1942年、日本近海。
B-29の襲来を退けたばかりの海域に、三度、そして最大規模の「時空の震え」が走り抜けた。
「艦長! 磁気嵐の規模が計測不能です! 日本列島全土を包み込むほどに拡大しています!」
護衛艦「はぐろ」のCICで叫ぶオペレーターの声は、もはや恐怖を通り越し、驚愕に凍りついていた。
匠人三等海佐は、レーダーモニターが真っ白に塗りつぶされるのを見た。次の瞬間、霧が晴れるように世界が姿を変える。
[太字][大文字]第1章:2026年からの「移住」
[/大文字][/太字]「……報告しろ、何が起きた!?」
「……信じられません。横須賀、呉、佐世保、舞鶴……全ての自衛隊基地が、2026年の姿のまま『この時代』に定着しています! さらに陸上自衛隊の駐屯地、航空自衛隊の基地……航空機、戦車、車両、そして……」
匠人は言葉を失った。
現れたのは艦艇だけではなかった。
10式戦車の隊列を擁する陸上自衛隊。
C-2輸送機やE-767を並べた航空自衛隊。
そして何より、石油コンビナートの膨大な燃料備蓄、最新鋭ミサイルの生産ライン、それを支える何万、何十万人という技術者と隊員たち。
「……日本という国の『防衛力』そのものが、丸ごとこの時代に転送されたのか」
それは「タイムスリップ」という現象を超えた、一つの文明の降臨だった。
[太字][大文字]第2章:全軍総員、迎撃開始[/大文字][/太字]
「艦長、休む暇はありません! 米軍はB-29の失敗を受け、温存していたパナマ運河経由の増援艦隊を含む、空前絶後の『大艦隊』を日本本土へ向けています!」
だが、今の自衛隊はさっきまでの「孤立した艦隊」ではない。
日本の空には、各地の基地から緊急発進(スクランブル)したF-15J、F-2、F-35A/Bがひしめき、空中の「壁」を形成している。
「こちら市ヶ谷、陸上幕僚監部。匠人艦長、聞こえるか。これより統合任務部隊(JTF)を編成する。海の防衛は貴艦隊に一任する。……一歩も引くな」
「了解した。……はぐろ、全速前進!」
匠人の指揮下、最新の燃料と弾薬をフルロードした護衛艦隊が、再び太平洋へと進出した。
前方には、米軍が総力を結集した「戦艦十数隻、空母十隻」という巨大な影。しかし、自衛隊のレーダーには、その全ての位置、速力、さらには弾火薬庫のピンポイントな弱点までもが、手に取るように映し出されていた。
[太字][大文字]第3章:蹂躙される「過去」[/大文字][/太字]
「目標、米第一陣。……多目的誘導弾、発射」
匠人の冷静な号令とともに、本土の地対艦ミサイル連隊から12式地対艦誘導弾が放たれ、空からはF-2がASM-3を投下する。
1942年の常識では、水平線の向こうから攻撃が来るなど想定外だ。
米艦隊は、自分たちが大砲の射程に入るはるか手前で、意志を持つ「鋼鉄の死神」たちによって次々と無力化されていった。
「……これは戦争ではない」
匠人は、モニターの中で火を噴く米空母群を見つめ、静かに呟いた。
「……未来による、過去の『処断』だ」
日本列島丸ごとの戦力を手に入れた匠人たちは、もはや歴史の傍観者ではいられなかった。
彼らの前には、米海軍、そしてナチス・ドイツをも含めた「全世界」が敵として立ち塞がろうとしていた。
B-29の襲来を退けたばかりの海域に、三度、そして最大規模の「時空の震え」が走り抜けた。
「艦長! 磁気嵐の規模が計測不能です! 日本列島全土を包み込むほどに拡大しています!」
護衛艦「はぐろ」のCICで叫ぶオペレーターの声は、もはや恐怖を通り越し、驚愕に凍りついていた。
匠人三等海佐は、レーダーモニターが真っ白に塗りつぶされるのを見た。次の瞬間、霧が晴れるように世界が姿を変える。
