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探偵は眠らない!

#18

5話 ゆく猫くる猫 1

「そういや、アンタの名前聞いてなかったわ」
「山城カズキだ。まあこれから自立するまで頑張るよ」

 そう意気込んで早二日。

 暇すぎる。

 言ってしまえば依頼がこない。現実はこんなものなのだろうか?
 もっと、こう、殺人事件が舞い込んできたーとか、孤島に招待されてクローズドサークル的展開が待ってたとか、そんなことは一切なく、掃除して散らかった部屋を片付けて飯を作ってを繰り返していた。
 まあ赤字なのも納得だ。
 さすがに家計が火の車になってしまうので、たまにアルバイトをして日銭を稼いではいるが、それもいつまで続くかわからない。

「チリリリリ」
 と、ドアベルが鳴った。
「カズキ、客よ!入れて差し上げなさい!」
 久々の仕事かもしれないと、声からして張り切っている。
「はいはい。今でます」
 ガチャリとドアを開けると、メガネをかけた白髪のご婦人がいた。どこか落ち着きがなさそうだ。
 応接室まで案内すると、あのソファにちょこんと大人しく座っているライカがいた。俺はライカの斜め後ろに立つことにした。
「おかけになってください」
 …俺のときと対応が全く違う。赤字のちょっとした助けになるかもしれない大事な客とはいえど、こうもあからさまに違うとは……。
「私立探偵のライカ・エルベレイです」
「シエンヌ・ローザと申します」
「ローザさんですね。今日はどうされましたか?」
 ライカがそう聞くと、ゆっくりと話し始める。
「実は…。うちの猫がいなくなったんです」
「ネコ?」
「はい。ふと目を離した隙にいなくなっていて」
 だんだんと息遣いが荒くなっていく。
「昨日から帰って来ないんです!」
「それで夜しか眠れないと」
「健康じゃねえか」
 束の間の沈黙。
「と、とにかく。うちの子を見つけてほしいんです」
「写真とかあったりしますか?」
「これです」
 ご婦人は傍に置いていたトートバッグから一枚の写真を取り出す。
「女の子です」
 写真にはまつ毛が長く、毛並みが整った白猫が写っていた。
「この猫です。よろしくおねがいします」
「こちらは預かっても構いませんか?」
「はい。絶対に見つけてください!」
 その後、依頼達成の際のお知らせのために電話番号を聞き、ご婦人は去っていった。
「さて…」
 クルッとこちらを見るライカ。
「猫よ」
「…なんか地味だな」
「しょうがないじゃない。猫探しなんて、そこら辺の警察や衛兵が引き受けてくれると思う?」
「まあ、そう考えると必然的に探偵に回ってくるか」
 やっぱり小説は小説なんだなあ。
「さあ、純白の女の子を捕まえるわよ!」
「その言い方探偵じゃねえだろ」
「何よ。間違ってないでしょ」
 まあ、事実ではある…か?
「ま、とりあえず探しに行くわよ」

2025/11/28 17:54

ゐぬい
ID:≫ 18yayKY/7LFxA
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探偵推理異世界転生ギャグコメディ魔法

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