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想造部は雑談楽団

#2

SKT作戦

 今日も日が暖かく俺達を照らしてくれている。春先はまだ少しの寒さが残っているから、地味に体温調節が難しい。豆を箸で掴むような微妙な感覚が俺にはないから、こういう日は極端に厚着をしてしまう。
 さて、例の部室には既に二人とも来ていた。同じクラスのはずなのに、いつ教室から退散したのかわからないな。
 俺がカバンを棚にしまい、いつもの椅子に座る。和義は教師用机に寝そべり、拓弥は段ボールを開封して中身を掘り返している。
 と、寝ているかと思われた和義が、
「なあ、穂」
「なんだ?」
「財布拾ったことあるか?」
 なんだ、藪から棒にそんなこと聞いて。
「今日財布を落としてるおっちゃんがいてさ」
「声かけたんか?」
「いや、その人自転車に乗ってたんだけど、ポケットから落ちた瞬間気づいてすぐ拾って行ったからさ」
「で、それがなんかあったのか?」
「『財布を拾うと拾った額の一割もらえる』って話あるじゃん?」
「あるな」
「大抵は交番に届けるともらえるでしょ?」
「…まあ、知らんがそうなのか?」
「で、さっきのおっちゃんが落とした場所って実は交番の近くで。もし、あそこで拾ってダッシュで交番に届けてたらもらえたかな…」
「セコいな!別に、自分で拾えてたしよくない?」
「いや、でも金はほしいじゃん?」
 和義はグイと体を持ち上げると
「欲しくない?ねえ?」
 なんだその執着心は。他人の金で焼き肉行くタイプかお前は。
「…まあ、欲しいけどさ。そこまでする必要なくね?」
「チッ、これだからアルバイターはよぉ」
 悪態付けられたんだが。
「しかも、相手は自転車だぜ?すぐ追いつかれるだろ」
「いや、そこはちゃんと考えてある」
 なんだよ、『ちゃんと』って。
「一度拾うだろ?で、ダッシュで交番に届けようとする。しかしながらチャリの方が速いから追いつかれてしまう」
 こいつは一体何を企んでるんだ?
「そこで、だ。追いつかれそうになったら急旋回してチャリに突進する」
「荒手の当たり屋かよ」
「自転車は小回りが利かないからな。しかもビックリしてバランスを崩す。すると俺が交番に行ける余裕が生まれる」
「…そういう算段か」
 まあ、変なところで頭が切れるものだな。
「名付けてSKT作戦だ!」
「…なんの頭文字なんだそれ…?」
「財布を交番に届ける作戦。略してSKT作戦」
 お前もネーミングセンスどうかしてるぞ。…一夫多妻に比べればマシだが。
「じゃあ、やってみるか?」
 そう口を開いたのはこんなバカな計画を黙って聞いていたであろう拓弥だった。おいおい、マジで?
「おっしゃ、校庭行くぞ!!!」

作者メッセージ

大晦日ですね。
皆さんよいお年を!!!

2024/12/31 21:31

ゐぬい
ID:≫ 18yayKY/7LFxA
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高校生活部活ギャグコメディ小話

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