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探偵は眠らない!

#10

2話 とある女神の休憩時間 5

「なんだ!?」
 離陸前の飛行機のような音で地面が揺れだした。
「何が起こってるんだアグネス!」
「わかりません!でも非常事態なのは確かです。カズキさんは誘導にそって避難してください!」
「お前はどうするんだ!」
「私は仕事がありますから…!」  
 その顔にはやる気に満ちた笑みが浮かんでいた。
「おっしゃッ!」
 俺はとりあえず走って逃げる他の人の流れに着いていく。
「おい、エスメラルダ!いるだろ?」
「もちろん。僕は常時万全だ」
「今何が起きてるかわかるか?」
「ああ。ショッピングモール付近で死者の氾濫があったみたいだ」
「死者の氾濫?」
「そう。実は天界は冥界と一部分が繋がっていてね。そこから冥界にいた死者どもが流れ込んでくるんだ」
「厄介だな…」
『ドカァァ!!!』
 また後方から爆発音のようなものが聞こえてきた。
「やべえぞ!どこ行きゃいいんだ!」
「避難所がこの先に……あっ!」
「あれが避難所…?」
「…だったものだね」
 俺らの目の前にはおそらくここに避難したであろう人々の亡骸を踏みつけ、こちらをじろりと見る名状しがたい生き物がいた。
「あれが死者の氾濫だよ」
 黒い人のような何かが複数体くっついて、左右から足が三本ずつ生えている。
「どこに避難すりゃいいんだよ!」
 俺はひとまず回れ右をして全力疾走。本能がヤバいと訴えかけている。
「ひとまず外に出よう。室内じゃ逃げ場が限られる」
「出口はどこだ」
「そこの門を右に曲がるとガラス張りのドアがあるから、そこからだ」  バッとそのドアを引くと、
「……おいおい。ヤバいんじゃないか?」
「この量はたぶん想定外だろうね……」
 あちこちから煙が上がり、建物は倒壊し、道はボコボコに穴が開いている。そして、その原因であろうそいつは、いや、何十、何百といるそいつらは天使たちと戦っていた。
「これは非常にまずいね」
「避難所あるのか…?」
「ここまで来るともう……」
 どこか…。大人数が避難できるような場所があれば、あれば……。
 ふとあの張り紙を思い出す。何かが繋がったような…?
「あの公園はどうだ?」
「公園…?」
「ほら、デカい扉の中にあったやつ」
「…確かにいけるかもしれない」
「あそこなら果てしなく続く広場があるぜ?」
「じゃあとりあえずそこに向かおう」
 俺はただ一心に、エスメラルダの誘導を頼りに走り続けた。汚れひとつなかったであろう白い壁は崩れ落ち、地面はひび割れ、各地から点々と上がる煙と悲鳴がその悲壮さをもの語っていた。
「あとどんぐらいだ?」
「もうすぐだよ。五分もかからないぐらい」
 とりあえずあの公園に逃げ込めば少なくとも我が身の安全確保はできる。
 
 はずだった。
「おいおいおいおい!冗談はよせって…」
「ここまで侵略してくるのは流石に困るね…」
 公園の入口であるあの大きな扉の前まで来たとき、それはもう少し早い安堵が早くも漏れ出ていたが、いざその門をくぐれば、そこには地獄絵図が広がっていた。
 あの黒いカタマリは意味もなく、ただ本能的に暴れ回っていた。
 そこにあったのは焼け野原だった。

 もう、逃げ場はなかった。

作者メッセージ

久々ですが、しばらくはこっちメインで投稿を進めていこうかなと思ってます。
感想や批評でも構いませんので、ぜひぜひコメントお願い致します!!

2025/09/29 17:59

ゐぬい
ID:≫ 18yayKY/7LFxA
コメント

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探偵推理異世界転生ギャグコメディ魔法

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