戦艦「大和」の艦橋で、山本五十六大将から全権を託された匠人三等海佐は、内火艇で急ぎ護衛艦「はぐろ」へと帰還した。
「艦長、おかえりなさい! 状況は?」
「『大和』の全砲門を沈黙させた。これより、我々のやり方でこの海戦を凍結(フリーズ)させる。……総員、対空戦闘用意!」
匠人の檄がCICに響き渡る。モニターには、米空母「エンタープライズ」「ホーネット」から発艦したSBDドーントレス急降下爆撃機とTBDデバステーター雷撃機の混成編隊、計100機以上が映し出されていた。
[太字][大文字]第1章:イージス・ウォール[/大文字][/太字]
「『あたご』『あしがら』『まや』とデータリンク。多標的同時交戦(多重交戦)を開始しろ。……ミサイル、CIWS、全ての兵装の使用を許可する。ただし、コクピットは狙うな。エンジンと翼を削げ!」
「了解! ターゲットロック、数104! システム、オートマチック!」
護衛艦4隻のVLS(垂直発射装置)から、白い煙を引いてESSM(発展型シースパロー)が次々と飛び出した。それは1942年の兵士たちにとっては、意志を持った「空飛ぶ稲妻」にしか見えなかっただろう。
「……命中! 1番機から12番機、無力化!」
「次弾装填なしでいけます! 5インチ砲、対空精密射撃開始!」
空中で、米軍機が次々と翼をもぎ取られ、あるいはエンジンから火を噴いて高度を下げていく。しかし、一発も「爆発」はしない。現代の射撃管制システムが、致命傷を避けつつ機体だけを飛行不能に追い込んでいた。
「バカな……なんだあの弾幕は!? 高角砲の破片が見えないのに、俺たちの翼が次々ともげているぞ!」
米軍パイロットたちの絶望的な叫びが、無線傍受を通じてCICに流れる。
「距離500! 撃ち漏らしが来ます!」
「右舷CIWS、火を噴け!」
バリバリバリバリ――ッ!!
「はぐろ」のCIWS(20mm機関砲)が、文字通り「鉄のカーテン」を空に展開した。肉薄した爆撃機が投下した爆弾は、着弾する前に20mm弾によって空中で粉砕され、ただの鉄屑となって海に落ちた。
[太字][大文字]第2章:拒絶された「平和」[/大文字][/太字]
米軍の攻撃隊が全滅に近い損害(死者はゼロだが全機不時着)を受けた頃、司令艦「いずも」より、米機動部隊へ向けて全世界共通の緊急周波数で通信が飛ばされた。
『米第16、第17任務部隊へ。我々は未来から来た日本国海上自衛隊である。貴軍の攻撃は全て無力化した。無益な殺生を避けるため、直ちに戦闘を停止し、降伏せよ』
「降伏」という言葉に、海域は一瞬、静まり返った。
しかし、その沈黙を破ったのは、米軍の回答ではなく、さらなる咆哮だった。
「報告! 米艦隊、こちらの要求を黙殺! 逆に……残存する全艦艇、全予備機を投入し、全速力でこちらへ突っ込んできます!」
「何だと……?」
匠人は絶句した。常識的に考えれば、これほどの圧倒的な技術差を見せつけられれば、戦意を喪失するのが当然だ。だが、相手は1942年の「最強の民主主義の守護者」たちだった。
「……彼らは、我々を『神』とも『悪魔』とも思っていない。ただの『倒すべき強大な敵』としか認識していません。米国のプライドが、未来からの降伏勧告を撥ね退けました!」
[大文字][太字]第3章:星条旗の総攻撃[/太字][/大文字]
水平線の彼方。
煙を吐き、満身創痍のエンタープライズを中央に据えた米艦隊が、死を恐れぬ突撃を開始した。彼らは知っている。自分たちが負ければ、自由の世界が「未知の怪物」に支配される。その恐怖が、彼らを狂気じみた勇気へと駆り立てていた。
「艦長、敵巡洋艦、駆逐艦より主砲射撃! 距離15,000! ……さらに、潜水艦からの雷撃も感知!」
「……そうか。ならば、手加減は終わりだ」
匠人は、冷徹な艦長の顔に戻った。
「我々が『平和』を望んでも、彼らが『戦争』を望むなら……我々の盾がどれほど強固か、その身に刻んでやるしかない」
「『あたご』『あしがら』、前方へ出ろ! 現代の『陣形(フォーメーション)』を見せてやれ!」
2026年の最強艦隊と、1942年の決死の米艦隊。
ミッドウェーの海は、歴史上類を見ない「総力戦」の幕が開こうとしていた。
「艦長、おかえりなさい! 状況は?」
「『大和』の全砲門を沈黙させた。これより、我々のやり方でこの海戦を凍結(フリーズ)させる。……総員、対空戦闘用意!」
匠人の檄がCICに響き渡る。モニターには、米空母「エンタープライズ」「ホーネット」から発艦したSBDドーントレス急降下爆撃機とTBDデバステーター雷撃機の混成編隊、計100機以上が映し出されていた。
[太字][大文字]第1章:イージス・ウォール[/大文字][/太字]
「『あたご』『あしがら』『まや』とデータリンク。多標的同時交戦(多重交戦)を開始しろ。……ミサイル、CIWS、全ての兵装の使用を許可する。ただし、コクピットは狙うな。エンジンと翼を削げ!」
「了解! ターゲットロック、数104! システム、オートマチック!」
護衛艦4隻のVLS(垂直発射装置)から、白い煙を引いてESSM(発展型シースパロー)が次々と飛び出した。それは1942年の兵士たちにとっては、意志を持った「空飛ぶ稲妻」にしか見えなかっただろう。
「……命中! 1番機から12番機、無力化!」
「次弾装填なしでいけます! 5インチ砲、対空精密射撃開始!」
空中で、米軍機が次々と翼をもぎ取られ、あるいはエンジンから火を噴いて高度を下げていく。しかし、一発も「爆発」はしない。現代の射撃管制システムが、致命傷を避けつつ機体だけを飛行不能に追い込んでいた。
「バカな……なんだあの弾幕は!? 高角砲の破片が見えないのに、俺たちの翼が次々ともげているぞ!」
米軍パイロットたちの絶望的な叫びが、無線傍受を通じてCICに流れる。
「距離500! 撃ち漏らしが来ます!」
「右舷CIWS、火を噴け!」
バリバリバリバリ――ッ!!
