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こちらはBL作品です。性的な描写は一切ございませんが、苦手な方はご遠慮頂くようお願い致します。
また、部分的に自殺描写を含めました。露骨な表現はありませんが、ご注意下さい。

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冥刻の子守唄 〜シニガミコモリ〜

#8

第二章 青い春 〜ブレザー〜

4月。朝の白い光が柔らかく教室に差し込む。新鮮な空気の香り。蛍は真新しい淡い紫色のブレザーに身を包み、見慣れぬ顔たちに囲まれて自分の席に着いていた。

始業まであと30分。蛍たちの担任と思われる中年男性は、校門に立って新入生に教室の場所の案内をしていたから、彼はまだ教室にはいない。

蛍は辺りをグルリと見渡した。蛍の周りの席に座る人はまだ登校しておらず空席。小学校時代から塾かなんかで知り合っていたと思われる人達は、廊下や教室の隅で集まって何やら騒いでいたが、教室にいる約半数の人間は、蛍と同じように喋る相手もなく、緊張した面持ちで自席に座っている。

蛍は特に社交的な方ではなかったが、知らぬ間に話し相手が出来るだろうと、不思議と不安は無かった。

もともと、世央とも始めから知り合っていたわけではなく、世央が小学校4年生の時に転校してきて初めて知り合った仲だ。蛍は、ここでも世央のような人と会えるはずだと、根拠もなく信じ切っていた。

ガタリと背後から椅子が引かれる音がして振り向くと、そこには教室に頭が付くのではないかと思うほどの長身がいた。特段スタイルが良かったわけではなく、顔が良かったわけでもない平均的な男子高校生だった。だが、余りにも巨大なので男女問わず皆の視線を一身に浴びていた。

彼は、よくこのサイズが売っていたなと思うくらいに大きいブレザーを脱ぐと、それを丁寧に椅子に掛けた。
「外れ値……」
蛍は彼を見て思わずそう呟いてから、慌てて自分の口を両手で塞いだ。
「俺やろ?」
蛍の声は彼にも聞こえていた。彼は小さすぎる席に無理やり身体を押し込むようにして座ると、太陽のように明るい笑顔を見せて豪快に笑った。
「小学校時代は、何回先生だと間違われたか」
彼は、中学校1年生の教室にいると違和感を抱くほど大きかった。だが、彼はまだ声変わりしておらず、存外可愛らしい声をしていた。

各々の机には、そこに座る生徒の名前が書かれた札が立てられている。彼はチラリと蛍の机上に置かれた名札に視線をやった。
「お前も虫なの」
「虫?」
彼は自分の机に置かれた名札を蛍に見せた。[漢字]泊蝶舞[/漢字][ふりがな]とまり ちょうま[/ふりがな]それが彼の名前だった。
「虫同士、ヨロシク」
蝶が舞うという優雅な名前の割に似合わぬ巨体の瞳は、太陽の光を受けて輝いていた。


[斜体][下線]「俺も虫と言われれば虫だな、そう言えば」[/下線][/斜体]
陽炎は、蛍と蝶舞の周りにある空席に腰を掛け、2人の顔を交互に見比べた。
[斜体][下線]「蛍と仲良くしてやって」[/下線][/斜体]
陽炎は蝶舞の肩に右手を優しく触れた。蝶舞の肩の温もりが、陽炎の右手に伝わる。誰も陽炎に目をくれなかった。だが、陽炎は間違いなくそこにいた。そんな気がして陽炎は、蛍が生まれて以来、久しぶりに胸に熱く込み上げるものを感じた。
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2025/11/29 17:19

花火
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