[太字][大文字]第1章:2026年からの「移住」
[/大文字][/太字]「……報告しろ、何が起きた!?」
「……信じられません。横須賀、呉、佐世保、舞鶴……全ての自衛隊基地が、2026年の姿のまま『この時代』に定着しています! さらに陸上自衛隊の駐屯地、航空自衛隊の基地……航空機、戦車、車両、そして……」
匠人は言葉を失った。
現れたのは艦艇だけではなかった。
10式戦車の隊列を擁する陸上自衛隊。
C-2輸送機やE-767を並べた航空自衛隊。
そして何より、石油コンビナートの膨大な燃料備蓄、最新鋭ミサイルの生産ライン、それを支える何万、何十万人という技術者と隊員たち。
「……日本という国の『防衛力』そのものが、丸ごとこの時代に転送されたのか」
それは「タイムスリップ」という現象を超えた、一つの文明の降臨だった。
[太字][大文字]第2章:全軍総員、迎撃開始[/大文字][/太字]
「艦長、休む暇はありません! 米軍はB-29の失敗を受け、温存していたパナマ運河経由の増援艦隊を含む、空前絶後の『大艦隊』を日本本土へ向けています!」
だが、今の自衛隊はさっきまでの「孤立した艦隊」ではない。
日本の空には、各地の基地から緊急発進(スクランブル)したF-15J、F-2、F-35A/Bがひしめき、空中の「壁」を形成している。
「こちら市ヶ谷、陸上幕僚監部。匠人艦長、聞こえるか。これより統合任務部隊(JTF)を編成する。海の防衛は貴艦隊に一任する。……一歩も引くな」
「了解した。……はぐろ、全速前進!」
匠人の指揮下、最新の燃料と弾薬をフルロードした護衛艦隊が、再び太平洋へと進出した。
前方には、米軍が総力を結集した「戦艦十数隻、空母十隻」という巨大な影。しかし、自衛隊のレーダーには、その全ての位置、速力、さらには弾火薬庫のピンポイントな弱点までもが、手に取るように映し出されていた。
[太字][大文字]第3章:蹂躙される「過去」[/大文字][/太字]
「目標、米第一陣。……多目的誘導弾、発射」
匠人の冷静な号令とともに、本土の地対艦ミサイル連隊から12式地対艦誘導弾が放たれ、空からはF-2がASM-3を投下する。
1942年の常識では、水平線の向こうから攻撃が来るなど想定外だ。
米艦隊は、自分たちが大砲の射程に入るはるか手前で、意志を持つ「鋼鉄の死神」たちによって次々と無力化されていった。
「……これは戦争ではない」
匠人は、モニターの中で火を噴く米空母群を見つめ、静かに呟いた。
「……未来による、過去の『処断』だ」
日本列島丸ごとの戦力を手に入れた匠人たちは、もはや歴史の傍観者ではいられなかった。
彼らの前には、米海軍、そしてナチス・ドイツをも含めた「全世界」が敵として立ち塞がろうとしていた。
- 1.第1話:群青の予兆
- 2.第2話:鋼鉄の洗礼
- 3.第3話:邂逅、そして混迷
- 4.第4話:深海の静かなる狩人
- 5.第5話:集結、そして決断
- 6.第6話:巨艦、対峙
- 7.第7話:ミッドウェー・フリーズ
- 8.第8話:鋼鉄のカーテン・2026
- 9.第9話:鋼鉄の苗床
- 10.第10話:蒼焔の翼、本土防衛
- 11.第11話:降臨、大いなる列島
- 12.第12話:孤立する「自由の砦」
- 13.第13話:蒼穹の騎士道
- 14.第14話:ワシントンの邂逅
- 15.第15話:巨神降臨、ハワイ沖
- 16.第16話:鋼鉄の怒涛、ノルマンディー
- 17.第17話:黒十字の幻影と「陸の王者」
- 18.第18話:狂気の終焉、ベルリンの落日
- 19.最終話:鋼鉄の黎明
- 20.番外編:鋼鉄の福音 ―植民地主義の終焉―