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想造部の最悪な駄作

#12

二章 事由取調室 3

 その正方形のボードには、マスが描かれていた。将棋かチェスのように見えるが、これもまた自作ゲームだろう。いったいどんなゲームなんだ?
「これは自作ボードゲームだ。暇だから作った。」
 暇だから作るものじゃないだろ。
 と、和義が
「ああ、知ってる」
「え、お前知ってるのか?」
「そこに積まれた段ボールの中にあるゲームは、俺と和義でやってたやつなんだよ。」
 まじか。ってことは知らなかったのは俺一人になるが。
「お前がいないときにやってたぞ」
 ああ、たまにバイトやらなんやらで予定が合わないときがあるが、そのときにやってたのか。
 タキオン粒子並の速さで進む和義と拓弥の会話聞いていると、なんだか自分が道端に忘れられた手袋のように思えてくる。嫉妬というよりも、呆れた気持ちのほうが大きいな。
 なんでこいつらこんなにクソゲーで会話が弾むのか、と。
「まあ、とりあえず。」
 仕切り直したように拓弥が言うと、
「このゲームをやる。」
「一言で、簡潔に宣言したな。で、早くそのゲームのルールを教えてくれ」
 俺は実を言うと少し気になっていた。クソゲーではあるが、ある意味世には出回っていないゲームなんだ。少しは期待をしてもいいかもしれない。
「よし。まず、これは二人プレイだ。そこは将棋とか、チェスとかと同じだな。そして、このボードは八✕八マスなんだが、よく見てもらうと分かる通り、四マスのところでそれぞれ四つに別れている。」
 確かに。文章だと伝わりにくいが、一つの正方形を連想してほしい。それが十字に切られて四等分された感じだ。その四等分のうち、右上と左下が緑に塗られていて、それ以外は木目色のボードだ。
「この緑の部分を沼、木の部分を陸と呼ぶ。」
 自作にしては、なかなかに凝っている気がする。
「そして、使う駒はこれだ。」
 それは五百円硬貨ほどの大きさだった。長方形で、厚みは消しゴムよりも薄い。両面に手描きのイラストがあり、それぞれ違っている。「歩」と「と」みたいな感じだろうか。
「使う駒は一人三駒、種類はたった二つで、王と手下、『ヘンチマン』だけだ。王は全方向に一マス、手下は決まった方向に一マス動ける。」
 意外と単純そうなゲームだな。まあ、その手下の名前が少々気になるが。
「だた、このゲームをややこしくするのは、さっき言った陸と沼だ。手下は、陸にいる場合は左右前後、沼にいる場合は斜め方向にしか動けない。そのときに駒を裏返すんだ。王は変わらない。」
「なんとなく理解はした。で、このゲームの名前は?」
「ああ、まだ言ってなかったな。その名も、」
 と、少し溜めてから勢いよく
「陸と沼だ!」
「…は?」
 お前マジ?
「もうちょいマシな名前があったろ」
「いや、これ以上にない素晴らしい名前じゃないか?」
 んなわけあるか。
「お前それまんまじゃん!せめて英語にするとかさ…。もう一捻りぐらいあってもいいだろ」
「英語は長いから却下。」
 新作弁当の名前が「弁当」とか、ペットの犬の名前が「イヌ」とか、どう考えたって変だろ。
「俺だってな、ただ考えずに付けたわけじゃないんだ。」
 まるでダメ出しを食らったくせに、修正せずまた持ってくる意地の張った漫画家のように言う。
「何があるってんだ?」
「それはゲーム界で最も重要なことだ。」
「重要なこと…?」
「そう。略せるんだ!」
「…それが、重要…?」
「リクヌマ、って言いやすいだろ?」
「いや一文字省略しただけじゃねえか!!」

作者メッセージ

いそがしかったんで遅れてしまいました。
すいやせん…

2024/11/18 17:13

ゐぬい
ID:≫ 18yayKY/7LFxA
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ギャグコメディ高校生

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