「そういや、アンタの名前聞いてなかったわ」
「山城カズキだ。まあこれから自立するまで頑張るよ」
そう意気込んで早二日。
暇すぎる。
言ってしまえば依頼がこない。現実はこんなものなのだろうか?
もっと、こう、殺人事件が舞い込んできたーとか、孤島に招待されてクローズドサークル的展開が待ってたとか、そんなことは一切なく、掃除して散らかった部屋を片付けて飯を作ってを繰り返していた。
まあ赤字なのも納得だ。
さすがに家計が火の車になってしまうので、たまにアルバイトをして日銭を稼いではいるが、それもいつまで続くかわからない。
「チリリリリ」
と、ドアベルが鳴った。
「カズキ、客よ!入れて差し上げなさい!」
久々の仕事かもしれないと、声からして張り切っている。
「はいはい。今でます」
ガチャリとドアを開けると、メガネをかけた白髪のご婦人がいた。どこか落ち着きがなさそうだ。
応接室まで案内すると、あのソファにちょこんと大人しく座っているライカがいた。俺はライカの斜め後ろに立つことにした。
「おかけになってください」
…俺のときと対応が全く違う。赤字のちょっとした助けになるかもしれない大事な客とはいえど、こうもあからさまに違うとは……。
「私立探偵のライカ・エルベレイです」
「シエンヌ・ローザと申します」
「ローザさんですね。今日はどうされましたか?」
ライカがそう聞くと、ゆっくりと話し始める。
「実は…。うちの猫がいなくなったんです」
「ネコ?」
「はい。ふと目を離した隙にいなくなっていて」
だんだんと息遣いが荒くなっていく。
「昨日から帰って来ないんです!」
「それで夜しか眠れないと」
「健康じゃねえか」
束の間の沈黙。
「と、とにかく。うちの子を見つけてほしいんです」
「写真とかあったりしますか?」
「これです」
ご婦人は傍に置いていたトートバッグから一枚の写真を取り出す。
「女の子です」
写真にはまつ毛が長く、毛並みが整った白猫が写っていた。
「この猫です。よろしくおねがいします」
「こちらは預かっても構いませんか?」
「はい。絶対に見つけてください!」
その後、依頼達成の際のお知らせのために電話番号を聞き、ご婦人は去っていった。
「さて…」
クルッとこちらを見るライカ。
「猫よ」
「…なんか地味だな」
「しょうがないじゃない。猫探しなんて、そこら辺の警察や衛兵が引き受けてくれると思う?」
「まあ、そう考えると必然的に探偵に回ってくるか」
やっぱり小説は小説なんだなあ。
「さあ、純白の女の子を捕まえるわよ!」
「その言い方探偵じゃねえだろ」
「何よ。間違ってないでしょ」
まあ、事実ではある…か?
「ま、とりあえず探しに行くわよ」
「山城カズキだ。まあこれから自立するまで頑張るよ」
そう意気込んで早二日。
暇すぎる。
言ってしまえば依頼がこない。現実はこんなものなのだろうか?
もっと、こう、殺人事件が舞い込んできたーとか、孤島に招待されてクローズドサークル的展開が待ってたとか、そんなことは一切なく、掃除して散らかった部屋を片付けて飯を作ってを繰り返していた。
まあ赤字なのも納得だ。
さすがに家計が火の車になってしまうので、たまにアルバイトをして日銭を稼いではいるが、それもいつまで続くかわからない。
「チリリリリ」
と、ドアベルが鳴った。
「カズキ、客よ!入れて差し上げなさい!」
久々の仕事かもしれないと、声からして張り切っている。
「はいはい。今でます」
ガチャリとドアを開けると、メガネをかけた白髪のご婦人がいた。どこか落ち着きがなさそうだ。
応接室まで案内すると、あのソファにちょこんと大人しく座っているライカがいた。俺はライカの斜め後ろに立つことにした。
「おかけになってください」
…俺のときと対応が全く違う。赤字のちょっとした助けになるかもしれない大事な客とはいえど、こうもあからさまに違うとは……。
「私立探偵のライカ・エルベレイです」
「シエンヌ・ローザと申します」
「ローザさんですね。今日はどうされましたか?」
ライカがそう聞くと、ゆっくりと話し始める。
「実は…。うちの猫がいなくなったんです」
「ネコ?」
「はい。ふと目を離した隙にいなくなっていて」
だんだんと息遣いが荒くなっていく。
「昨日から帰って来ないんです!」
「それで夜しか眠れないと」
「健康じゃねえか」
束の間の沈黙。
「と、とにかく。うちの子を見つけてほしいんです」
「写真とかあったりしますか?」
「これです」
ご婦人は傍に置いていたトートバッグから一枚の写真を取り出す。
「女の子です」
写真にはまつ毛が長く、毛並みが整った白猫が写っていた。
「この猫です。よろしくおねがいします」
「こちらは預かっても構いませんか?」
「はい。絶対に見つけてください!」
その後、依頼達成の際のお知らせのために電話番号を聞き、ご婦人は去っていった。
「さて…」
クルッとこちらを見るライカ。
「猫よ」
「…なんか地味だな」
「しょうがないじゃない。猫探しなんて、そこら辺の警察や衛兵が引き受けてくれると思う?」
「まあ、そう考えると必然的に探偵に回ってくるか」
やっぱり小説は小説なんだなあ。
「さあ、純白の女の子を捕まえるわよ!」
「その言い方探偵じゃねえだろ」
「何よ。間違ってないでしょ」
まあ、事実ではある…か?
「ま、とりあえず探しに行くわよ」
- 1.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 1
- 2.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 2
- 3.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 3
- 4.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 4
- 5.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 5
- 6.2話 とある女神の休憩時間 1
- 7.2話 とある女神の休憩時間 2
- 8.2話 とある女神の休憩時間 3
- 9.2話 とある女神の休憩時間 4
- 10.2話 とある女神の休憩時間 5
- 11.3話 死は混沌の至誠也 1
- 12.3話 死は混沌の至誠也 2
- 13.3話 死は混沌の至誠也 3
- 14.3話 死は混沌の至誠也 4
- 15.4話 見知らぬ、街道 1
- 16.4話 見知らぬ、街道 2
- 17.4話 見知らぬ、街道 3
- 18.5話 ゆく猫くる猫 1
- 19.5話 ゆく猫くる猫 2
- 20.5話 ゆく猫くる猫 3
- 21.5話 ゆく猫くる猫 4
- 22.5話 ゆく猫くる猫 5