「よーっと。おーい、お客さん! こっちだよ」
船尾のほうから、プエルの声がする。
プエルは、小型の飛行船に乗っていた。
「ちょっと待っててー・・・」
船尾のへりまで歩く。
プエルは、集中して船のハンドルを握っていた。
「うーん・・・。よし、乗って!」
プエルは、慣れた手つきで小型船を船のへりに密着させた。
「今っ!」
プエルの合図と同時に、軽々と小型船に乗り込む。
プエルはハンドルを切り、小型船は母船と呼ばれた大きな飛行船から離れていく。
「そういえばさ、あなた、誰?」
「あー・・・。オリヴィア、だよ」
「何その言い方、それちゃんと本名?」
「本名ではあるんだけど。・・・まあ、いっか。私、多分指名手配されるんだよね」
「えっ・・・?」
プエルが、思わず振り向く。その顔は驚きで満ちている。
「勇者を殺しかけたんだよ。羽虫ごときいつでも殺せるんだけどさ、軍とかが出てくると厄介なんだよね」
「『厄介』・・・ね。片付ける算段はあるんだね」
「・・・」
「さーて、見えてきたよ。あれが君が泊まる船だよ」
遠くに微かに見えたのが、かなり大きめの飛行船だった。
遠くでも大きく見えるし、あれは巨大な大きさの飛行船なのだろう。
それでも、先ほどの船には劣る。
三十分ほど飛行機を飛ばすと、ようやく到着した。
プエルが見事な運転技術で小型船を船のへりに密着させると、はねるようにして小型船から降りる。
「じゃ、私は戻るね〜」
プエルは大型船のもとへ戻って行った。その後姿を見送ると、背後から声がかけられた。
「話は聞いています。ようこそ、我が船へ」
振り向くと、声の主はエルフだった。
軍服のような制服を着ており、その髪はシアン色。左目は紫だったが、右目は前髪で隠されている。
「初めまして、私はシアン・ブルースカイと申します。
恐れながら、この船に関する仕事を一任させていただいております。困りごとがありましたら、お尋ね下さい」
船団の団長かと思ったが、それもまた違うようだ。
だが、この船を任されている。それなりの実力者なのだろう。
「では、案内します。こちらへ」
シアンが背を向けたその時、船の下のほうから「ガン! ガン!」という打撃音が聞こえた。
ぞろぞろと様々な場所から乗組員らしき人物たちが出てくる。
シアンも、急いで船のへりから地上を見下ろした。もちろん私も。
「なっ・・・!?」
地上では、勇者が飛行船の錨の鎖をひたすら剣で打っていた。
近衛たちが、抑えるように阻むが、勇者はそれを振り切った。
「おいそこのお前! 何をしている!」
シアンができる限りの声を出して叫ぶ。
「卑怯な魔法使いを出せ! 俺が直々に殺してやる! 匿ってるのは知ってるんだぞ! 長い黒髪の女だよ!」
乗組員たちがこちらを見つめる。
「貴方ではないですよね?」
シアンに尋ねられる。
「いや、私だ。ちょっと片付けてくるから、気にしないでくれ」
「なら、加勢してもよろしいですか? あいつの先祖には借りがあるもので」
「もちろん」
縁に乗り上げ、下の勇者に向けて杖を構える。
「なあ勇者! 後悔するんじゃねぇぞ!」
もう、誰に何を言われようと、私は止まらない。
[太字]殺してやる。[/太字]
船尾のほうから、プエルの声がする。
プエルは、小型の飛行船に乗っていた。
「ちょっと待っててー・・・」
船尾のへりまで歩く。
プエルは、集中して船のハンドルを握っていた。
「うーん・・・。よし、乗って!」
プエルは、慣れた手つきで小型船を船のへりに密着させた。
「今っ!」
プエルの合図と同時に、軽々と小型船に乗り込む。
プエルはハンドルを切り、小型船は母船と呼ばれた大きな飛行船から離れていく。
「そういえばさ、あなた、誰?」
「あー・・・。オリヴィア、だよ」
「何その言い方、それちゃんと本名?」
「本名ではあるんだけど。・・・まあ、いっか。私、多分指名手配されるんだよね」
「えっ・・・?」
プエルが、思わず振り向く。その顔は驚きで満ちている。
「勇者を殺しかけたんだよ。羽虫ごときいつでも殺せるんだけどさ、軍とかが出てくると厄介なんだよね」
「『厄介』・・・ね。片付ける算段はあるんだね」
「・・・」
「さーて、見えてきたよ。あれが君が泊まる船だよ」
遠くに微かに見えたのが、かなり大きめの飛行船だった。
遠くでも大きく見えるし、あれは巨大な大きさの飛行船なのだろう。
それでも、先ほどの船には劣る。
三十分ほど飛行機を飛ばすと、ようやく到着した。
プエルが見事な運転技術で小型船を船のへりに密着させると、はねるようにして小型船から降りる。
「じゃ、私は戻るね〜」
プエルは大型船のもとへ戻って行った。その後姿を見送ると、背後から声がかけられた。
「話は聞いています。ようこそ、我が船へ」
振り向くと、声の主はエルフだった。
軍服のような制服を着ており、その髪はシアン色。左目は紫だったが、右目は前髪で隠されている。
「初めまして、私はシアン・ブルースカイと申します。
恐れながら、この船に関する仕事を一任させていただいております。困りごとがありましたら、お尋ね下さい」
船団の団長かと思ったが、それもまた違うようだ。
だが、この船を任されている。それなりの実力者なのだろう。
「では、案内します。こちらへ」
シアンが背を向けたその時、船の下のほうから「ガン! ガン!」という打撃音が聞こえた。
ぞろぞろと様々な場所から乗組員らしき人物たちが出てくる。
シアンも、急いで船のへりから地上を見下ろした。もちろん私も。
「なっ・・・!?」
地上では、勇者が飛行船の錨の鎖をひたすら剣で打っていた。
近衛たちが、抑えるように阻むが、勇者はそれを振り切った。
「おいそこのお前! 何をしている!」
シアンができる限りの声を出して叫ぶ。
「卑怯な魔法使いを出せ! 俺が直々に殺してやる! 匿ってるのは知ってるんだぞ! 長い黒髪の女だよ!」
乗組員たちがこちらを見つめる。
「貴方ではないですよね?」
シアンに尋ねられる。
「いや、私だ。ちょっと片付けてくるから、気にしないでくれ」
「なら、加勢してもよろしいですか? あいつの先祖には借りがあるもので」
「もちろん」
縁に乗り上げ、下の勇者に向けて杖を構える。
「なあ勇者! 後悔するんじゃねぇぞ!」
もう、誰に何を言われようと、私は止まらない。
[太字]殺してやる。[/太字]