翌朝。
教室に入った瞬間、遥は律の姿を探した。
昨日の避けられ方が胸に残ったまま、眠れなかった夜の余韻がまだ体に残っている。
律はもう席にいた。
けれど──やっぱり、遥のほうを見ない。
今日こそ話さなきゃ。
逃げられてばかりじゃ、何も変わらない。
チャイムが鳴り、授業が始まり、終わり、
休み時間になっても律は席を立たない。
まるで“動かないことで避けている”みたいに。
遥は意を決して立ち上がった。
「律、ちょっと……話したい」
律の肩がわずかに揺れた。
でも顔は上げない。
「……今、無理」
その言い方が、遥の胸に刺さった。
「なんで? 最近ずっと避けてるよね」
律は黙ったまま、教科書を閉じる。
その音がやけに大きく響いた。
「避けてない」
「避けてるよ。目も合わせてくれないし、話しかけても逃げるし……」
声が震える。
昨日からずっと我慢していたものが、堰を切ったようにあふれそうになる。
律は立ち上がり、遥の横を通り過ぎようとした。
「……瀬尾と、楽しそうだったじゃん」
その一言で、遥の足が止まった。
「え……?」
律は顔をそむけたまま続ける。
「この前、二人で出かけてたの、見た。
……仲良さそうに笑ってた」
遥は一瞬、何を言われているのかわからなかった。
でもすぐに思い当たる。
──あの日。
瀬尾と文房具屋に行った日。
「ち、違うよ……! あれは──」
「別にいい。俺には関係ないし」
その言い方が、遥の胸を強く締めつけた。
「関係あるよ……! 律がそんなふうに言うから……っ」
涙がにじむ。
律も苦しそうに眉を寄せた。
「……もういいだろ」
「よくない!」
声が教室に響いた。
周りの視線が集まる。
でも遥にはもう、そんな余裕はなかった。
「律が避ける理由も言わないで、勝手に決めつけて……
そんなの、ひどいよ……!」
律は言葉を失ったように黙り込む。
遥の手には、小さな紙袋。
ぎゅっと握りしめたまま、震えていた。
「……もう知らない」
遥はそれだけ言って、教室を飛び出した。
律は追いかけようと一歩踏み出したが、
足が止まった。
自分の胸の奥が、痛いほど苦しかった。
教室に入った瞬間、遥は律の姿を探した。
昨日の避けられ方が胸に残ったまま、眠れなかった夜の余韻がまだ体に残っている。
律はもう席にいた。
けれど──やっぱり、遥のほうを見ない。
今日こそ話さなきゃ。
逃げられてばかりじゃ、何も変わらない。
チャイムが鳴り、授業が始まり、終わり、
休み時間になっても律は席を立たない。
まるで“動かないことで避けている”みたいに。
遥は意を決して立ち上がった。
「律、ちょっと……話したい」
律の肩がわずかに揺れた。
でも顔は上げない。
「……今、無理」
その言い方が、遥の胸に刺さった。
「なんで? 最近ずっと避けてるよね」
律は黙ったまま、教科書を閉じる。
その音がやけに大きく響いた。
「避けてない」
「避けてるよ。目も合わせてくれないし、話しかけても逃げるし……」
声が震える。
昨日からずっと我慢していたものが、堰を切ったようにあふれそうになる。
律は立ち上がり、遥の横を通り過ぎようとした。
「……瀬尾と、楽しそうだったじゃん」
その一言で、遥の足が止まった。
「え……?」
律は顔をそむけたまま続ける。
「この前、二人で出かけてたの、見た。
……仲良さそうに笑ってた」
遥は一瞬、何を言われているのかわからなかった。
でもすぐに思い当たる。
──あの日。
瀬尾と文房具屋に行った日。
「ち、違うよ……! あれは──」
「別にいい。俺には関係ないし」
その言い方が、遥の胸を強く締めつけた。
「関係あるよ……! 律がそんなふうに言うから……っ」
涙がにじむ。
律も苦しそうに眉を寄せた。
「……もういいだろ」
「よくない!」
声が教室に響いた。
周りの視線が集まる。
でも遥にはもう、そんな余裕はなかった。
「律が避ける理由も言わないで、勝手に決めつけて……
そんなの、ひどいよ……!」
律は言葉を失ったように黙り込む。
遥の手には、小さな紙袋。
ぎゅっと握りしめたまま、震えていた。
「……もう知らない」
遥はそれだけ言って、教室を飛び出した。
律は追いかけようと一歩踏み出したが、
足が止まった。
自分の胸の奥が、痛いほど苦しかった。