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とある中3の恋愛物語

#4

第4話:『紫陽花の誓いと、渡せなかったお守り』

[明朝体]2025年も6月に入り、梅雨の湿っぽさを吹き飛ばすように、学校内は修学旅行前夜の独特な高揚感に包まれていました。[/明朝体]

「明日から京都かぁ。なんか実感がわかないね」
蔵持杏は、図書室の窓から見える濡れた紫陽花を見つめて、ぽつりと呟きました。
「杏、忘れ物すんなよ? 新幹線のチケットとか、しおりとか」
隣で荷物リストをチェックしていた佐藤匠人が笑いかけます。
「大丈夫だよ、匠人くん。……でも、少し緊張しちゃうな」
そんな二人の様子を、森田千春は少し離れた場所で、妹の詩織と一緒に見ていました。中3の4人は明日から二泊三日の修学旅行。中2の詩織だけが学校に残ります。
「匠人先輩、これ……」
詩織が意を決して、匠人のもとへ歩み寄りました。彼女の手には、手作り風の小さな青いお守り袋が握られていました。
「ん? なんだ、詩織」
「……あ、あの! 修学旅行、楽しんできてください。これは、その、道中安全の……」
詩織が差し出そうとした瞬間、横から荒川心春がひょいと顔を出しました。
「おっ、詩織ちゃんから匠人にお守り? 粋だねぇ! 匠人、失くしたら承知しないよ?」
「わ、分かってるよ! ありがとな、詩織。大事にリュックにつけるよ」
匠人の屈託のない笑顔。詩織は本当は「私を忘れないで」と言いたかったけれど、言葉にできたのは「はい、気をつけて」という一言だけでした。
一方、その光景を黙って見ていた千春の胸には、複雑な感情が渦巻いていました。
(私は、お守りすら用意できなかった……)
親友の杏と、妹の詩織。大切な二人が同じ人を想っている。そして自分も。
放課後、図書室からの帰り道。
千春と杏は、一つの傘に入って駅まで歩いていました。
「……杏、楽しみだね。明日」
「うん。でもね、千春ちゃん。私、今回の旅行で匠人くんに……自分の気持ち、ちゃんと伝えようと思ってるの」
雨音にかき消されそうなほど小さな声。けれど、千春の耳にははっきりと届きました。
「……そう。杏なら、大丈夫だよ」
千春は精一杯の笑顔を作りました。2025年の梅雨空の下、親友の決意を聞いた千春の心には、冷たい雨が降り注いでいるようでした。
同じ頃、校舎の窓から雨を見つめていた詩織は、赤いリボンをぎゅっと握りしめていました。
「先輩たちが行っちゃったら、学校、静かになっちゃうな……」
明日から始まる京都への旅。
紺色のリボンをつけた4人の関係は、古都の街並みの中で大きな転換点を迎えようとしていました。

作者メッセージ

皆さんは修学旅行どこ行きましたか〜?
現在私は中3ですが、京都に行きましたよ〜
皆さんの行った修学旅行の場所をコメント欄にどうぞかいてってくださ〜い
それとご意見はどしどし受け付けておりま〜す

2026/01/10 10:57

高情緒なkojyochou
ID:≫ 10a8Rho2sBdDU
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