「はぐろ」のCIWS(20mm機関砲)が、文字通り「鉄のカーテン」を空に展開した。肉薄した爆撃機が投下した爆弾は、着弾する前に20mm弾によって空中で粉砕され、ただの鉄屑となって海に落ちた。
[太字][大文字]第2章:拒絶された「平和」[/大文字][/太字]
米軍の攻撃隊が全滅に近い損害(死者はゼロだが全機不時着)を受けた頃、司令艦「いずも」より、米機動部隊へ向けて全世界共通の緊急周波数で通信が飛ばされた。
『米第16、第17任務部隊へ。我々は未来から来た日本国海上自衛隊である。貴軍の攻撃は全て無力化した。無益な殺生を避けるため、直ちに戦闘を停止し、降伏せよ』
「降伏」という言葉に、海域は一瞬、静まり返った。
しかし、その沈黙を破ったのは、米軍の回答ではなく、さらなる咆哮だった。
「報告! 米艦隊、こちらの要求を黙殺! 逆に……残存する全艦艇、全予備機を投入し、全速力でこちらへ突っ込んできます!」
「何だと……?」
匠人は絶句した。常識的に考えれば、これほどの圧倒的な技術差を見せつけられれば、戦意を喪失するのが当然だ。だが、相手は1942年の「最強の民主主義の守護者」たちだった。
「……彼らは、我々を『神』とも『悪魔』とも思っていない。ただの『倒すべき強大な敵』としか認識していません。米国のプライドが、未来からの降伏勧告を撥ね退けました!」
[大文字][太字]第3章:星条旗の総攻撃[/太字][/大文字]
水平線の彼方。
煙を吐き、満身創痍のエンタープライズを中央に据えた米艦隊が、死を恐れぬ突撃を開始した。彼らは知っている。自分たちが負ければ、自由の世界が「未知の怪物」に支配される。その恐怖が、彼らを狂気じみた勇気へと駆り立てていた。
「艦長、敵巡洋艦、駆逐艦より主砲射撃! 距離15,000! ……さらに、潜水艦からの雷撃も感知!」
「……そうか。ならば、手加減は終わりだ」
匠人は、冷徹な艦長の顔に戻った。
「我々が『平和』を望んでも、彼らが『戦争』を望むなら……我々の盾がどれほど強固か、その身に刻んでやるしかない」
「『あたご』『あしがら』、前方へ出ろ! 現代の『陣形(フォーメーション)』を見せてやれ!」
2026年の最強艦隊と、1942年の決死の米艦隊。
ミッドウェーの海は、歴史上類を見ない「総力戦」の幕が開こうとしていた。
- 1.第1話:群青の予兆
- 2.第2話:鋼鉄の洗礼
- 3.第3話:邂逅、そして混迷
- 4.第4話:深海の静かなる狩人
- 5.第5話:集結、そして決断
- 6.第6話:巨艦、対峙
- 7.第7話:ミッドウェー・フリーズ
- 8.第8話:鋼鉄のカーテン・2026
- 9.第9話:鋼鉄の苗床
- 10.第10話:蒼焔の翼、本土防衛
- 11.第11話:降臨、大いなる列島
- 12.第12話:孤立する「自由の砦」
- 13.第13話:蒼穹の騎士道
- 14.第14話:ワシントンの邂逅
- 15.第15話:巨神降臨、ハワイ沖
- 16.第16話:鋼鉄の怒涛、ノルマンディー
- 17.第17話:黒十字の幻影と「陸の王者」
- 18.第18話:狂気の終焉、ベルリンの落日
- 19.最終話:鋼鉄の黎明
- 20.番外編:鋼鉄の福音 ―植民地主義の終焉―