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こちらはBL作品です。性的な描写は一切ございませんが、苦手な方はご遠慮頂くようお願い致します。
また、部分的に自殺描写を含めました。露骨な表現はありませんが、ご注意下さい。

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冥刻の子守唄 〜シニガミコモリ〜

#1

序章 〜出会い〜

[斜体][明朝体]
生きとし生けるものは、いずれ必ずその命に終止符を打つ。終わりを迎えた命の魂は、新たな人生を迎えるため、神のもとに送り届けられる。

人知れず淡々とその役割を担うのは、死神である。死神は、命が生まれたその瞬間から絶えず傍に寄り添い、死を迎える瞬間までその命を守り抜く。

[水平線]

元気な産声が響く分娩室。分娩室の隅に静かに佇み、産声の主を興味津々な様子で見守る1人の男児。誰も彼に気が付かない。

彼の名前は、[漢字]陽炎[/漢字][ふりがな]かげろう[/ふりがな]。死神だ。

さあ、陽炎。見よ、学べ。

命の刹那の瞬きを。

儚い夢の美しさを。

世界の残酷さを。

[/明朝体][/斜体]

[水平線]

「はぁ…あぁ…」

長時間に渡る出産を終え、息も絶え絶えになり、懸命に絞り出すような、いや、つい漏れ出るような息を吐く1人の女性。分娩台の上に横たわり、指一本を動かすだけの力さえも使い切った彼女の額には、汗の粒が流れていく。

「お疲れ様…ほんとに…頑張った。よく頑張った。…ありがとう…ありがとう」

彼女の額の汗を、タオルで優しく拭う1人の男性。彼女は虚ろな目を夫に向けると、疲弊した表情に僅かな笑みが浮かんだ。

「はぁぃ、おめでとうございますぅ~。元気な男の子ですよ」

雪のように真っ白な、肌触りの良さそうなタオルに包まれた1人の新生児が、女性の胸元にそっと置かれた。

「あ…赤ちゃんだ…!」

女性は、全身に伸し掛かるような疲れを忘れたように、懸命にその新生児に腕を伸ばした。

「小ちゃくて、…でも重くて…」

女性の頬を、一筋の涙が伝った。


あぁ。どれほど恐ろしかろう。何がいるのか。何があるのか。何もかも分からない未知の世界に放り込まれた一つの命は、腹の外という未知の世界に対する不安と恐怖に抗うように、大きな声で泣く。

「ちゅんちゅん……ふふっ♥」

女性は、生まれたばかりでまだ皺くちゃな新生児の頬を、右手の人差し指で優しく触れた。

「[漢字]蛍[/漢字][ふりがな]けい[/ふりがな]くん、ママだよ」
「パパって呼んで、呼んでみ?」
「まだ早いでしょ」


[下線][斜体]「蛍くん…かぁ」[/斜体][/下線]

分娩室の隅に手ぶらで静かに佇む、1人の男の幼児。一見、そこらの公園を走り回ってそうなごく普通の彼の瞳だけは、ルビーのような燃える紅に染まっている。

[下線][斜体]「俺にも赤ちゃん見せて?」[/斜体][/下線]

彼は躊躇うことなく、ひょいと身軽に分娩台によじ登り、女性の胸に抱かれる蛍の顔を覗き込んだ。誰も彼の姿を捉えない。喜ばしいこの一場面に、彼の存在を考える者はいない。

しかし、命は生まれたその瞬間に、一生涯の相棒を嫌でも与えられるのだ。

[斜体][下線]「うわぁ…!!」[/下線][/斜体]

好奇心に満ちた眼で、元気よく泣く新生児の頭を撫でた幼児の名前は[漢字]陽炎[/漢字][ふりがな]かげろう[/ふりがな]。

[斜体][下線]「俺が蛍のこと守るから」[/下線][/斜体]

20ΧΧ年 ΧΧ月 ΧΧ日。

[漢字]斗波蛍[/漢字][ふりがな]となみけい[/ふりがな]が生まれた。

この日、陽炎は、蛍がいずれ息絶えるその瞬間まで、蛍の命を守り抜くことを誓った。

彼のその誓いを耳にする者は、誰一人としていなかった。それでも死神は誓う。

誰に認められなくとも、恐れられようとも、死ぬまで命を守り抜くことは、死神の誇りだったのだ。


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2025/11/19 22:14

花火
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