気づいたときにはもう遅い、というのはこういうときに使うのだろうか。
和義は目の前で急に方向を変えたかと思うと、気でも狂ったように一心不乱にチャリに向かってくる。戦国では、騎馬兵に突進する足軽はあんなふうに見えるのか。なんて言ってられる場合でもなく、この高校でチャリに轢かれる人間を出すわけにもいかないので俺は急いで舵を右に切った。
案の定、俺はバランスを崩し、校庭の周りにあるツツジに激突した。顔のあちこちが小枝で刺されて痛い。たぶん明日は絆創膏だらけで登校確定だな。
やっとこさ和義の方を見ると、あいつはもう既にフィニッシュテープを切ってた。残念ながら俺はあいつの愚行を食い止めることができなかった。まあ、発案者に勝とうなんざ負け戦に挑むようなものだからな。
「おい、和義」
「どうした?負け惜しみかぁ?」
「うるせぇっ!」
うざいな。後で一発殴ろうかな。
「お前の勝ちってことだよな?」
「そういうことだ」
「デバッガーは?」
「俺からも特に言うことはないさ。まあ、お前が木に突っ込んだのは面白かったが。」
「…あれは忘れてくれ」
たぶん人生で二度あることじゃないな。当たり屋を避けようとして自転車でツツジに突っ込む、なんてのは。
「お前は満足か?」
「ああ、これからの登下校が楽しみだぜ…」
「ほらなぁ?やっぱそういうことだと思ったわ」
「…ポケットに財布入れんのやめよ。」
「じゃあ、『これ』どうするか考えるか…」
俺らが半ば諦めの目で見るその先には、ボロボロになった自転車君がいた。ベルは凹んで、シートは破れ、タイヤについている細いワイヤーは曲がり…。見るも無惨な姿、を体現した感じだな。
「…なんて言う?」
和義が切り出した。
「バカな計画を全部話すしかないだろ。」
「だよな…」
俺も和義も疲れ切った声しか出ない。
「じゃあ、ここは代表して部長が行って来い」
「え、俺?俺が?」
「そう、発案者兼部長のお前」
「そんなこと言ったら主犯の穂もだろ」
「主犯って言うな主犯て!まあ、そうだけどさ…」
「…ま、みんなで行こうぜ、みんなで。」
どうなったか知りたいよな?
結局、用務員さんは全く気にせず、むしろそれが自転車の最後の仕事だったと、なんだか壮大な締め方をして解散。もちろん、チャリの後片付けは使用者である我々がしました、と。
「で、お前はマジでやるのか?」
突拍子もなく聞いてみた。
「SKT作戦か?もちろんだとも」
「やめとけよ、、、」
と、黙っていた拓弥が口を開いた。
「あのさ、一個思ったんだけどさ。」
「なんだ?」
「この作戦の発動条件って、『相手は自転車かつ、そいつが財布をポケットに入れているかつ、交番ができるだけ近い』、だよな?」
「………まあ、そういうことになる…な」
「コレってどのくらいの確率なんだ?」
「………」
「相手のポケットの中身を確認することはできないから、『落とすかもしれない』って思いながら後をつけるしかないじゃん?それってただのストーカーだろ。」
「……………」
正論でボコボコに言われた和義は、なすすべもなくと言うのか、もはや無言を貫き通すという面持ちでいる。
「‥やめておこう」
和義は目の前で急に方向を変えたかと思うと、気でも狂ったように一心不乱にチャリに向かってくる。戦国では、騎馬兵に突進する足軽はあんなふうに見えるのか。なんて言ってられる場合でもなく、この高校でチャリに轢かれる人間を出すわけにもいかないので俺は急いで舵を右に切った。
案の定、俺はバランスを崩し、校庭の周りにあるツツジに激突した。顔のあちこちが小枝で刺されて痛い。たぶん明日は絆創膏だらけで登校確定だな。
やっとこさ和義の方を見ると、あいつはもう既にフィニッシュテープを切ってた。残念ながら俺はあいつの愚行を食い止めることができなかった。まあ、発案者に勝とうなんざ負け戦に挑むようなものだからな。
「おい、和義」
「どうした?負け惜しみかぁ?」
「うるせぇっ!」
うざいな。後で一発殴ろうかな。
「お前の勝ちってことだよな?」
「そういうことだ」
「デバッガーは?」
「俺からも特に言うことはないさ。まあ、お前が木に突っ込んだのは面白かったが。」
「…あれは忘れてくれ」
たぶん人生で二度あることじゃないな。当たり屋を避けようとして自転車でツツジに突っ込む、なんてのは。
「お前は満足か?」
「ああ、これからの登下校が楽しみだぜ…」
「ほらなぁ?やっぱそういうことだと思ったわ」
「…ポケットに財布入れんのやめよ。」
「じゃあ、『これ』どうするか考えるか…」
俺らが半ば諦めの目で見るその先には、ボロボロになった自転車君がいた。ベルは凹んで、シートは破れ、タイヤについている細いワイヤーは曲がり…。見るも無惨な姿、を体現した感じだな。
「…なんて言う?」
和義が切り出した。
「バカな計画を全部話すしかないだろ。」
「だよな…」
俺も和義も疲れ切った声しか出ない。
「じゃあ、ここは代表して部長が行って来い」
「え、俺?俺が?」
「そう、発案者兼部長のお前」
「そんなこと言ったら主犯の穂もだろ」
「主犯って言うな主犯て!まあ、そうだけどさ…」
「…ま、みんなで行こうぜ、みんなで。」
どうなったか知りたいよな?
結局、用務員さんは全く気にせず、むしろそれが自転車の最後の仕事だったと、なんだか壮大な締め方をして解散。もちろん、チャリの後片付けは使用者である我々がしました、と。
「で、お前はマジでやるのか?」
突拍子もなく聞いてみた。
「SKT作戦か?もちろんだとも」
「やめとけよ、、、」
と、黙っていた拓弥が口を開いた。
「あのさ、一個思ったんだけどさ。」
「なんだ?」
「この作戦の発動条件って、『相手は自転車かつ、そいつが財布をポケットに入れているかつ、交番ができるだけ近い』、だよな?」
「………まあ、そういうことになる…な」
「コレってどのくらいの確率なんだ?」
「………」
「相手のポケットの中身を確認することはできないから、『落とすかもしれない』って思いながら後をつけるしかないじゃん?それってただのストーカーだろ。」
「……………」
正論でボコボコに言われた和義は、なすすべもなくと言うのか、もはや無言を貫き通すという面持ちでいる。
「‥やめておこう」