自分を呼ぶ声が聞こえる。
あれ、暗い。
けど確かに聞こえる。
「…ッツ!」
眩しッ。
「…あ、起きたね」
この声は…エスメラルダか?
ガバッと起きるが、そこに実体はなかった。
てことは指輪か。
「まさか逃げた方向にもいたとはねぇ」
「逃げた…方向?」
「あれ、忘れてる?君、気絶してたよ」
改めて辺りを見回す。気づかなかった。
ここ、知らない場所だ。
自分の下に柔らかい感触を覚える。…ベッド?温かな光が揺れるカーテンから漏れ出る。周りにはベッドがいくつかあった。
どうやら病院っぽい。
「とりあえず、何があったか説明してくれるか?」
「そうだね。簡単に言えば危機一髪…かな?」
聞けば、逃げた方向にもあの黒い塊がいたらしく、そいつにふっ飛ばされたときに気絶したらしい。
我ながら恐ろしい話だ。エスメラルダが助けてくれたからいいものの、もし少しでも遅かったら俺も晴れてあいつらの仲間に(それとも一部だろうか?)なっていたという。
「で、あいつらはどうなったんだ?」
「もちろん君が目を覚ます前に鎮圧されたさ。静かだろう?」
なんだか知らない間に終わっていたと思うと、ホッとするようなそうでもないような。
「君は命に別状はないみたいだし、明後日には退院だって」
まあ、何はともあれ一件落着ということだろうか。
「そういやあの黒い塊、死者の氾濫だっけ?あれってなんだ?」
「ああ、詳しい説明省いてたね。ちょっと長くなるけどいいよね?」
「構わんぜ」
「君が今いるここはいわゆる狭間なんだ。天国と地獄の狭間、境界とも言うかもね。とにかく、境目ってことはものすごく貧弱ってこと。天国からも地獄からも干渉されやすい」
「なるほど。つまり今回のも地獄側からの干渉が原因ってことだな」
「そういうこと。ただ、これは意図的な干渉ではなく、事故みたいなものだったんだ」
「事故?」
「死者の氾濫って言ってね、『生き返りたい』とか『自分みたいな仲間を増やしたい』とか思う地獄の人々が集まってできた怪物があの黒い塊。本来は地獄側の職員が止めにかかるんだけどね、数が多すぎて牽制ができなかったみたい」
「だから執拗に生身の奴らを狙うのか」
「まあ、僕から説明できるのはこのぐらいかな」
「色々ありがとな」
「給料分の仕事をしたまで、とでも言っておくよ。今日はもう休むといい」
「そうするかな…」
こうして、俺は微睡の彼方へと深く沈んでいった。
あれ、暗い。
けど確かに聞こえる。
「…ッツ!」
眩しッ。
「…あ、起きたね」
この声は…エスメラルダか?
ガバッと起きるが、そこに実体はなかった。
てことは指輪か。
「まさか逃げた方向にもいたとはねぇ」
「逃げた…方向?」
「あれ、忘れてる?君、気絶してたよ」
改めて辺りを見回す。気づかなかった。
ここ、知らない場所だ。
自分の下に柔らかい感触を覚える。…ベッド?温かな光が揺れるカーテンから漏れ出る。周りにはベッドがいくつかあった。
どうやら病院っぽい。
「とりあえず、何があったか説明してくれるか?」
「そうだね。簡単に言えば危機一髪…かな?」
聞けば、逃げた方向にもあの黒い塊がいたらしく、そいつにふっ飛ばされたときに気絶したらしい。
我ながら恐ろしい話だ。エスメラルダが助けてくれたからいいものの、もし少しでも遅かったら俺も晴れてあいつらの仲間に(それとも一部だろうか?)なっていたという。
「で、あいつらはどうなったんだ?」
「もちろん君が目を覚ます前に鎮圧されたさ。静かだろう?」
なんだか知らない間に終わっていたと思うと、ホッとするようなそうでもないような。
「君は命に別状はないみたいだし、明後日には退院だって」
まあ、何はともあれ一件落着ということだろうか。
「そういやあの黒い塊、死者の氾濫だっけ?あれってなんだ?」
「ああ、詳しい説明省いてたね。ちょっと長くなるけどいいよね?」
「構わんぜ」
「君が今いるここはいわゆる狭間なんだ。天国と地獄の狭間、境界とも言うかもね。とにかく、境目ってことはものすごく貧弱ってこと。天国からも地獄からも干渉されやすい」
「なるほど。つまり今回のも地獄側からの干渉が原因ってことだな」
「そういうこと。ただ、これは意図的な干渉ではなく、事故みたいなものだったんだ」
「事故?」
「死者の氾濫って言ってね、『生き返りたい』とか『自分みたいな仲間を増やしたい』とか思う地獄の人々が集まってできた怪物があの黒い塊。本来は地獄側の職員が止めにかかるんだけどね、数が多すぎて牽制ができなかったみたい」
「だから執拗に生身の奴らを狙うのか」
「まあ、僕から説明できるのはこのぐらいかな」
「色々ありがとな」
「給料分の仕事をしたまで、とでも言っておくよ。今日はもう休むといい」
「そうするかな…」
こうして、俺は微睡の彼方へと深く沈んでいった。
- 1.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 1
- 2.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 2
- 3.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 3
- 4.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 4
- 5.1話 ようこそ御都合主義者の天界へ 5
- 6.2話 とある女神の休憩時間 1
- 7.2話 とある女神の休憩時間 2
- 8.2話 とある女神の休憩時間 3
- 9.2話 とある女神の休憩時間 4
- 10.2話 とある女神の休憩時間 5
- 11.3話 死は混沌の至誠也 1
- 12.3話 死は混沌の至誠也 2
- 13.3話 死は混沌の至誠也 3
- 14.3話 死は混沌の至誠也 4
- 15.4話 見知らぬ、街道 1
- 16.4話 見知らぬ、街道 2
- 17.4話 見知らぬ、街道 3
- 18.5話 ゆく猫くる猫 1
- 19.5話 ゆく猫くる猫 2
- 20.5話 ゆく猫くる猫 3
- 21.5話 ゆく猫くる猫 4
- 22.5話 ゆく猫くる猫 5