教室へ踏み込むと、さっきまで騒がしかった女子の視線がふいっとこっちにくる。そんな視線をものともせず、拓弥の机まで行くと、ガサ入れを始めた。片腕だけを突っ込み、手先の感覚を頼りに目的のものを探す。
事情を知らない人からすればただの窃盗の事件現場だよな。手の甲になにかコツンと当たる。もしやと思い掴み出すと、小石サイズのインカムがあった。
耳に入れて電話を待つ。女子たちは思い出したかのようにまた話を続けていた。ホッとしたのもつかの間、俺の片耳が女子集団から「着信音」というワードを拾った。早くしろ拓弥、時間がない!
突然、インカムから声が聞こえた。
『着けたな。俺は反対側の校舎から見ている。』
なに、やっぱり現行犯じゃないか。気になって振り返ろうとしたとき、
『こっちを向くな。バレてしまう。俺はそっちサイドの音を聞けるが絶対に話しかけるなよ。これは潜入任務だ、ミノール。』
俺はいつ伝説の傭兵になったんだ。
『それじゃあ、まずは和義の机に向かってくれ。焦るなよ。』
緊張して足が震える。もしバレたらと思うと、この一歩も早歩きになってしまう。
女子もこちらの動きに気づいたのか、会話は続いているが視線は俺にある。獲物を狙うかのような目で見られると、余計緊張してしまう。
夕方近くの温かな光が窓から差し込み、それと対照に教室には冷たい視線を感じる、どことなくピリついた空気になっていた。全員が、次は何をするのかと全細胞の感覚を極限にまで研ぎ澄ませている。
「穂、何をしてんのう?」
ぐッ、話しかけられてしまった。無理もないか、不審すぎるもんな。
「いやあ、別に…。何もないさ」
話しかけて来たのは中学校が一緒だった志野茜だった。一軍女子の中の一軍で、容姿端麗の四文字が似合う女子は俺の知る限りこいつだけだ。
「そう隠すなって、中学の仲でしょ?」
『予想はしていたが、面倒なことになったな…』
「実は忘れ物を取りに来てだな…」
「何を忘れたんだい?」
それ聞くか普通?
「正確には和義が忘れて、代わりに取りに来てやったんだよ」
「ふーん、もしかして、あの着信音かな?」
やっぱりな。そりゃあ教室でいきなりデカい音鳴らしだすのは七不思議認定になるくらい恐怖だよな。
「そ、そうだが。」
「いや~だとしたら君は救世主だね。今から開封の儀を執り行おうか話してたんだよね。」
デリカシーがないにもホドがあるだろう。無論、言い出しっぺは誰か検討はつくが。
『セーフだったみたいな。危機は去ったようーー』
「ねえ、せっかくだし開いてみない?」
平和的解決はそうそうにうまくはいかないようだ。
この小林という強敵を倒さない限り物語は進まない。
「さすがに他人のだしさ…。やめときなって、ね?」
よかった常識がある人がいて。他の女子たちも賛同するようにコクリと頷く。
俺は和義の机の前に立ち尽くしていたが、役目を思い出したかのようにガサ入れを始めよう机に向き直る。
「ねえ、探してるのって、これ?」
なんて反応したらよいのか。その透き通るような声の主へと顔を向けると、片手に目的の物を持って悪魔のほほえみをみせる小林さんがいた。
もうすでに取られているだと?
『一番最悪の事態になった…』
事情を知らない人からすればただの窃盗の事件現場だよな。手の甲になにかコツンと当たる。もしやと思い掴み出すと、小石サイズのインカムがあった。
耳に入れて電話を待つ。女子たちは思い出したかのようにまた話を続けていた。ホッとしたのもつかの間、俺の片耳が女子集団から「着信音」というワードを拾った。早くしろ拓弥、時間がない!
突然、インカムから声が聞こえた。
『着けたな。俺は反対側の校舎から見ている。』
なに、やっぱり現行犯じゃないか。気になって振り返ろうとしたとき、
『こっちを向くな。バレてしまう。俺はそっちサイドの音を聞けるが絶対に話しかけるなよ。これは潜入任務だ、ミノール。』
俺はいつ伝説の傭兵になったんだ。
『それじゃあ、まずは和義の机に向かってくれ。焦るなよ。』
緊張して足が震える。もしバレたらと思うと、この一歩も早歩きになってしまう。
女子もこちらの動きに気づいたのか、会話は続いているが視線は俺にある。獲物を狙うかのような目で見られると、余計緊張してしまう。
夕方近くの温かな光が窓から差し込み、それと対照に教室には冷たい視線を感じる、どことなくピリついた空気になっていた。全員が、次は何をするのかと全細胞の感覚を極限にまで研ぎ澄ませている。
「穂、何をしてんのう?」
ぐッ、話しかけられてしまった。無理もないか、不審すぎるもんな。
「いやあ、別に…。何もないさ」
話しかけて来たのは中学校が一緒だった志野茜だった。一軍女子の中の一軍で、容姿端麗の四文字が似合う女子は俺の知る限りこいつだけだ。
「そう隠すなって、中学の仲でしょ?」
『予想はしていたが、面倒なことになったな…』
「実は忘れ物を取りに来てだな…」
「何を忘れたんだい?」
それ聞くか普通?
「正確には和義が忘れて、代わりに取りに来てやったんだよ」
「ふーん、もしかして、あの着信音かな?」
やっぱりな。そりゃあ教室でいきなりデカい音鳴らしだすのは七不思議認定になるくらい恐怖だよな。
「そ、そうだが。」
「いや~だとしたら君は救世主だね。今から開封の儀を執り行おうか話してたんだよね。」
デリカシーがないにもホドがあるだろう。無論、言い出しっぺは誰か検討はつくが。
『セーフだったみたいな。危機は去ったようーー』
「ねえ、せっかくだし開いてみない?」
平和的解決はそうそうにうまくはいかないようだ。
この小林という強敵を倒さない限り物語は進まない。
「さすがに他人のだしさ…。やめときなって、ね?」
よかった常識がある人がいて。他の女子たちも賛同するようにコクリと頷く。
俺は和義の机の前に立ち尽くしていたが、役目を思い出したかのようにガサ入れを始めよう机に向き直る。
「ねえ、探してるのって、これ?」
なんて反応したらよいのか。その透き通るような声の主へと顔を向けると、片手に目的の物を持って悪魔のほほえみをみせる小林さんがいた。
もうすでに取られているだと?
『一番最悪の事態になった…』