文字サイズ変更

君の名前を呼ぶまで

#42

第42話 同じ気持ち

蒼真と初めてのデート。
手をつないで歩くだけなのに、胸がずっとあたたかい。

住宅街を抜けると、少し広い公園が見えてきた。
休日の午後で、子どもたちの声が遠くに響いている。

「……ここ、よく来るの?」

蒼真が少しだけ横目で聞いてきた。

「うん。散歩するとき、よく通るよ」

「そっか……結衣が歩いてた道、今俺も歩いてるんだな」

その言葉に、胸がぎゅっとなる。

「蒼真くんは……来たことある?」

「いや……でも、結衣が好きな場所なら、俺も好きになれそう」

そんなこと言われたら、好きが溢れそうになる。

二人でゆっくり公園の中を歩く。
風が吹いて、木々が揺れる音が心地いい。

ベンチの前まで来たとき、蒼真がふと立ち止まった。

「……座ってもいい?」

「うん」

二人で並んで座る。
手はつないだまま。

沈黙が流れるけど、苦しくない。
むしろ、静けさが心地よかった。

しばらくして、蒼真がぽつりと言った。

「結衣といると……同じ景色見てるのに、前よりきれいに見える」

胸が熱くなる。

「私も……蒼真くんといると、景色が違って見えるよ」

蒼真は少しだけ照れたように目をそらし、
でも、手だけは離さなかった。

風がまた吹いて、蒼真の前髪が揺れる。

「……結衣」

名前を呼ばれた瞬間、心臓が跳ねる。

「なに?」

蒼真は、迷うように指先を震わせながら言った。

「今日……来てくれて、ほんとに嬉しい」

「私も……誘ってくれて嬉しいよ」

蒼真はゆっくりと息を吸い、
そして、少しだけ勇気を出したように言った。

「結衣と……もっといろんな景色見たい」

その言葉は、まっすぐで、優しくて、
胸の奥にそっと触れるようだった。

「うん……私も見たいよ。蒼真くんと」

二人で同じ景色を見て、
同じ気持ちになる。

それだけで、今日が特別な日になった。
ページ選択

2026/03/14 17:53

おひめ
ID:≫ 19ZQABSFMiPlU
コメント

この小説につけられたタグ

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はおひめさんに帰属します

TOP