、佐藤さん! やりすぎだろ!」と叫ぶ。
だが、匠人の表情は変わらない。
「……落ち着け。俺は『殺した』とは言っていない。……『修復・起爆』だ」
匠人が、粉塵となった空間に向けて、もう一度指を鳴らす。
すると、虚空に舞っていた魔素と粒子が、逆再生の映像のように一点に収束し始めた。
次の瞬間、そこには傷一つない、それどころか毛並みまで整った先ほどの牙狼が、ポカンとした顔で座り込んでいた。
「……え? 俺、今死んだんじゃ……?」
牙狼が自分自身の身体を確かめる。一度、分子レベルまで粉砕され、その衝撃を「死の記憶」として脳に刻み込まれた直後、肉体だけが完全に復元されたのだ。
■ 絶望的な服従:死を越える恐怖
「……一度死んだ気分はどうだ? お前たちの命のスイッチは、すべて俺の指先にある」
匠人が一歩前へ踏み出すと、数百頭の牙狼族が一斉に数メートル後ずさりした。
彼らにとって、単に強い敵なら戦う意志も湧くだろう。だが、目の前の男は「死」さえも自分の都合で管理し、弄んでいる。それは生物の本能が最も嫌う、根源的な恐怖だった。
「……俺は爆弾の能力以外、極力使わないと決めている。……だが、爆弾には色々な種類がある。……例えば、お前たちの心臓に『解除不能の時限爆弾』をセットし、俺に背いた瞬間に爆発させることもできるが……どうする?」
匠人の指先で、小さな火花がチリチリと音を立てる。
牙狼族のボスは、自分の喉元に冷たい刃を突きつけられているような幻覚に陥った。目の前の男が「本気」を出せば、自分たちは戦う間もなく、何度も殺され、何度も直なされ、永遠の地獄を味わうことになる。
「……わ、分かった。我らの負けだ……! 貴殿に……いや、佐藤様に、永遠の忠誠を誓おう!」
ボスが深々と頭を下げ、それに続くように数百頭の狼が地に伏した。
血の一滴も流さず、一人の戦死者も出さない「完封」。
「クハハハ! さすがは佐藤よ! まるで勇者よりもタチが悪いではないか!」
ヴェルドラが愉快そうに笑い、リムルは「……まあ、誰も死ななかったんなら、結果オーライ……なのか?」と複雑な心境で呟いた。
「……無駄な争いが終わって何よりだ。……リムル、この犬どもの名前、お前が適当につけてやれ。俺は名付けなんて面倒なことはしない」
匠人は、服従した牙狼の背中を、まるで椅子代わりのように撫でながら、次の目的地——ゴブリンの村の方向を見据えた。
「クハハハ! 外の空気は実に美味い! 佐藤よ、この世界の魔素の密度、なかなかどうして我がいた頃より薄まっておるではないか!」
ヴェルドラが金髪をなびかせ、シャドーボクシングをしながら騒ぐ。隣ではリムルが「おい、目立つから少し静かにしてくれよ」と念話で突っ込んでいた。
だが、そんな喧騒を切り裂くように、茂みの奥から殺気が放たれた。
「……止まれ。無駄な殺生はしたくない。……隠れている犬ども、出てきたらどうだ」
匠人が足を止め、視線を虚空に向ける。
そこから現れたのは、鋭い牙と血走った瞳を持つ、数百頭の巨大な狼の群れ——『牙狼族』だった。その先頭には、一際巨大で、額に一本の角を持つボスが君臨している。
「……人間と、奇妙なスライム、それに不気味な男か。我がジュラの森を統べる牙狼族の餌食となるがいい!」
ボスの咆哮と共に、一匹の牙狼が弾丸のような速度で匠人の喉元へ飛びかかった。
■ 爆ぜる生命:第一の爆弾「刹那の爆砕」
「……言ったはずだ。無駄だ、と」
匠人は動かない。ただ、飛びかかってきた牙狼の眉間に、右手の指先を軽く触れた。
その瞬間、匠人の背後に現れた『クロノス・アンリミテッド』が、静かに起爆スイッチを押し込む。
チュドォォォォォン!!!
凄まじい衝撃波と共に、飛びかかった牙狼の身体が内側から弾け飛んだ。肉片すら残らない。一瞬にして、その狼はこの世から「消滅」したかのように見えた。
「なっ……!? 一瞬で我らの同胞を殺しただと!?」
牙狼族のボスが戦慄し、リムルも「おい、佐藤さん! やりすぎだろ!」と叫ぶ。
だが、匠人の表情は変わらない。
「……落ち着け。俺は『殺した』とは言っていない。……『修復・起爆』だ」
匠人が、粉塵となった空間に向けて、もう一度指を鳴らす。
すると、虚空に舞っていた魔素と粒子が、逆再生の映像のように一点に収束し始めた。
次の瞬間、そこには傷一つない、それどころか毛並みまで整った先ほどの牙狼が、ポカンとした顔で座り込んでいた。
「……え? 俺、今死んだんじゃ……?」
牙狼が自分自身の身体を確かめる。一度、分子レベルまで粉砕され、その衝撃を「死の記憶」として脳に刻み込まれた直後、肉体だけが完全に復元されたのだ。
■ 絶望的な服従:死を越える恐怖
「……一度死んだ気分はどうだ? お前たちの命のスイッチは、すべて俺の指先にある」
匠人が一歩前へ踏み出すと、数百頭の牙狼族が一斉に数メートル後ずさりした。
彼らにとって、単に強い敵なら戦う意志も湧くだろう。だが、目の前の男は「死」さえも自分の都合で管理し、弄んでいる。それは生物の本能が最も嫌う、根源的な恐怖だった。
「……俺は爆弾の能力以外、極力使わないと決めている。……だが、爆弾には色々な種類がある。……例えば、お前たちの心臓に『解除不能の時限爆弾』をセットし、俺に背いた瞬間に爆発させることもできるが……どうする?」
匠人の指先で、小さな火花がチリチリと音を立てる。
牙狼族のボスは、自分の喉元に冷たい刃を突きつけられているような幻覚に陥った。目の前の男が「本気」を出せば、自分たちは戦う間もなく、何度も殺され、何度も直なされ、永遠の地獄を味わうことになる。
「……わ、分かった。我らの負けだ……! 貴殿に……いや、佐藤様に、永遠の忠誠を誓おう!」
ボスが深々と頭を下げ、それに続くように数百頭の狼が地に伏した。
血の一滴も流さず、一人の戦死者も出さない「完封」。
「クハハハ! さすがは佐藤よ! まるで勇者よりもタチが悪いではないか!」
ヴェルドラが愉快そうに笑い、リムルは「……まあ、誰も死ななかったんなら、結果オーライ……なのか?」と複雑な心境で呟いた。
「……無駄な争いが終わって何よりだ。……リムル、この犬どもの名前、お前が適当につけてやれ。俺は名付けなんて面倒なことはしない」
匠人は、服従した牙狼の背中を、まるで椅子代わりのように撫でながら、次の目的地——ゴブリンの村の方向を見据えた。
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