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Lの空客の劇場《短編集》

#27

No.27 いってきます。

いつも通りの朝、変わらないリビング。
誰も居ない、一人ぼっちのダイニング。

「はぁ、」

呆れるような、希望を失ったようなため息が漏れる。
昨日食べようと思ったショートケーキを更に移してフォークで切って口に運ぶ。

「⋯あっま」

今日は昼から出勤。
それまで、くだらないニュースでも見ようとテレビを付けた。
その瞬間に、大好きなあの人が活動休止するというニュースに切り替わった。

「え、」

危ない、フォークを床に落としそうになった。
理由は『活動に対する本気がわからなくなってきた』と簡単に訳したらそう言っていた。
それを見ながら甘ったるいケーキを口に運んだ。

「つら、」

気づけばそう口にしていた
だって、明日から私の癒しが無くなるのだから。

「うぇ、しんど」

ケーキのせいかは知らないがめちゃくちゃ胃が重くなったのを感じながら
渋々と用意をはじめる。

「はぁー、」

今日2回目のため息を付きながら用意が終わったのを確認する。
いつも通りの髪型、いつも通りの服、いつも通りの私。
いつも通りの靴に脚を通して。
誰も居ない部屋にいつも通りのことを言う。

「いってきます」

玄関の扉が閉まる前、一瞬だけ視えた彼女の背中は酷くしんどそうに見えた。

作者メッセージ

スクロールお疲れ様でした。
では、次の脚本で逢いましょう。

2026/06/19 20:44

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