文字サイズ変更

探偵は眠らない!

#11

3話 死は混沌の至誠也 1

 多くの生物は本能的に逃げる。それは争いたくないから、傷つきたくないから。自分が格下と自覚しているのなら尚更。勝てない相手に真正面から向かったところで、それは自殺行為そのもの。
 
 それを言い訳とするのはなんだが、俺は公園を一目散に逃げ出した。
 かっこよさ?知るかそんなもの。
 逃げ出して下劣?見苦しい?それでいて結構!
 自分の命の為に、俺を待つ転生世界のためにここで死んでなんかいられねぇ。

「逃げられる場所、他にないのか!」
 轟音にかき消されないように声を振り絞る。あいつらちょっとは小説のテンポってもの考えやがれ。
「もう他にないかも…」
 天界生まれとはいえど、やっぱこういう非常事態には慣れていないものらしい。日本人の俺が地震に慣れていないのと同じなんだろうか?
「あいつらの自然消滅待ちってのはどうだ?」
「自然消滅はないよ。それこそ無限に湧き出る巨人みたいなもの。この場合巨神って言ったほうがいいのかな?」
 人だか神だか知らんが、とりあえずどうしようもないってことはわかった。
「あいつらと戦う奴らっていないのか?」
「いるにはいるけど、数が多すぎて処理が回ってない」
 やっぱな。どう考えたって空中を点滅する数より屋根を越えて見える黒い塊の方が多い。
「しかもね、氾濫共は君たちのようないわゆる転生待ちを狙ってる。自分たちの仲間を作ろうとしてるんだ」

『ゴオォン!!』
と、後ろからまた爆音がした。
 砂塵が顔に当たって痛い。
 後ろを見ずともその危険性は、頭上に暗がりをつくる影でわかる。
「危ないよ!」
 咄嗟に前へと交わして振り返ってみると、エスメラルダがあの塊、死者の氾濫から伸びる骨のような細長い腕をギリギリで止めてくれていた。
「実体化できる時間は少しだから、早く離れて!!」
 ハッと我に返り、もう動こうとしない足に再びアドレナリンが流れ込む。
 なるべく遠くに、安全な場所に。

 が、やっぱり質より量というやつなんだろうか。

『ドゴォォォォオン!!』
 何が起こったのか理解ができなかった。まだいるのか…?!
 目の前が砂埃で覆い隠される。

 スッとその煙を切るような空気の流れを感じたときには、もうあの真っ黒の細長い手が首筋を走っていた。

作者メッセージ

暑いですね。

溶けます。

2025/10/13 17:15

ゐぬい
ID:≫ 18yayKY/7LFxA
コメント

この小説につけられたタグ

探偵推理異世界転生ギャグコメディ魔法

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はゐぬいさんに帰属します

TOP